日本消化器病学会雑誌
Online ISSN : 1349-7693
Print ISSN : 0446-6586
肝胆道疾患におけるヒト胆汁中hEGF様免疫活性について
長谷 寛二福田 善弘国立 裕之境 祐二平岩 望姫野 泰雄小林 展章小沢 和恵黒部 真章林 恭三井村 裕夫
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キーワード: 肝胆道疾患, 胆汁
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1988 年 85 巻 12 号 p. 2610-2617

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抄録

肝胆道疾患すなわち胆嚢ポリープ, 胆石症, 胆道癌, 肝細胞癌, および膵癌患者より得た胆汁中のヒト上皮成長因子 (hEGF) について, 高感度酵素抗体法 (EIA法) を用いて検討した. hEGF様免疫活性 (hEGF-LI) は胆汁中にも存在し, その濃度は2~263ng/mlと血中より高く, 蛋白補正をすると, 0.43~53.7ng/mg protein であつた.胆道癌において胆汁中hEGF-LIは高値をとる傾向がみられた. また胆汁中hEGF-LIは尿中のhEGFより大分子 (約20kDおよび50kD) として存在した. 胆汁中hEGFの意義はいまだ不明であるが, その生化学的性状を含め, 胆管や腸管の粘膜上皮に対する作用など今後さらに検討すべき問題と考えられた.

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