-
佐竹 賢三, 本郷 道夫, 林 義峰, 氏家 裕明, 真山 享, 豊田 隆謙, 後藤 由夫
1988 年 85 巻 2 号 p.
173-177
発行日: 1988年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
糖尿病患者において胃排出能が食後血糖動態に及ぼす影響について人工膵を用いて検討を行つた. 人工膵は血糖値を一定にフィードバックコントロールした場合, インスリン注入動態は間接的に血糖動態を反映している. 胃排出が遅延した患者では人工膵による1日総インスリン注入量に対する食後インスリン注入割合が低く, 胃排出能と食後インスリン需要との間には密接な関係が認められた. すなわち糖尿病患者において胃排出能は食後血糖調節の上で重要な因子であると考えられた.
抄録全体を表示
-
久代 和雄
1988 年 85 巻 2 号 p.
178-185
発行日: 1988年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
門脈下大静脈吻合 (portacaval shunt 以下PCS) ラットを用い, 肝障害合併ラットにおける血中アンモニアレベルの上昇が胃粘膜に及ぼす影響について光顕, 電顕的に検討した. PCSのみの群では平均120μg/dlの血中アンモニア濃度上昇を認め, 被蓋上皮細胞直下の間質に軽度の浮腫を認めた. PCSラットにアンモニア負荷を行い, 30分後には被蓋上皮細胞間及び直下の間質に著明な浮腫を認め, 血中アンモニア濃度下降に伴い浮腫の軽減を認めた. 負荷2時間後では被蓋上皮細胞及び間質の毛細血管は凝集壊死所見を示し, びらんの所見を呈した. 従つて高アンモニア血症はPCSラットにおける胃粘膜障害の発生及び増強の一因子として重要であると考えた.
抄録全体を表示
-
高木 均, 山田 昇司, 早川 清也, 小沢 賢子, 小島 亨, 高山 尚, 斎藤 修一, 植原 政弘, 阿部 毅彦, 飯塚 春太郎, 片貝 ...
1988 年 85 巻 2 号 p.
186-192
発行日: 1988年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
RIAによるHBs抗原, 抗体の共存は, HBs抗原陽性者191名 (うちキャリア187名, 急性B型肝炎4名) 中36名 (18.8%) に見られた. 年齢, 性差, HBe抗原, 抗体の陽性率はHBs抗原, 抗体の共存の有無による差は認めなかつたが, 慢性B型肝疾患患者 (CLD) は無症候性キャリア (ASC) に比し,高率に共存を認め, そのHBs抗体価も有意に高値を示した. 非特異的免疫複合体の titer は共存例と非共存例との間に差は見られなかつたが, HBs抗原特異的免疫複合体は共存例に多く存在した. またCLDの方がASCよりいずれの免疫複合体も高率に存在したことより, 原因か結果かは不明だが, 免疫複合体の, 肝炎の発症, さらには共存例における高い発症率への関与が示唆された.
抄録全体を表示
-
松井 悦郎, 大柳 治正, 斉藤 洋一
1988 年 85 巻 2 号 p.
193-201
発行日: 1988年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
閉塞性黄疸および硬変肝ラットを用い, 糖利用, 肝血流, 酸素消費やミトコンドリア機能を検討した. 障害肝ではグリコーゲン合成能が強く低下しており, グルカゴンおよびcyclic-AMPに対する反応性も低下しており, 肝細胞膜の障害だけでなく second messenger 以後の glycogenolysis も障害されていた. 障害肝では肝ミトコンドリアのチトクローム量の変化のない時期に既に, ミトコンドリア機能は低下しており, その結果としてアデニンヌクレオタイド量の減少を認めた. また障害肝では有効肝血流量が低下し酸素消費量も減少していた. 障害肝のチトクロームは酸素不足に対して正常肝より容易に還元型となつた.
抄録全体を表示
-
陳 信義, 大西 久仁彦, 奥田 邦雄
1988 年 85 巻 2 号 p.
202-206
発行日: 1988年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
肝硬変における肝内血管系の変化を評価するために, 肝硬変症16例を対象として, 肝内動•静脈短絡率を全例で, 門脈•全身短絡率を12例で測定した. 肝内動•静脈短絡率は
99mTc-MAAを固有肝動脈に注入し, シンチカメラにより肺及び肝の放射能を上下加算方式で測定し, 下式より求めた.肝内短絡率=肺領域カウントの和/肺及び肝領域カウントの和×100 (%)日をかえて,
99mTc-MAAを門脈本幹近くに注入し, 肝内動•静脈短絡率と同じ, 方法で門脈•全身短絡率を求めた. 肝内動•静脈短絡率は門脈•全身短絡率に比べて有意に低い値を示した (1.4%±1.1%v.s.36.0%±2.9%, n=12, p<0.001). 以上より, 肝硬変症では, 肝内動脈系の変化は肝内門脈系の変化に比べて軽度と考えられた.
