1987 年 84 巻 12 号 p. 2700-2705
B型慢性肝炎51例, 70組織を対象に, 血中e抗原抗体系と肝組織像, 肝組織内HBc抗原との関連について検討した. その結果, 1) 経時的肝生検を行つた19例中, e抗原が陰性化した12例の肝の組織学的改善率は66.6% (12例中8例), そのうちe抗体陽性例6例のそれは83.3% (6例中5例) であり, e抗原持続陽性7例の改善率14.3% (7例中1例) に比し明らかに高率であり, 肝細胞核, 細胞質内HBc抗原も有意に減少した. 2) 細胞質内HBc抗原は, とくに小葉実質の変性や壊死など炎症所見の強い例で陽性率が高率だつた. 以上のことから治療後e抗原が陰性化した例では組織内HBVは減少し, 組織像も改善することが示唆され, 特にe抗体が陽性化した例では顕著であつた.