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特に粘膜血流, PDを中心に
渡辺 敏彦
1987 年 84 巻 12 号 p.
2649-2657
発行日: 1987年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
Dimethylnitrosamine (DMNA) 投与肝障害犬, 慢性肝障害患者について, 内視鏡下に胃粘膜の血流と transmucosal electrical potential difference (PD) を測定した. 肝障害犬では肝障害の悪化に伴い, 胃粘膜血流, PD, 肝血流は低下し, 門脈圧は上昇した. 粘膜pHはDMNA投与8週までは上昇したが, 12週以後からは投与前に比べ低下した. 臨床例において, 胃体部粘膜血流は肝硬変例では健常例, 慢性肝炎例に比べ有意に低下, これは食道静脈瘤を有する例で著明に低下した. PDは慢性肝炎例, 肝硬変例では健常例に比べ体部, 前庭部ともに有意に低下し, また食道静脈瘤の悪化に伴い体部PDは有意に低下した. 以上のことから慢性肝障害時には胃粘膜循環障害が存在し, 粘膜の脆弱化が示唆された.
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岡井 高, 河上 浩康, 渡辺 弘之, 里村 吉威, 太田 英樹, 大溝 了庸, 竹森 康弘, 澤武 紀雄, 高橋 豊, 磨伊 正義
1987 年 84 巻 12 号 p.
2658-2662
発行日: 1987年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
Borrmann 型進行癌を含む陥凹型胃癌35例を対象にその発育進展様式を超音波内視鏡により検討した. その結果, 腫瘍部の胃壁は, 潰瘍を合併したIIc型早期胃癌や進行癌において肥厚し, 潰瘍を伴わないIIc型早期胃癌との間には推計学的な有意差が認められた. また, 各病型により発育進展方向は明確に区別され, 潰瘍を合併したIIc型早期胃癌, Borrmann 2型進行癌では胃壁の内腔に向つた発育を示すのに対し, IIc類似進行癌, Borrmann 3型進行癌では胃内腔のほかに腹腔側へも発育を示し, 全体として口唇状の肥厚像を示した.
これら発育進展様式の検討により的確な深達度診断が可能になるものと考えられる.
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塩見 進, 黒木 哲夫, 倉井 修, 針原 重義, 小林 絢三, 池岡 直子, 門奈 丈之, 越智 宏暢, 山本 祐夫
1987 年 84 巻 12 号 p.
2663-2668
発行日: 1987年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
99mTcO
-4封入消化管カプセルを開発し, 人体における門脈循環動態観察への応用を検討した. 1) 著者らが従来より行つてきた
99mTcO
-4を直腸腔内へ注入する経直腸門脈シンチグラフィは下腸間膜静脈血流の門脈循環を反映するものであり, カニクイザルの小腸腔内に直接
99mTcO
-4を注入することにより, 上腸間膜静脈から門脈を通りRIが肝へ達することを確認した. 2) 今回開発した消化管カプセルをボランティアに経口投与し, カプセルが下部小腸に達した時点で電磁波により
99mTcO
-4を発射させた. 発射したRIは上腸間膜静脈より門脈系を通り肝臓に達しており, 人体における消化管カプセルを用いた門脈循環動態測定の可能性が確認された.
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山村 誠
1987 年 84 巻 12 号 p.
2669-2680
発行日: 1987年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
潰瘍性大腸炎患者糞便細菌叢を病期•重症度•糞便の性状別に検討し, 初回発作未治療時と緩解維持療法中の初回再燃時で比較した. 偏性嫌気性菌は病期や重症度の如何を問わず有意に減数し, また下痢便でも有形便でも有意に減数していた. 嫌気性菌群の検出率は重症例ほど, 血性下痢例ほど低率であつた. とくに Bifidobacteria の検出率の低下と菌数の減少は, 本症の病勢を強く反映していた. 重症例ではこれらの変化に加えて, 通性嫌気性菌の腸内細菌科で E. coli が検出されなくなり, 替つて Proteus が優勢菌になるなど異常細菌叢が存在することが明らかにされた. 緩解維持療法中の初回再燃時には, 初回発作未治療時に比し通性嫌気性菌が増数しており, とくに Streptococci が増数していた.
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豊島 仁, 田利 晶, 隅井 浩治, 吉原 正治, 大越 裕章, 福原 一作, 徳毛 健治, 春間 賢, 梶山 梧朗, 宮地 幸隆, 三好 ...
1987 年 84 巻 12 号 p.
