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特に閉塞性黄疸, 急性腎不全ラットにおける胃粘膜障害への効果について
難波 繁伸
1988 年 85 巻 6 号 p.
1223-1232
発行日: 1988年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
閉塞性黄疸, 急性腎不全ラットに水浸拘束ストレスを負荷し, これら実験潰瘍について omeprazoleの抗潰瘍作用を cimetidine と比較検討した. 胃粘膜pH上昇作用は, 閉塞性黄疸群, 急性腎不全群両群で, omeprazole は cimetidine よりも強力であつた. PDは, 閉塞性黄疸群では omeprazole に著明な上昇作用が認められたが, cimetidine にはみられなかつた. 急性腎不全群では両薬剤ともにPD上昇作用はほとんど認められなかつた. 抗潰瘍作用は, 両薬剤ともに閉塞性黄疸群では顕著に認められ, 最大抑制値に有意差を認めなかつた. 一方, 急性腎不全群では, omeprazole は閉塞性黄疸群と同様に著明な抗潰瘍作用が認められたが, cimetidine の抗潰瘍作用は軽度にとどまつた.
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林 繁和, 中村 常哉, 栗田 恭充, 土田 健史
1988 年 85 巻 6 号 p.
1233-1239
発行日: 1988年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
薬剤性大腸炎のうち非偽膜性例70例を内視鏡像から4型に分類し臨床的検討を行つた. I型 (広範びまん性病変) は40例で最も多く, 若年者に好発, 血性下痢, 腹痛が高率, 基礎疾患に感冒が多い, 合成ペニシリン, 経口, 単剤投与が多いなどの特徴がみられた. II型 (縦走潰瘍) は7例でセフェム系投与例もかなり存在する以外I型に類似した. III型 (アフタ様病変) は15例で年齢, 症状, 抗生剤の内容, 投与経路, 好発部位, C. difficile D1毒素陽性例の存在など多くの点で偽膜性大腸炎に類似した. IV型 (非特異性病変) は8例で内視鏡的にはI型やII型の軽症例とも考えられるが, 臨床的に類似性がなかつた. 以上各型それぞれ異なつた発症機序の存在が示唆された.
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林 勝吉, 平田 一郎, 折野 真哉, 斉藤 治, 藤田 亨, 奥村 泰啓, 芦田 潔, 三好 博文, 浅田 修二, 大柴 三郎
1988 年 85 巻 6 号 p.
1240-1244
発行日: 1988年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
IBD患者の末梢血におけるNK活性と NK subsets を, それぞれ
51Cr release cytotoxicity assayと, two color flowcytometry analysis を用いて検討した. 末梢血NK活性は, IBDにおいて低下していた. このNK活性は, UCにおいて, ステロイド治療により低下傾向を認めたが, 疾患活動期別には有意差を認めなかつた. またIBDにおいて, 全NK細胞数 (Leu 7
+or 11c
+) の増減は認めないが, NKsubsets の割合は, Leu7
+11c
-の増加, Leu7
-11c
+の減少を認めNK細胞の成熟分化障害が推定された. IBDにおけるNK活性の低下は, 上記の NK subsets の変動から裏づけられた. この様な NK subsetsの変動は, non IBD colitis では認めなかつたことよりIBDに特異的な所見と推定された.
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鴨井 三朗
1988 年 85 巻 6 号 p.
1245-1251
発行日: 1988年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
炎症性腸疾患における血中 Lipid A抗体活性を各免疫グロブリンクラス別にELISA法を用いクローン病 (以下CD) 11例, 潰瘍性大腸炎 (以下UC) 8例において測定した. IgAクラス Lipid A抗体活性はCD群56.7±22%, UC群35.8%±6.7%, 正常コントロール (以下NC) 群15±8.7%とCD群で著明な上昇を見た. IgGクラス Lipid A抗体活性はCD群では73.5±18.2%とUC群52.2±14.3%, NC群54.5±23.8%より有意に上昇していた. IgMクラス Lipid A抗体活性は各群間で有意差を認めなかつた. さらにIgAクラス Lipid A抗体の分子性状を高速液体クロマトグラフィーにより検討するとCD群では dimerci IgAの分画に一致して Lipid A抗体活性の上昇が見られた. 以上よりCD群では腸管粘膜局所で細菌性抗原に対する抗体産生が亢進していると考えられた.
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山片 敦
1988 年 85 巻 6 号 p.
1252-1259
発行日: 1988年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
Single Photon Emission Computed Tomography (SPECT) による肝•脾容積及び放射能摂取率測定の臨床的有用性を検討するため, 肝硬変症24例を含む種々の肝機能異常を示す62例と, 別に健常成人25例についてSPECTを施行した. 肝•脾容積算出の為の cut-off level 及び臓器内放射能測定の為の計数 (カウント)-放射能 (mCi) 較正曲線はファントーム実験より求めた. 肝硬変症においては肝摂取率の減少と脾容積•脾摂取率の増大を認めた. 肝容積•肝摂取率とICG (R
15) 検査値との間には, 負の相関を認め肝硬変症においては肝•脾の容積及び摂取率の測定は主として有効肝血流量を反映していることを示唆した.
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各種HBVマーカーとの関連
道尭 浩二郎
1988 年 85 巻 6 号 p.
1260-1268
発行日: 1988年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
各種肝疾患において肝組織内HBV DNAを
3H-probeを用いた in situ hybridization 法で検出した. HBV DNAが検出されたのはHBV持続感染例に限られていた. HBV DNAは肝細胞の核と細胞質, 一部の検体では動脈壁に検出された. HBV DNA陽性肝細胞の組織内分布は, Diffuse pattern, Lobular pattern, Spotty pattern の3型に分類され, Diffuse pattern, Lobular pattern 例にはHBe抗原陽性例, DNA-P活性高値例を多く認めた. 組織内HBc抗原陽性部は通常HBV DNA陽性だが, HBs抗原陽性部には必ずしもHBV DNAは検出されず, 組織内HBV DNA, HBc抗原はHBV増殖の指標になるが, HBs抗原はHBV増殖が軽微な肝細胞にも発現することが明らかになつた.
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阪上 吉秀, 溝口 靖紘, 河田 則文, 久保井 広志, 関 守一, 小林 絢三, 申 東桓, 武田 弘, 木岡 清英, 市川 裕三, 森澤 ...
1988 年 85 巻 6 号 p.
1269-1272
発行日: 1988年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
ペプチドロイコトリエンであるロイコトリエンC
4, D
4, およびE
4 (LTC
4, LTD
4, LTE
4) は主 として血管を収縮し, 血管透過性を亢進させるケミカルメジエーターである.
Kupffer 細胞からのLTC
4, LTD
4およびLTE
4の産生能を調べるために, ラット肝より分離したKupffer 細胞を calcium ionophore A23187で刺激して上清中のLTC
4, LTD
4, およびLTE
4産生を高速液体クロマトグラフィーと radioimmunoassay にて測定した. その結果, calcium ionophore で刺激した Kupffer 細胞上清中にLTC
4, LTD
4, およびLTE
4が検出された. このことは, Kupffer 細胞も白血球と同様にLTC
4, LTD
4, およびLTE
4を産生することを示しており, Kupffer 細胞はペプチドロイコトリエンの産生を通じて肝の炎症性病変を修飾している可能性が考えられた.
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木村 理, 永井 秀雄, 黒田 慧, 森岡 恭彦
1988 年 85 巻 6 号 p.
1273-1281
発行日: 1988年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
高齢者を主体とした連続剖検例3000例を対象として, 無症状胆嚢癌の臨床病理学的検討を行つた. 胆嚢癌は80例 (2.67%) にみられ, このうち無症状胆嚢癌は15例 (剖検例の0.5%, 胆嚢癌の18.8%) に認められた. Stage 分類では, 有症状群は全例 Stage IVであるのに対し, 無症状群はI: 12例, II: 1例, III: 2例であり, Stage Iが80.0%と高率であつた. これら15例の癌の組織学的深達度は, 粘膜内にとどまるもの (m), 4例, 固有筋層に達するもの (pm), 1例, 漿膜下に達するもの (ss), 9例, および漿膜に達するもの (se), 1例と, 漿膜下に達する症例が60.0%に及んだ. 癌が漿膜下に達する症例は, Stage I症例においても12例中7例 (58.3%) と高率に見られ, その浸潤様式はβが6例 (85.7%) と大多数を占めた. しかし, 15例のうち癌の肝十二指腸間膜浸潤やリンパ節転移のみられた症例はそれぞれ1例にすぎず, 他臓器への転移はいずれの例にも認められなかつた. m癌, pm癌はもちろん, 漿膜下への浸潤を伴う例でも, ssα-βの深達度および浸潤増殖様式を示すものは, 癌の胆嚢壁外への進展は少ないことが示唆された. 以上より, 胆嚢癌の治癒成績向上のためには, 無症状期での発見が極めて重要であると考えられた.