抄録全体を表示
-
春日井 博志, 児島 淳之介, 竜田 正晴, 田中 幸子, 奥田 茂, 佐々木 洋, 今岡 真義, 藤田 真
1988 年 85 巻 2 号 p.
207-216
発行日: 1988年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
1984年11月より1986年3月までに肝細胞癌63例に対し, 肝動脈より, シスプラチン動注の前後にリピオドールとシスプラチンの混合液を動注し, その後ゲルフォームによる塞栓術を行う新しい方法を考案•実施し, 全例に主腫瘍の縮小, 血清AFP値の低下などの治療効果をみとめた. 本法による非切除36例の1年累積生存率は82.3%, 2年累積生存率は42.2%で, 従来のアドリアマイシン, リピオドール, ゲルフォームを用いた動脈塞栓術による1年及び2年累積生存率 (50.0%, 30.0%) に比し, 有意に良好であつた.
副作用はいずれも一過性かつ軽微で, 本法は肝細胞癌の治療には極めて有効な方法と考えられる.
抄録全体を表示
-
西村 正二
1988 年 85 巻 2 号 p.
217-226
発行日: 1988年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
体内におけるコレステロール合成能を反映するといわれる空腹時血清スクアレン (FSS) を健常者, 胆石症および胆石を伴わない高脂血症患者で測定した. 健常者平均は0.49±0.30μg/mlで男女差および年代による差はなかつた. 日内変動では夜間に増加する傾向を認めた. FSSとVLDL-コレステロール, VLDL-トリグリセライド, 胆石形成指数はそれぞれに有意に相関した. FSSはコレステロール胆石症で増加しとくに純コレステロール石で著明であつた. ケノデオキシコール酸(CDCA)投与によりFSSは低下した. 高脂血症におけるFSSはII
a型, II
b型に比しIV型で有意に増加しFSSとトリグリセライドは相関した. コレステロール胆石症とIV型との間にはFSSの増加が共通して認められた.
抄録全体を表示
-
水上 祐治
1988 年 85 巻 2 号 p.
227-235
発行日: 1988年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
慢性肝疾患における消化管運動と消化液分泌との関連性を明らかにするために, 慢性肝疾患29例と非肝疾患8例で, セクレチン投与後の十二指腸内圧, 膵外分泌機能, 血中モチリン濃度を測定し, 肝硬変例では胃病変の有無も検討した. その結果, 慢性肝炎, 代償性肝硬変では, 非肝疾患に比較してセクレチン投与後の十二指腸運動は低下し, 膵外分泌液量は増加していた. 一方, 非代償性肝硬変では膵外分泌各因子とも低下していた. また, 十二指腸運動低下例で胃病変合併率が高かつた. 以上より, 慢性肝炎, 代償性肝硬変における, 十二指腸運動パターンと胆汁•膵液分泌との乗離が証明され, このことが胃病変発生の原因の一つであることが示唆された.
抄録全体を表示
-
名富 仁美, 菅野 健太郎, 岩森 正男, 斉藤 栄一, 久保田 俊一郎, 近藤 行男, 大沢 仲昭, 高久 史麿
1988 年 85 巻 2 号 p.
236-242
発行日: 1988年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
ヒト胃癌培養細胞株における糖鎖抗原CA19-9の産生及び分泌機序について検討した. いくつかの細胞株のうちKATO-IIIに比較的高いCA19-9産生能が認められ, 同時に多量のCEAも分泌していた. しかし, CA19-9とCEAの培地中への分泌動態及び細胞内分布には差異がみられた. CA19-9は蛍光抗体法によりKATO-IIIの細胞膜に存在しており, また, 培養液上清及び細胞抽出液のゲル濾過では分子量の大きな糖蛋白質(ムチン)であることが示唆された. 一方, KATO-III細胞膜の糖脂質(ガングリオシド) 中にはCA19-9は検出されなかつた. 以上より, KATO-IIIはCA19-9を糖脂質としてではなく糎蛋白質 (ムチン) として産生, 分泌していると推定される.
抄録全体を表示
-
Insulin 基礎分泌および Glucose 刺激分泌に及ぼす影響
吉村 高士, 真辺 忠夫, 戸部 隆吉
1988 年 85 巻 2 号 p.
243-251
発行日: 1988年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
galanin の insulin, 膵 glucagon 分泌に対する作用を基礎分泌時, 低濃度 glucose 刺激時に合成 galanin を用いて検討した.
