日本消化器病学会雑誌
Online ISSN : 1349-7693
Print ISSN : 0446-6586
Nonthyroidal illness
急性ウイルス肝炎における甲状腺ホルモン動態に関する検討
高橋 仁公山田 昇司長嶺 竹明佐伯 俊一阿部 毅彦桜井 誠司新井 孝之高木 均市川 邦男竹沢 二郎下條 宏須賀 勝久小林 節雄小林 功
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1987 年 84 巻 2 号 p. 247-255

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抄録

急性肝炎の急性期と回復期において各種甲状腺パラメーターを測定し, その変動の意義について検討した. 対象は急性ウイルス肝炎17例である. 急性期にはT4は上昇, T3は値にバラツキがみられたが回復期と有意差なく, free T3 (FT3) は急性期に低下し, reverse T3(rT3) は上昇した. free T4は変動せず. またFT3はGPTと負の相関をし, 肝炎の回復につれてGPTの低下とともに上昇し正常化した. rT3はFT3と鏡像的な変化を示した. さらにFT3は肝障害の重症度を反映するプロトロンビン時間, ヘパプラスチンテストと正の相関をし, 血清アルブミン値, コリンエステラーゼ値とも相関したことより, 肝障害の重症度を表現する1指標となりうると考えられる.

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