日本消化器病学会雑誌
Online ISSN : 1349-7693
Print ISSN : 0446-6586
HBs抗原, HBs抗体共存例における臨床免疫学的検討
高木 均山田 昇司早川 清也小沢 賢子小島 亨高山 尚斎藤 修一植原 政弘阿部 毅彦飯塚 春太郎片貝 重之佐伯 俊一竹沢 二郎市川 邦男長嶺 竹明小林 節雄
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1988 年 85 巻 2 号 p. 186-192

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抄録

RIAによるHBs抗原, 抗体の共存は, HBs抗原陽性者191名 (うちキャリア187名, 急性B型肝炎4名) 中36名 (18.8%) に見られた. 年齢, 性差, HBe抗原, 抗体の陽性率はHBs抗原, 抗体の共存の有無による差は認めなかつたが, 慢性B型肝疾患患者 (CLD) は無症候性キャリア (ASC) に比し,高率に共存を認め, そのHBs抗体価も有意に高値を示した. 非特異的免疫複合体の titer は共存例と非共存例との間に差は見られなかつたが, HBs抗原特異的免疫複合体は共存例に多く存在した. またCLDの方がASCよりいずれの免疫複合体も高率に存在したことより, 原因か結果かは不明だが, 免疫複合体の, 肝炎の発症, さらには共存例における高い発症率への関与が示唆された.

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