1987 年 84 巻 4 号 p. 851-856
tetragastrin が内因性PGにいかなる影響をおよぼすかを, ヒトの胃液を用いて検討した. その結果, 酸分泌と胃液中へのPGE2の遊離は, tetragastrin (4μg/kg, s.c.) 注射後同様の亢進を認め20~30分後に peak となつた. また, tetragastrin 注射前値と後60分間を比較すると, 酸分泌およびPGE2は注射後に著明に亢進し, PGE2/H+分泌比は低下傾向を示した. そして, tetragastrin 注射後の酸分泌量とPGE2遊離量とは正の相関を示した. 以上のことから, tetragastrin はヒトにおいて, 酸分泌刺激作用とともに胃内腔へのPGE2遊離を促進する作用を有することが判明した. このことは, tetragastrin と胃生理機構との関係を知る上で重要な知見と考える.