2681-2687
発行日: 1987年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
Peptide YY (PYY) は, 36個のアミノ酸よりなる polypeptide で下部消化管粘膜内の内分泌細胞に高濃度に存在している. 今回我々は, 特異的な radioimmunoassay (RIA)を用いて下部消化管疾患における空腹時血漿中 Peptide YY like immunoreactivity (plasma PYY-LI) を測定した. 大腸癌のため腸切除を受けた症例 (結腸または直腸または結腸直腸切除症例) と潰瘍性大腸炎症例 (緩解期) では, 正常例, 大腸癌症例, 潰瘍性大腸炎症例 (活動期) に比べ有意に低値を示した.
以上の結果から, 腸切除症例及び潰瘍性大腸炎症例 (緩解期) における plasma PYY-LI値は, 下部消化管内PYY内分泌細胞数の減少により低値を示したものと思われ, 下部消化管における組織学的変化を反映する一つの指標となる可能性が示唆された.
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伴 信之, 森安 史典, 中村 武史, 西田 修, 宋 泰成, 三浦 賢佑, 酒井 正彦, 内野 治人, 三宅 健夫
1987 年 84 巻 12 号 p.
2688-2693
発行日: 1987年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
食道静脈瘤に対する摘脾を含む直達手術後の, 肝硬変, 特発性門脈圧亢進症 (以下IPH) の門脈血流量を超音波ドップラー法で測定し, 摘脾の門脈血行動態に及ぼす影響を検討した.
対象は肝硬変12例, IPH 4例, その他6例の計22例である. 対照として, 既報の, 外科的処置を受けていない未処置の肝硬変, IPHの門脈血流量を使用した.
肝硬変の直達手術後の門脈血流量は, 門脈逆流症例1例を除いて11.5±4.8ml/min/kg (対照肝硬変群: 15.0±7.4ml/min/kg, n=65), IPHの直達手術後では5.4±1.7ml/min/kg(対照IPH群: 22.8±9.3ml/min/kg, n=13) であつた. 肝硬変, IPH共に直達手術後に門脈血流量の低下が認められたが, IPHにおいてその低下が著しかつた.
この直達手術後の門脈血流量の変化及び, 両疾患の間での変化の相違は, 肝内血管抵抗上昇部位の違いにより, 理解されることを示した.
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中込 健郎, 福西 康夫, 葛西 登, 岡田 仁史, 加藤 行雄, 前山 史朗, 河野 誠, 鴨川 旭, 志沢 喜久, 鈴木 博, 渡辺 勇 ...
1987 年 84 巻 12 号 p.
2694-2699
発行日: 1987年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
ラットにエタノールを長期間投与し, γ-GTPの肝組織化学染色と肝内•血清の酵素活性を検討した. Donryu 系雄ラットに総カロリーの36%エタノール含有合成液体飼料を9月間投与したところ, 対照群に較べ肝の組織化学染色では, グリソン鞘で小型胆管と細胆管増生を認め, γ-GTPは増生した胆管上皮細胞に強陽性をしめしたが, 肝実質内では不変であつた. 肝ミクロゾームγ-GTP活性は2.75倍上昇したが, 血清γ-GTP活性は不変であつた. これらの成績は, アルコール性肝疾患の血清γ-GTP活性上昇に, 肝細胞での誘導合成に加え肝内胆管系病変の関与も示唆される所見と考えられる.
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小松 眞史, 戸堀 文雄, 八木沢 仁, 水野 康司, 荒川 弘道, 正宗 研
1987 年 84 巻 12 号 p.
2700-2705
発行日: 1987年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
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B型慢性肝炎51例, 70組織を対象に, 血中e抗原抗体系と肝組織像, 肝組織内HBc抗原との関連について検討した. その結果, 1) 経時的肝生検を行つた19例中, e抗原が陰性化した12例の肝の組織学的改善率は66.6% (12例中8例), そのうちe抗体陽性例6例のそれは83.3% (6例中5例) であり, e抗原持続陽性7例の改善率14.3% (7例中1例) に比し明らかに高率であり, 肝細胞核, 細胞質内HBc抗原も有意に減少した. 2) 細胞質内HBc抗原は, とくに小葉実質の変性や壊死など炎症所見の強い例で陽性率が高率だつた. 以上のことから治療後e抗原が陰性化した例では組織内HBVは減少し, 組織像も改善することが示唆され, 特にe抗体が陽性化した例では顕著であつた.
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感染様式の重要性に関する統計学的考察
時田 元, 清水 勝, 高橋 善彌太, 田中 浩, 安田 雅則, 小島 峯雄, 足立 信幸, 吉田 洋
1987 年 84 巻 12 号 p.
2706-2713
発行日: 1987年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
HBe抗原陽性B型慢性肝炎に対するステロイド離脱療法は有用であるが, 一過性に肝炎の増悪をきたすため有効性が期待される症例に施行すべきである. 今回ステロイド離脱療法の効果予測因子について小児例をふくむ38例に対し, 年齢, 性別, 感染様式, ステロイド開始時のS-GPT値, HBs抗原価, HBe抗原価の6項目を検討した. ステロイド離脱後1年時の効果は有効 (HBe抗原陰性化) 23例, 無効 (HBe抗原陽性) 15例であり, 治療効果を予測する因子として感染様式が, 他の因子の影響を統計学的に補正しても重要な因子であつた. したがつてステロイド離脱療法は水平感染例によい適応があると考えられた.
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松田 至晃, 嶋倉 勝秀, 山口 孝太郎, 中村 喜行, 滋野 俊, 坂戸 政彦, 上條 登, 宮田 和信, 古田 精市, 野沢 敬一, 上 ...
1987 年 84 巻 12 号 p.
2714-2721
発行日: 1987年
公開日: 2007/12/26
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種々の閉塞性黄疸症例311例 (良性疾患66例, 悪性疾患245例) を対象として内視鏡的胆道ドレナージ法 (EBD) の有用性を検討した. 癌の浸潤等の理由からEBD不適応とした19例を除く292例 (93.9%) にEBDを試み, 266例 (85.5%) に成功し, 246例 (79.1%) に有効であつた. EBD後1カ月以内の合併症を45例経験したが, 39例は悪性疾患における胆道感染であり, 特ににERBDを施行した肝門部胆管狭窄症例で胆管炎の頻度が高かつた. 合併症はほとんどが比較的軽度のもので, 合併症による死亡例はなかつた. EBDは比較的安全で, 多くの利点を持つ優れた方法であり, すべての閉塞性黄疸症例に対して第一選択に試みて良い非観血的胆道ドレナージ法と思われる.
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膵実質残存率からの障害程度の検討
大平 千秋, 小泉 勝, 藤原 章, 後藤 由夫, 沢井 高志
1987 年 84 巻 12 号 p.
2722-2730
発行日: 1987年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
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SLEの膵病変を, 臨床例18例と剖検例27例で検討した. 臨床上, 明らかな急性膵炎の合併は1例(6%) のみに, また腹痛発作6例 (29%), 高アミラーゼ血症を5例 (24%) に認めた. 膵外分泌機能検査では, C-S test を7例に施行し, 1因子低下, 2因子低下例を1例づつ認め, 膵実質障害の存在が確認された. SLE27例の剖検例での膵の組織学的検討では, 動脈炎2例, 血栓形成10例, 導管周囲線維化8例, 小葉内線維化11例, 局所壊死6例, 脂肪浸潤7例等, 多彩な変化が高率にみられた. 膵実質残存率の検討では, SLE症例で平均79.2%と, 非膵疾患対照例の82.8%に比較して, 実質比の低下傾向がみられたが, 慢性膵炎例と比較すると全例, 対照例と慢性膵炎中等度障害例の間に位置し, SLEの膵実質障害の程度は軽度にとどまることが, 明らかにされた.
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堀田 茂樹, 種広 健治, 久野 信義, 栗本 組子, 加藤 久
1987 年 84 巻 12 号 p.
2731-2734
発行日: 1987年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
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貫野 徹, 針原 重義, 田守 昭博, 岡 博子, 関 守一, 溝口 靖紘, 黒木 哲夫, 小林 絢三, 門奈 丈之
1987 年 84 巻 12 号 p.
2735-2739
発行日: 1987年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
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内田 悦慈, 宮田 康司, 酒井 浩徳, 古賀 俊逸, 山下 司, 村松 浩平, 井林 博, 安達 洋祐, 福嶋 正博
1987 年 84 巻 12 号 p.
2740-2744
発行日: 1987年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
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仙波 大右, 森岡 恭彦
1987 年 84 巻 12 号 p.
2745-2749
発行日: 1987年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
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田辺 聡, 副島 慎一, 木田 光広, 菊野 隆明, 芦原 毅, 杉本 政直, 一原 亮, 横山 靖, 三橋 利温, 西元寺 克禮, 柴田 ...
1987 年 84 巻 12 号 p.
2750-2754
発行日: 1987年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
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一瀬 雅夫, 三木 一正, 市原 慶和, 降旗 千恵, 木村 正儀, 黄士 哲, 佐野 順次郎, 岡 博, 景山 節, 高橋 健治
1987 年 84 巻 12 号 p.
2755
発行日: 1987年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
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甲田 正二郎, 町田 啓一, 大塚 幸雄
1987 年 84 巻 12 号 p.
2756
発行日: 1987年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー