1988 年 85 巻 6 号 p. 1233-1239
薬剤性大腸炎のうち非偽膜性例70例を内視鏡像から4型に分類し臨床的検討を行つた. I型 (広範びまん性病変) は40例で最も多く, 若年者に好発, 血性下痢, 腹痛が高率, 基礎疾患に感冒が多い, 合成ペニシリン, 経口, 単剤投与が多いなどの特徴がみられた. II型 (縦走潰瘍) は7例でセフェム系投与例もかなり存在する以外I型に類似した. III型 (アフタ様病変) は15例で年齢, 症状, 抗生剤の内容, 投与経路, 好発部位, C. difficile D1毒素陽性例の存在など多くの点で偽膜性大腸炎に類似した. IV型 (非特異性病変) は8例で内視鏡的にはI型やII型の軽症例とも考えられるが, 臨床的に類似性がなかつた. 以上各型それぞれ異なつた発症機序の存在が示唆された.