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第1報
唐沢 博之
1987 年 84 巻 6 号 p.
1201-1210
発行日: 1987年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
Histamine, carbachol および tetragastrin 刺激酸分泌に対する omeprazole の酸分泌抑制作用について, モルモットを用い in vivo と in vitro の両系より検討した. In vivo において omeprazole は上記3種類の胃酸分泌を全て抑制し, histamine 刺激胃酸分泌に対する抑制効果を cimetidine と比較すると, omeprazole は cimetidine に比べ約11~17倍の抑制効果を示した. 一方, 単離壁細胞を用いた in vitro の検討で, omeprazole は上記3種類の刺激剤の他に di-butyryl cyclic AMP刺激酸分泌をも用量依存性に抑制した. これに対しH
2-receptor 拮抗剤は di-butyryl cyclic AMP刺激酸分泌を抑制せず, 両者における作用部位の違いが明らかであつた.
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小関 秀旭
1987 年 84 巻 6 号 p.
1211-1218
発行日: 1987年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
胃粘膜及び胃潰瘍に対する高圧酸素療法 (OHP) の検討をラットを用いて行い以下の結果を得た. (1) ペプシン活性はOHPで有意に低下したが, 胃粘膜血流, ヘキソサミン, 胃運動, pH, ガストリンでは変動はなかつた. (2) Indomethacin 潰瘍の発生はOHPで有意に抑制されたが水浸拘束ストレス潰瘍では差はなかつた. その機序を検討したところ, Indomethacin 投与により胃粘膜血流は有意に低下したが, OHPを行つた場合はこの低下は有意に抑制され, 胃粘膜ヘキソサミンには差はなかつた. 以上よりOHPは胃粘膜への悪影響はなく, 安全な治療方法と思われた. また, 本法は血流の改善を通し Indomethacin 潰瘍を抑制したと考えられ, 循環不全により惹起される胃病変への臨床応用の可能性が示唆された.
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石丸 博明, 渡辺 和美, 松田 隆秀
1987 年 84 巻 6 号 p.
1219-1224
発行日: 1987年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
indirect LIF試験を用いてHBs抗原刺激によるリンパ球LIF産生遊出を白血球遊走 (LM) で検討した. LIF試験陽性B型肝炎の末梢血単核球 (MNC) にHBs抗原を添加•培養した上清は健康人LMを阻止したが, B型肝炎MNCにASCのMNCとHBs抗原を加え混合培養した上清はLM阻止を解除した. さらにB型肝炎MNCに cimetidine で前処理したASCのMNCとHBs抗原を加え混合培養した上清はLMを阻止した. 一方, PPDに対しLIF試験陽性慢性肝炎のMNCにASCのMNCとPPDを加え混合培養した上清はLMを阻止した. これらの成績はASCのMNCにはHBs抗原に対し抗原特異的 suppressor cell が存在し, LIF産生遊出を抑制したことを示唆した.
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安原 稔, 松田 芳郎, 高田 昭
1987 年 84 巻 6 号 p.
1225-1232
発行日: 1987年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
肝線維化の指標とされている血清 prolyl hydroxylase のβ-subunit (IRβ-PH) 量を monoclonal 抗体を用いて測定し, その臨床的意義を血清 procollagen type III N-terminal peptide (Pro-III-N-P) のそれと比較検討した. 血清IRβ-PHは慢性肝炎と肝硬変の大部分の症例で異常高値を示し, 活動性の強いものほど高値を示す傾向にあつた. 血清 Pro-III-N-Pもほぼ同様の傾向を示したが, 急性肝炎の全例と転移性肝癌の大部分の症例で異常高値を示した. 一方, 血清IRβ-PHは転移性肝癌の大部分と, 急性肝炎の約半数例で正常値を示した. 以上より, 血清IRβ-PHは肝での線維生成刺激をより選択的に反映しており, 肝線維化の血清マーカーとして有用であると考えられた.
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吉田 隆雄
1987 年 84 巻 6 号 p.
1233-1243
発行日: 1987年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
(1) 各種肝疾患における血漿 cyclic GMPは, 急性肝炎病初期, 非代償性肝硬変, 原発性肝癌において有意の増加を認めた.
