日本消化器病学会雑誌
Online ISSN : 1349-7693
Print ISSN : 0446-6586
ラット急性膵炎モデルにおける血清中, 腹水中, 膵組織中の phospholipase A2の動態に関する実験的研究
小野山 裕彦山本 正博斎藤 洋一
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キーワード: 急性膵炎
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1989 年 86 巻 1 号 p. 60-69

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抄録

ラットを用いて浮腫性および出血壊死性の重症度の異なる急性膵炎モデを作成し, 血清中, 腹水中の phospholipase A2 (PLA2)活性を比較した. 血清PLA2活性は急性膵炎で上昇するが重症度とは相関しなかつた. 一方, 腹水中PLA2活性は重症度とよく相関した. また, 膵組織PLA2活性は急性膵炎の経過と共に上昇したがその活性の増加は顆粒画分の上昇を反映し, amylase とは明らかに異なつていた. 顆粒画分の活性の上昇は膜結合性PLA2の活性化を反映していると考えられ, 急性膵炎では膜結合性PLA2の活性化が膵局所の病変進展と何らかの関連を有し, 活性化の機序としては endotoxin の関与も示唆された.

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