1987 年 84 巻 2 号 p. 261-267
肝硬変の重症度•予後の判定に臓器反射スペクトル解析法による肝局所血行動態•酸素需給動態の検討が有用か否かを検討した.
非代償性肝硬変の肝局所血液量 (ΔEr569-650), 肝局所Hb酸素飽和度 (SO2), 肝局所 in vivo 酸素消費(VO2)は, 代償性肝硬変のそれらに比し有意に低下していた. 臓器反射スペクトル解析法施行後5年以内に死亡した肝硬変では5年以上生存しえた肝硬変に比しSO2は有意に低下しており, 累積生存率による検討でもSO2が40%以上の肝硬変は40%未満の肝硬変に比し生存率が高値であつた.
以上, 臓器反射スペクトル法による肝局所血行動態•酸素需給動態の解析が肝硬変の重症度, 予後の判定に有用と考えられた.