(2) 急性肝炎病初期における cyclic GMP上昇機序を解明するため, Gal-Nによる急性肝障害ラットを用い肝灌流実験を行なつた. 灌流液中の cyclic GMP濃度は Gal-N投与24時間後から上昇し, コリン作働性物質である Carbachol に対する反応性は72時間後に最大になつた. この反応性は Atropine で抑制された. 又, 72時間後の
3H-TdR 取り込みは上昇し, 活発な肝再生が示唆された. Insulin は Carbachol の効果を更に増強した.
(3) 以上から, 肝再生において cyclic GMPが, ムスカリン受容体および Insulin を介して重要な役割を果たすことが示唆された.
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川崎 俊彦, 森安 史典, 伴 信之, 玉田 尚, 宋 泰成, 中村 武史, 西田 修, 三浦 賢佑, 酒井 正彦, 三宅 健夫, 内野 治 ...
1987 年 84 巻 6 号 p.
1244-1250
発行日: 1987年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
閉塞性黄疸肝における高エネルギーリン酸化合物の代謝変化を,
31P-MRS (磁気共鳴スペクトロスコピー) を用いて検討した. 総胆管を結紮した黄疸ウサギを実験モデルとし, 装置は2.0Tesla 超伝導MRI (磁気共鳴映像装置) を用いた. 各物質とα-ATPとの信号強度の比を対照群と比較すると, 総胆管結紮後1日の群ではPMEの信号強度が有意に増強し, PDE•γ-ATPの信号強度は有意に減弱した. 結紮後5日の群でのPME•PDEの信号強度は増強傾向を示したが, 有意差は無かつた. 各物質のT
1値を検討すると, 結紮後1日の群のPDEのT
1値が対照群と比較して有意な短縮を示した. リン脂質代謝の障害が閉塞性黄疸時の肝障害の早期に出現する事が示唆された.
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吉岡 健太郎, 各務 伸一, 藤 明彦, 田原 裕文, 村瀬 賢一, 鵜浦 雅志, F. James PRIMUS, Carroll M. ...
1987 年 84 巻 6 号 p.
1251-1257
発行日: 1987年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
マロリー硝子体 (MB) のケラチン以外の構成成分の性状を明らかにするために, 細胞融合法を用いて抗MBモノクローナル抗体 (anti-NMB-3) を得た. anti-NMB-3はMBと反応するが肝または皮膚の中間径フィラメントとは反応しなかつた. 蛍光抗体法にて anti-NMB-3はアルコール性肝炎, Wilson 病, 原発性胆汁性肝硬変症, 糖尿病性脂肪肝, 肝癌および griseofulvin 投与CB6F1マウスのMBと反応した. Western blotting では, anti-NMB-3はSDS-ポリアクリルアミドゲル電気泳動法により分離されたMBの分子量42と70~92kdのバンドと反応した. 一方抗ケラチンポリクローナル抗体は分子量66, 62, 55, 45kdのバンドと反応した. したがつて anti-NMB-3はMBのケラチン以外の構成成分と反応しており, MBの成因の解明と肝組織中のMBの検出に有用と思われた.
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宮村 拓郎, 内田 重行
1987 年 84 巻 6 号 p.
1258-1264
発行日: 1987年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
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健常者, 慢性活動性肝炎及び肝硬変患者血清よりリポ蛋白を分離し, 各種 mitogen 刺激で誘導されるリンパ球芽球化に対する影響を観察し, 各群について比較検討した. 超低比重リポ蛋白+低比重リポ蛋白 (VLDL+LDL) 分画の添加により, 慢性肝疾患群は健常群と同程度の芽球化抑制作用を示したが, 高比重リポ蛋白 (HDL) 分画においては慢性肝疾患群は健常群に比し有意な抑制作用を示した (p<0.01). 慢性肝疾患群のHDL分画による抑制作用はアポ蛋白E (アポE) 濃度と有意な相関を示したが(p<0.002), アポE濃度は健常群とに差はみられず, アポEの異常あるいは脂質部分の変化に起因するものと考えられた. 以上の結果からリポ蛋白, 特にHDLは慢性肝疾患における免疫応答に際し重要な修飾因子としての意味を持つものと考えられた.