1) 基礎分泌時, insulin は galanin 投与により急速かつ可逆性の用量反応性の低下を示し, これに伴う血糖の変化は galanin 4μg/kg/hrで最大反応が認められた. cortisol, GH, adrenalin, noradrenalin はgalanin の投与前後で変化がなかつた.
2) 低濃度 glucose 持続負荷時, galanin 4μg/kg/hrでは血糖の有意の変化はみられず, 16μg/kg/hrで基礎分泌時の最大反応と同程度の血糖上昇がみられた.
3) 膵 glucagon には, 基礎分泌時にも glucose 負荷時にも galanin 投与による変化は認められなかつた.
以上より galanin は insulin 基礎分泌の control を介して血糖の調節に関与していると推測された.
抄録全体を表示
-
高江洲 裕, 二村 雄次, 早川 直和, 大塚 光二郎, 早川 哲夫, 安井 健三
1988 年 85 巻 2 号 p.
252-259
発行日: 1988年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
上腹部自律神経叢切離が glucagon 分泌に与える影響について検討した. 雑種成犬を麻酔下で対照群, 迷走神経幹切離群, 上腹部自律神経叢切離群の3群を作製し, 十二指腸内ブドウ糖負荷試験を行つた. 迷走神経幹切離群の血糖値, glucagon 分泌反応は対照群と比べ, 有意差を示さなかつた. 上腹部自律神経叢切離群の血糖値, glucagon 分泌反応は対照群と比べ, 有意の高反応を示した. ゲル濾過を行うとブドウ糖負荷後の glucagon 増加の主体は分子量8000~12000にあつた. 上腹部自律神経叢切離は十二指腸内ブドウ糖負荷において主として gut glucagon like immunoreactivity 分泌を促進することが示唆された.
抄録全体を表示
-
bioassay による血中CCK値の変動について
中村 理恵子, 宮坂 京子, 木谷 健一, 久山 泰
1988 年 85 巻 2 号 p.
260-265
発行日: 1988年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
膵液胆汁瘻を作製したラットを用い, 無麻酔下に膵液採取を行い, 膵液•胆汁の腸外への流出 (diversion) に伴う膵外分泌の変化と血中CCK値の変化を検討した. 血中CCKは遊離膵腺房を用いたCCKの bioassay にて測定した. 膵液•胆汁の diversion 開始後, 血漿中CCK-8様活性は2時間後に基礎値の約38倍の最高値に達したのち漸減し, 4時間目以降は基礎値の約15倍で一定となり24時間目まで持続した. CCK活性の変動は膵液中の蛋白排出量の変化とよく平行し, CCKが膵外分泌の luminal feed-back regulation に直接関与していることが確認された.
抄録全体を表示
-
小川 滋彦, 島崎 英樹, 瀬田 孝, 京井 優典, 大家 他喜雄, 小森 貴, 川島 愛雄, 杉浦 仁, 林 守源, 上野 敏男, 竹田 ...
1988 年 85 巻 2 号 p.
266-271
発行日: 1988年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
-
押谷 伸英, 北野 厚生, 重本 達弘, 日置 正人, 小林 絢三, 金尾 宏司, 中島 淳一, 松村 千之
1988 年 85 巻 2 号 p.
272-275
発行日: 1988年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
-
田中 明隆, 尾関 規重, 伊藤 重範, 神谷 泰隆, 高田 善介, 矢崎 裕, 宮治 眞, 伊藤 誠, 武内 俊彦, 林 活次
1988 年 85 巻 2 号 p.
276-280
発行日: 1988年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
-
内藤 裕二, 堀田 忠弘, 山本 英彦, 岩本 一秀, 村頭 智, 冨松 淳子, 草場 昭彦, 坂部 秀文, 中西 和夫, 吉川 敏一, 近 ...
1988 年 85 巻 2 号 p.
281-286
発行日: 1988年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
-
齋藤 修一, 山田 昇司, 高木 均, 阿部 毅彦, 竹沢 二郎, 長嶺 竹明, 小林 節雄, 飯塚 春太郎, 片貝 重之
1988 年 85 巻 2 号 p.
287-291
発行日: 1988年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
-
那須 宏, 小松 眞史, 荒川 弘道, 正宗 研
1988 年 85 巻 2 号 p.
292-295
発行日: 1988年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
-
ラット胃粘膜被蓋上皮の単離細胞を用いた検討
中村 厚, 荒川 哲男, 山田 博明, 根引 浩子, 福田 隆, 中村 肇, 小林 絢三
1988 年 85 巻 2 号 p.
296
発行日: 1988年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー