1987 年 84 巻 2 号 p. 247-255
急性肝炎の急性期と回復期において各種甲状腺パラメーターを測定し, その変動の意義について検討した. 対象は急性ウイルス肝炎17例である. 急性期にはT4は上昇, T3は値にバラツキがみられたが回復期と有意差なく, free T3 (FT3) は急性期に低下し, reverse T3(rT3) は上昇した. free T4は変動せず. またFT3はGPTと負の相関をし, 肝炎の回復につれてGPTの低下とともに上昇し正常化した. rT3はFT3と鏡像的な変化を示した. さらにFT3は肝障害の重症度を反映するプロトロンビン時間, ヘパプラスチンテストと正の相関をし, 血清アルブミン値, コリンエステラーゼ値とも相関したことより, 肝障害の重症度を表現する1指標となりうると考えられる.