日本消化器病学会雑誌
Online ISSN : 1349-7693
Print ISSN : 0446-6586
薬剤性出血性大腸炎の臨床的検討
林 繁和中村 常哉栗田 恭充土田 健史
著者情報
ジャーナル フリー

1988 年 85 巻 6 号 p. 1233-1239

詳細
抄録

薬剤性大腸炎のうち非偽膜性例70例を内視鏡像から4型に分類し臨床的検討を行つた. I型 (広範びまん性病変) は40例で最も多く, 若年者に好発, 血性下痢, 腹痛が高率, 基礎疾患に感冒が多い, 合成ペニシリン, 経口, 単剤投与が多いなどの特徴がみられた. II型 (縦走潰瘍) は7例でセフェム系投与例もかなり存在する以外I型に類似した. III型 (アフタ様病変) は15例で年齢, 症状, 抗生剤の内容, 投与経路, 好発部位, C. difficile D1毒素陽性例の存在など多くの点で偽膜性大腸炎に類似した. IV型 (非特異性病変) は8例で内視鏡的にはI型やII型の軽症例とも考えられるが, 臨床的に類似性がなかつた. 以上各型それぞれ異なつた発症機序の存在が示唆された.

著者関連情報
© 財団法人 日本消化器病学会
前の記事 次の記事
feedback
Top