日本消化器病学会雑誌
Online ISSN : 1349-7693
Print ISSN : 0446-6586
ヒトにおける胃内腔への prostaglandin 遊離におよぼす tetragastrin の影響
荒川 哲男佐久間 裕之佐藤 博之福田 隆重本 達弘中村 肇山田 博明中村 厚根引 浩子樋口 和秀北田 恵一小林 健司長谷川 ナミ子宮井 和美小林 絢三
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キーワード: 胃粘膜, 酸分泌
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1987 年 84 巻 4 号 p. 851-856

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抄録

tetragastrin が内因性PGにいかなる影響をおよぼすかを, ヒトの胃液を用いて検討した. その結果, 酸分泌と胃液中へのPGE2の遊離は, tetragastrin (4μg/kg, s.c.) 注射後同様の亢進を認め20~30分後に peak となつた. また, tetragastrin 注射前値と後60分間を比較すると, 酸分泌およびPGE2は注射後に著明に亢進し, PGE2/H+分泌比は低下傾向を示した. そして, tetragastrin 注射後の酸分泌量とPGE2遊離量とは正の相関を示した. 以上のことから, tetragastrin はヒトにおいて, 酸分泌刺激作用とともに胃内腔へのPGE2遊離を促進する作用を有することが判明した. このことは, tetragastrin と胃生理機構との関係を知る上で重要な知見と考える.

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