水浸拘束ストレス潰瘍ラットを作製し, 視床下部, 胃組織および胃液中のIR-TRHの変動をラジオイムノアッセイを用いて検討した. 摘出胃の潰瘍指数の検討では, 拘束時間が長くなるにつれて, 潰瘍指数は増加していた. 拘束後の視床下部IR-TRHは30分, 1, 2時間拘束群で有意に減少し, 4時間拘束群以降は前値に復していた. 胃組織においては腺胃IR-TRHは30分拘束群以降すべての拘束群で有意な減少がみられた. 一方, 胃液中IR-TRHは1時間拘束群以降すべての拘束群で有意な増加を認めた. TRHは水浸拘束時に中枢神経系では視床下部から放出され, また胃局所では胃組織から胃液中へ放出されて, ストレス潰瘍の病態に関連している可能性が示唆された.