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鈴木 博, 鈴木 通博, 岡部 和彦, 打越 敏之
1987 年 84 巻 6 号 p.
1265-1271
発行日: 1987年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
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モノクローナル抗体を用いた酵素免疫測定法による血清 Prolyl Hydroxylase (以下SIRPH) を各種肝疾患で測定し, 臨床的意義を検討した. SIRPH値は慢性肝炎非活動性より活動性で上昇, 肝硬変ではさらに高値を示し, アルコール性肝障害においては脂肪肝よりも肝線維症, さらに肝硬変と順次高値を示し, 肝線維化進展へのパラメータとして有用と思われた. しかし非代償性肝硬変や肝細胞癌進行例, 転移性肝癌の一部にSIRPH値が著しい高値を示す例があり, 必ずしも肝線維量だけを反映するものとは思われなかつた. これら著明な上昇は, 合併する炎症, 腫瘍が肝 Prolyl Hydroxylase の誘導, 分泌の刺激となつて生じた結果と思われ, SIRPHを肝線維化の指標としてみる際に留意すべきと思われた.
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正常肝細胞におけるトリプタミン代謝経路およびセロトニン代謝経路
児玉 千枝, 溝口 靖紘, 酒井 万千代, 近藤 洋子, 阪上 吉秀, 小林 絢三, 森沢 成司, 山田 潤, 杉本 由美, 堀坂 和敬
1987 年 84 巻 6 号 p.
1272-1278
発行日: 1987年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
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肝障害時には血清トランスアミナーゼ活性の上昇に先がけて血中にインドール酢酸 (IAA) が増量する. このIAAが肝細胞由来のものであるか否かを検討するため, 分離肝細胞にトリプトファン(TRP) を負荷し, 肝細胞内および肝細胞培養上清中のTRP, トリプタミン (TRM) およびIAA量を経時的に測定した. その結果, TRPを負荷した肝細胞およびその培養上清中にはTRMおよびIAAが経時的に増加した. また, TRMからIAAを形成する反応を触媒する monoamine oxidase の阻害剤をTRPとともに分離肝細胞浮遊液に添加すると, 添加濃度に比例してTRMが増加し, 逆に, IAAが減少した. このことは肝細胞にTRPからTRMを経てIAAを形成する代謝経路が存在することを示唆した.
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X線CTとの比較検討
吉川 正治, 江原 正明, 大藤 正雄, 渡辺 義郎, 松谷 正一, 木村 邦夫, 税所 宏光, 土屋 幸浩, 奥田 邦雄, 舘野 之男
1987 年 84 巻 6 号 p.
1279-1288
発行日: 1987年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
慢性肝炎, 肝硬変, 特発性門脈圧亢進症, Budd-Chiari (下大静脈膜様閉塞)症候群, 肝外門脈閉塞症, Wilson 病, Hemochromatosis の症例, 計74例に磁気共鳴画像 (MRI) を応用し, 緩和時間の検討, CTとの診断能の比較検討を行つた. MRIはCTと比べ, 肝硬変および肝外門脈閉塞症における側副血行路の描出, Budd-Chiari 症候群における閉塞部病変の描出に優れていたが, 肝硬変における肝の形態描出能は, 有意差がなかつた. 肝硬変における肝および脾のT1値, Budd-Chiari 症候群における肝のT1値は, 健常例に比べ有意に延長を示した. 肝硬変における肝のT1値は, ICG15分値と正の相関が見られた.
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ケノデオキシコール酸投与胆汁とウルソデオキシコール酸投与胆汁の比較
米田 政志, 玉沢 直樹, 牧野 勲, 武部 和夫, 古川 力男, 桜庭 清
1987 年 84 巻 6 号 p.
1289-1294
発行日: 1987年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
ヒト胆嚢胆汁を分画分子量10000および1000で限外濾過し, ミセルに代表される分子凝集体の分子サイズ様相をケノデオキシコール酸投与胆汁とウルソデオキシコール酸胆汁で比較検討した. 胆汁酸無投与胆汁では胆汁酸の66%は分子量10000以上の大分子凝集体分画に, 18%は分子量1000以下の二量体ないし単分子体として存在した. ケノデオキシコール酸投与胆汁では胆汁中胆汁酸のうち大分子凝集体分画が増加し (73%), 二量体ないし単分子体分画は有意に減少するが (13%), ウルソデオキシコール酸投与胆汁ではその逆でおのおの59%, 24%であつた. したがつて, 両胆汁酸療法での胆嚢胆汁中分子凝集体の存在様相は明らかに相違する.
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黒色色素の重合機構と炭酸カルシウムの析出について
新妻 義文, 鈴木 範美, 新谷 史明, 伊勢 秀雄
1987 年 84 巻 6 号 p.
1295-1303
発行日: 1987年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
赤外線吸収スペクトルを用いて黒色石の分析を行ない, さらに人工的に黒色色素を生成し黒色色素の重合機構を実験的に検討した. また, 黒色石に高頻度に含有される炭酸カルシウムの析出についても実験的に検討した. 黒色石の黒色色素は赤外線吸収スペクトル上, 合成ビリルビンカルシウムと吸収帯の位置が等しく, スペクトル全体の傾向も同じで吸収強度にのみ違いを認めた. このことより黒色色素は, ビリルビンカルシウムと基本的構造を同じくするビリルビンカルシウムの重合体と考えられた. さらに, 合成ビリルビンカルシウムより in vitro (アルカリ性溶液) で生成した黒色色素は, その諸性質及び赤外線吸収スペクトルが黒色石の黒色色素に極めて類似していたことから, ビリルビンカルシウムはアルカリ性溶液で長時間かけて重合し黒色色素を生成するものと推察された.
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鮫島 朝之, 大井 秀久, 唐仁原 寛, 丸田 修士, 青崎 真一郎, 下鑪 研悟, 中原 晋一, 美園 俊明, 政信 太郎, 橋本 修治, ...
1987 年 84 巻 6 号 p.
1304-1309
発行日: 1987年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
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千葉 満郎, 森川 パブロ, 荒川 弘道, 正宗 研
1987 年 84 巻 6 号 p.
1310-1313
発行日: 1987年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
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加藤 繁夫, 朝倉 均, 市川 栄基, 倉持 茂, 都築 俊治, 土屋 雅春
1987 年 84 巻 6 号 p.
1314-1319
発行日: 1987年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
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杉原 茂孝, 佐藤 光治, 杉山 俊治, 奥田 康司, 才津 秀樹, 中山 和道, 上田 俊明, 剣持 邦彦, 神代 正道
1987 年 84 巻 6 号 p.
1320-1324
発行日: 1987年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
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田村 智, 岡崎 和一, 森田 雅範, 北島 裕慎, 鍵山 惣一, 坂本 芳也, 中澤 慶彦, 山本 泰朗, 山本 泰猛, 伊藤 憲一, 阿 ...
1987 年 84 巻 6 号 p.
1325-1330
発行日: 1987年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
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飯川 能彦, 大石 誠, 伊部 直之, 上野 敏男, 竹田 亮祐, 山田 哲司, 松井 修
1987 年 84 巻 6 号 p.
1331-1333
発行日: 1987年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
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小玉 雅志, 円谷 幸雄, 石川 浩一, 小山 裕文, 成沢 富雄, 小山 研二, 上坂 佳敬
1987 年 84 巻 6 号 p.
1334
発行日: 1987年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
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ロイコトリエンの関与
辻 晋吾, 川野 淳, 佐藤 信紘, 鎌田 武信
1987 年 84 巻 6 号 p.
1335
発行日: 1987年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
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Bromodeoxyuridine(BrdU)モノクローナル抗体を利用した解析
野口 明宏, 松本 由朗, 柴田 和成, 藤井 秀樹, 大盛 芳路, 青山 英久, 関川 敬義, 山本 正之, 菅原 克彦, 須田 耕一
1987 年 84 巻 6 号 p.
1336
発行日: 1987年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー