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胃型上皮との差異について
高升 正彦, 布施 好信, 藤野 博也, 時田 和彦, 辰巳 嘉英, 川本 克久, 古谷 慎一, 光藤 章二, 辻 秀治, 児玉 正, 瀧野 ...
1988 年 85 巻 5 号 p.
1027-1034
発行日: 1988年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
十二指腸球部隆起性異所性胃底腺粘膜について胃型上皮との差異を中心に検討した. 生検組織所見では上皮は胃型上皮で覆われ, その深部に胃底腺類似の構造を全例に認めた. 内視鏡的経過観察ではほとんど形態変化がみられなかつた. 一方, 十二指腸潰瘍辺縁で83.6%, 十二指腸炎で58.7%, 十二指腸ポリープで51.6%, 内視鏡的正常十二指腸粘膜で13.3%に胃型上皮がみられ, 特に十二指腸潰瘍辺縁では治療機転が進むほど出現頻度, 程度が高度となり, 化生によると考えられた. 以上より, 異所性胃粘膜は完全な胃底腺を伴うものに限るべきで, 胃型上皮とは明確に区別すべきものと考えられた.
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浅香 正博, 目黒 高志, 斉藤 雅雄, 木村 宗士, 林下 尚之, 西川 秀司, 宮崎 保
1988 年 85 巻 5 号 p.
1035-1041
発行日: 1988年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
免疫学的便潜血反応の基礎的研究を行う目的でヒトヘモグロビンAoのRIA法を確立し検討を行つた. ヒトヘモグロビンAoのRIAはヒヒのヘモグロビンと交叉反応を示した以外, 他の動物のヘモグロビンとは反応しなかつた. グアヤック法に比し, 偽陽性は明らかに減少する傾向が認められたが,上部消化管疾患では, グアヤック法の陽性率がはるかに高い傾向を示した. 下部消化管疾患の陽性率については, 免疫学的方法の方が高い傾向を示したが有意差は認められなかつた.
糞便抽出液中のヘモグロビンは免疫原性を失いやすいが, ヘモグロビンヘムに基づくペルオキシダーゼ反応は比較的安定であり, このことが, 感度にすぐれているRIA法がグアヤック法とほぼ同程度の糞便中ヘモグロビン検出感度しか有さない理由であることが示唆された.
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青柳 邦彦, 飯田 三雄, 松井 敏幸, 南部 匠, 藤島 正敏
1988 年 85 巻 5 号 p.
1042-1050
発行日: 1988年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
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活動期11例および寛解期23例の Crohn 病患者に対し半消化態栄養剤(クリニミール
®) を投与し,その治療効果を検討した. primary therapy においては, 治療開始8週後にCDAI, 炎症所見, 栄養学的指標のいずれも有意の改善を示した. X線検査所見でも縦走潰瘍, 敷石状外観, アフタ様潰瘍などの活動性病変は, 小腸で22病変中21病変, 大腸で9病変中8病変が治癒もしくは改善した. また, 同剤を在宅寛解維持療法として投与した場合, その飲用量が1600kcal/日以上の群は800kcal/日以下の群に比べ有意に入院を要する頻度が少なかつた. 以上より, 半消化態栄養剤は Crohn 病の primary therapy としても寛解維持療法としても有効と考えられた.
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加藤 卓次, 郡 大裕, 鈴木 邦夫, 多田 利男, 野村 元積, 伊藤 重二, 佐藤 富貴子, 藤木 典生
1988 年 85 巻 5 号 p.
1051-1059
発行日: 1988年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
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内視鏡的直視下生検によつて得られた胃粘膜生検材料中のヘキソサミン量を指標に, 上部消化管内視鏡検査で胃粘膜に病変を認めない病院健常者58例を対照に, 胃潰瘍36例の胃粘膜内粘液糖蛋白質量の変動を検討した. その結果対照群では加齢や胃粘膜萎縮による粘膜内ヘキソサミン濃度の変化が有意に認められた. 胃潰瘍群では潰瘍辺縁で, 活動期に最も粘膜内ヘキソサミン濃度は低値を示し, 治癒期に上昇して,瘢痕期ではやや低値を示した. 前庭部小弯, 胃角部小弯および胃体上部後壁においても, 粘膜内ヘキソサミン濃度は潰瘍辺縁と同様の変動を示したが, 胃潰瘍のいずれの時相においても対照群と比較して低値を示した.
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内田 秀一, 依岡 省三, 児玉 正, 瀧野 辰郎, 大石 享, 大熊 誠太郎, 栗山 欣弥, 土橋 康成
1988 年 85 巻 5 号 p.
1060-1068
発行日: 1988年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
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酢酸•グリセリン混合液の経口投与により惹起されたラット胃粘膜傷害の形成及び修復過程における粘膜内粘液糖蛋白質量及びその代謝系の経時的変化を検討した. 胃壁内 hexosamine 含量は混合液投与3時間後に低下を示し, 2日目には回復した. Hexosamine synthetase 活性は投与後3時間目に低下した後, 6時間目には上昇するのが観察され, 12時間後に最高値を示した後, 5日目には投与前値とほぼ同値となつた. Hexosaminidase 活性は投与6時間後に最低値となり, その後上昇した. これらの経時変化から, 粘膜内粘液糖蛋白質量は糖蛋白質合成及び分解酵素の活性調節により規定されていることが示唆される.
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飯塚 昭男, 森瀬 公友, 前田 吉昭, 中田 耕一, 満間 照典
1988 年 85 巻 5 号 p.
1069-1076
発行日: 1988年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
水浸拘束ストレス潰瘍ラットを作製し, 視床下部, 胃組織および胃液中のIR-TRHの変動をラジオイムノアッセイを用いて検討した. 摘出胃の潰瘍指数の検討では, 拘束時間が長くなるにつれて, 潰瘍指数は増加していた. 拘束後の視床下部IR-TRHは30分, 1, 2時間拘束群で有意に減少し, 4時間拘束群以降は前値に復していた. 胃組織においては腺胃IR-TRHは30分拘束群以降すべての拘束群で有意な減少がみられた. 一方, 胃液中IR-TRHは1時間拘束群以降すべての拘束群で有意な増加を認めた. TRHは水浸拘束時に中枢神経系では視床下部から放出され, また胃局所では胃組織から胃液中へ放出されて, ストレス潰瘍の病態に関連している可能性が示唆された.
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Epidermal Growth Factor (EGF) の抑制効果について
宮本 忠寿, 伊藤 誠, 横山 善文, 安江 直二, 今井 新平, 城 卓志, 池田 和雄, 岩井 彰, 松佐 古敬, 武内 俊彦, 野口 ...
1988 年 85 巻 5 号 p.
1077-1081
発行日: 1988年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
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ペプシノーゲン (Pg) 分泌に対するEGFの作用を家兎胃粘膜の器官培養法で検討した. EGFは細胞内Ca
2+の mobilization を介してPg分泌を惹起するカルバコール, CCK-8刺激に対しては抑制を示さなかつた. しかし, 細胞内cAMPを増加させてPg分泌を引き起こすフォルスコルン刺激に対しては10
-8Mの濃度で対照の71%, 10
-7Mで56%までの分泌に抑制し, 対照と有意差を示した. また, db-cAMPによるPg分泌を10
-8Mで対照の79%, 10
-7Mで62%に有意に抑制した. 以上よりEGFは細胞内cAMPに依存して惹起されるペプシノーゲン分泌を抑制し, その抑制作用はcAMPが増加した以後の段階で発揮されるものと考えられた.
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樋口 和秀, 松本 誉之, 荒川 哲男, 北野 厚生, 名倉 宏, 小林 絢三
1988 年 85 巻 5 号 p.
1082-1087
発行日: 1988年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
ラット胃粘膜における prostaglandin E
2 (PGE
2) の細胞局在について, 免疫組織学的手法を用いて検討した. その結果, PGE
2の特異染色は, 粘膜被蓋上皮細胞の管腔側表層, および腺体部, 腺底部の上皮細胞, 特に, 壁細胞に強く認められた. しかも, それらは, 壁細胞においては, 細胞質内に顆粒状の存在様式を示した. また, PG合成酵素阻害剤である indomethacin を前投与することによつて, 前述の陽性所見は著明に減弱した. 以上のことより, 壁細胞が, 細胞保護作用, 酸分泌抑制作用を有するPGE
2を合成する可能性が強く示唆された. このことは, 酸分泌細胞である壁細胞が同時に胃粘膜防御機構においても重要な役割を果たしていることを想定させるきわめて興味深い知見と考える.
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神田 勤, 大槻 眞, 林 泰史, 明山 燿久, 鈴木 都男, 吉田 勤, 宮本 岳, 妻野 光則, 馬場 茂明, 上松 一郎
1988 年 85 巻 5 号 p.
1088-1094
発行日: 1988年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
肝硬変症における骨減少症合併の頻度および病態との関連を検討した. 骨減少症は Microdensitometry法 (I度以上) では21.2%に認められたが, 慈大式分類では61.5%に達した. Microdensitometry法では正常と診断された28例中18例 (64.3%) は, 慈大式分類では初期骨粗鬆症を呈した. その上, 慈大式分類は Singh 指数の成績とよく一致した. 従つて肝硬変症における骨減少症のX線診断には, 椎骨など海綿骨に対する直接的な評価が必要と思われた. 肝硬変症では常習飲酒歴のあるものや, 肝機能検査上コリンエステラーゼ低値, ガンマグロブリン高値あるいは二次性副甲状腺機能亢進症などを伴う非代償性肝硬変症に骨減少症が多く, 肝硬変症の進行とともに, 骨減少症が発症しやすくなることが示唆された.
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小島 豊雄
1988 年 85 巻 5 号 p.
1095-1102
発行日: 1988年
公開日: 2007/12/26
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B型急性肝炎 (AVH) 33例, 無症候性HBVキャリア (ASC) 15例, B型慢性肝炎 (CH) 40例の血中HBV-DNAを測定し, その臨床的意義を検討した. AVHでのHBV-DNA陽性例は33例中9例(27.3%) で, 陰性例に比しs-GPTの正常化が遅れ肝炎の遷延傾向を認めた. ASCではHBV-DNAとHBe抗原抗体系がよく相関した. CHでのHBV-DNAはHBe抗原陽性30例全例とHBe抗体陽性10例中6例に陽性で, 肝炎の経過を最も鋭敏に反映した. また, HBV-DNAは肝内HBs抗原とは関連を認めず, 肝内HBc抗原とよく相関した. 以上より, 血中HBV-DNAはAVHでは肝炎の遷延化を示唆する指標に, CHではHBV増殖に伴う肝炎の増悪を最も鋭敏に反映する指標になると考えられた.
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菅野 千秋, 小山 捷平, 松井 裕史, 平井 信二, 海老原 次男, 中原 朗, 福富 久之, 大菅 俊明, 斉藤 洋子, 菊池 正教, ...
1988 年 85 巻 5 号 p.
1103-1109
発行日: 1988年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
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太田 康男, 橋本 直明, 梅田 典嗣, 正田 良介, 川村 紀夫, 森下 京子, 大和 滋, 村岡 亮, 松枝 啓, 下条 ゑみ, 織田 ...
1988 年 85 巻 5 号 p.
1110-1113
発行日: 1988年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
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蛍光抗体法による腎病変の検討
鶴居 信昭, 小松 眞史, 八木澤 仁, 水野 康司, 戸堀 文雄, 荒川 弘道, 正宗 研, 中本 安
1988 年 85 巻 5 号 p.
1114-1118
発行日: 1988年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
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中沼 安二, 車谷 宏, 寺田 忠史, 帯刀 圭子
1988 年 85 巻 5 号 p.
1119-1122
発行日: 1988年
公開日: 2007/12/26
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本邦45例の予後調査も含めて
飯島 敏彦, 新田 昭彦, 堀内 啓, 住 幸治, 玉本 文彦, 福永 正氣, 八木 義弘, 山城 雄二, 南部 勝司
1988 年 85 巻 5 号 p.
1123-1127
発行日: 1988年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
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杉山 敏郎, 吉田 博清, 今井 浩三, 矢花 剛, 谷内 昭, 横田 憲二, 小熊 恵二
1988 年 85 巻 5 号 p.
1128
発行日: 1988年
公開日: 2007/12/26
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嘉村 好峰, 才津 秀樹, 谷脇 智, 江口 俊郎, 津留 昭雄, 中山 和道, 大石 喜六, 杉原 茂孝, 神代 正道, 野中 道泰, 吉 ...
1988 年 85 巻 5 号 p.
1129
発行日: 1988年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
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跡見 裕, 森 俊幸, 寺島 裕夫, 黒田 慧, 森岡 恭彦, 山本 孝史, 輿水 馨
1988 年 85 巻 5 号 p.
1130
発行日: 1988年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
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跡見 裕, 杉山 政則, 森岡 恭彦, 伊藤 徹, 小菅 智男, 出月 康夫
1988 年 85 巻 5 号 p.
1131
発行日: 1988年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー