日本消化器病学会雑誌
Online ISSN : 1349-7693
Print ISSN : 0446-6586
抗マロリー硝子体モノクローナル抗体の作製
吉岡 健太郎各務 伸一藤 明彦田原 裕文村瀬 賢一鵜浦 雅志F. James PRIMUSCarroll M. LEEVY
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1987 年 84 巻 6 号 p. 1251-1257

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抄録

マロリー硝子体 (MB) のケラチン以外の構成成分の性状を明らかにするために, 細胞融合法を用いて抗MBモノクローナル抗体 (anti-NMB-3) を得た. anti-NMB-3はMBと反応するが肝または皮膚の中間径フィラメントとは反応しなかつた. 蛍光抗体法にて anti-NMB-3はアルコール性肝炎, Wilson 病, 原発性胆汁性肝硬変症, 糖尿病性脂肪肝, 肝癌および griseofulvin 投与CB6F1マウスのMBと反応した. Western blotting では, anti-NMB-3はSDS-ポリアクリルアミドゲル電気泳動法により分離されたMBの分子量42と70~92kdのバンドと反応した. 一方抗ケラチンポリクローナル抗体は分子量66, 62, 55, 45kdのバンドと反応した. したがつて anti-NMB-3はMBのケラチン以外の構成成分と反応しており, MBの成因の解明と肝組織中のMBの検出に有用と思われた.

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