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八木 雅夫, 小野田 秀樹, 渡辺 俊雄, 高森 正人, 小西 孝司, 永川 宅和, 三輪 晃一, 宮崎 逸夫
1988 年 85 巻 6 号 p.
1282-1287
発行日: 1988年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
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膵手術後症例に対するBT-PABA test (PFD test) とfecal chymotrypsin test (FCT) の臨床的意義を検討した. D-xylose 試験の D-xylose 尿中排泄値が1.2g以上の症例では, PFD test の尿中PBBA回収率とFCTの糞便中 chymotrypsin 活性は統計学的に有意な正の相関を示したが, 1.2g未満の症例では相関は認められなかつた. PFD test の尿中PABA回収率をD-xylose 試験の D-xylose 尿中排泄値で補正した膵性消化障内率 (PMDR) とFCTの糞便中 chymotrypsin 活性は統計学的に有意な正の相関を示した. したがつて, PFD test とFCTは膵手術後の膵外分泌機能の評価に有用であるが, PFD test では D-xylose 試験の併用によるPABAの吸収障害の補正が必要であると考えられた.
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吉田 行哉, 橋本 光代, 早川 和雄, 福地 創太郎, 小川 高伴, 臼杵 憲祐, 山本 勇, 松谷 章司
1988 年 85 巻 6 号 p.
1288-1294
発行日: 1988年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
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田沢 潤一, 星野 裕治, 小林 史枝, 内原 正勝, 西村 正信, 蓮村 靖
1988 年 85 巻 6 号 p.
1295-1298
発行日: 1988年
公開日: 2007/12/26
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藤本 秀明, 山中 昭良, 武永 強, 山田 昌弘, 佐々部 正孝, 高清水 一善, 山本 信彦, 田村 裕子, 黒沢 弘之進, 大草 敏史 ...
1988 年 85 巻 6 号 p.
1299-1303
発行日: 1988年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
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矢津 剛, 宮田 康司, 松浦 尚志, 木村 寿成, 古賀 俊逸, 井林 博
1988 年 85 巻 6 号 p.
1304-1307
発行日: 1988年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
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足立 佳世子, 富士 匡, 中田 和孝, 野口 隆義, 相部 剛, 竹本 忠良, 石原 得博, 内野 文弥
1988 年 85 巻 6 号 p.
1308-1311
発行日: 1988年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
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曽山 信彦, 山本 正博, 大柳 治正, 斉藤 洋一, 千葉 勉
1988 年 85 巻 6 号 p.
1312-1316
発行日: 1988年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
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大曽根 卓, 窪田 良彦, 勝亦 重弘, 堀向 文憲, 宮岡 正明, 斎藤 利彦, 芦沢 真六, 小池 克昌, 松本 顕治, 羽田 雅夫, ...
1988 年 85 巻 6 号 p.
1317
発行日: 1988年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
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市場 圭子, 西口 修平, 黒木 哲夫, 田中 隆, 大谷 周造, 戸田 隆, 門奈 丈之, 小林 絢三
1988 年 85 巻 6 号 p.
1318
発行日: 1988年
公開日: 2007/12/26
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特に Western blotting 法による guanase 抗体の検討
伊東 進, 岩崎 明温, 春藤 譲治, 辻 泰弘, 和田 哲, 清水 一郎, 岸 清一郎, 伊井 邦雄
1988 年 85 巻 6 号 p.
1319
発行日: 1988年
公開日: 2007/12/26
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寺島 裕夫, 跡見 裕, 黒田 慧, 森岡 恭彦, 池北 雅彦, 青木 一正, 鎌田 雅史, 木付 和幸, 守屋 寛
1988 年 85 巻 6 号 p.
1320
発行日: 1988年
公開日: 2007/12/26
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