1987 年 84 巻 2 号 p. 216-220
ヒト正常大腸各部位の粘膜における, 肥満細胞, IgE含有細胞, 組織ヒスタミン含量を, 健常人14例, 53検体について検討した. その結果, 上行結腸, 横行結腸, 下行結腸, S状結腸, 直腸の5部位における, 肥満細胞数, IgE含有細胞数, 組織ヒスタミン含量は, いずれも各部位間で有意差を認めなかつた. また, 大腸粘膜固有層に存在する肥満細胞数と大腸粘膜組織ヒスタミン含量との間には, 正の相関が認められた. 以上の成績より, ヒト正常大腸各部位の粘膜における, 肥満細胞, IgE含有細胞, 組織ヒスタミンは, 上行結腸より直腸までほぼ均等に存在し, さらにヒト正常大腸粘膜の組織ヒスタミンが, 同部の肥満細胞内に局在する可能性が示唆された.