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とくに機能異常を呈する食道の病理組織学的特徴について
越野 保一, 高井 哲, 森脇 久隆, 武藤 泰敏
1989 年 86 巻 1 号 p.
1-10
発行日: 1989年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
生前, 食道X線•内視鏡•内圧検査を施行し, 食道の拡張と機能の低下を認めた, 高度な (LsF
2• LsF
3) 食道静脈瘤を有する食道8例の神経病理学的所見を, 7例の対照群と比較検討した. その結果食道上部•中部•下部のいずれの標本においても, 食道静脈瘤群の Auerbach 神経叢の神経細胞は, 対照群に比し有意に数が減少し, 一方核の変形•Nissl 顆粒の崩壊の比率は有意に高く, これらの変化はとくに食道下部で著しかつた. 従つて, 食道の拡張と機能低下を来した高度な食道静脈瘤を有する食道では, Auerbach 神経叢の神経細胞の脱落•変性•壊死が特徴的であり, 食道機能異常の成因の少なくとも一部にこのような変化が関与し得る可能性が示唆された.
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Sulfamethizole カプセル食法による固形食胃排出能の検討
浅田 武夫, 佐古 伊康, 福島 豊, 三宅 健夫, 浅田 照夫
1989 年 86 巻 1 号 p.
11-18
発行日: 1989年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
われわれは簡便な胃排出能検査法として, sulfamethizole 含有のカプセル食を用いる方法を開発した. カプセル食は生理的食塩水や塩酸中では sulfamethizole を軽度遊出するのみであるが, 重炭酸ナトリウム水溶液中では急速にほぼ全量を遊出した. 胃排出能は被験者にカプセル食を摂取させたのち, sulfamethizole の血中濃度を測定して評価した. カプセル食を摂取すると, sulfamethizole 血中濃度は初期15分間ほとんど上昇せず, その後漸増して, アイソトープ法で報告されている固形食の胃排出パターンに近似した. カプセル食と食パンを同時に摂取すると, カプセル食の胃排出は遅延した. 本法は固形食の胃排出能の評価に臨床的に有用と考えられる.
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とくに, 両者の combination assay の有用性について
中越 享, 広田 正毅, 平谷 一人, 福島 喜代康, 下山 孝俊, 三浦 敏夫, 富田 正雄, 原 耕平, 伊福 真澄
1989 年 86 巻 1 号 p.
19-25
発行日: 1989年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
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胃癌手術症例141例の同一血清を用いて, 互いに構造異性体である糖鎖抗原 sialylated Lewis
x と sialylated Lewis
a (CA19-9)を測定し, その臨床病理学的因子別差異および相関関係を調べるとともに, CEAもあわせて比較検討した. 陽性率は sialylated Lewis
a 26.9%, CEA 21.8%, sialylated Lewis
x 17.0%の順であつた. sialylated Lewis
x は肝転移•腹膜播種の腫瘍量と良く相関したが, 他に特徴は見出せなかつた. sialylated Lewis
a はリンパ節転移陽性例で陽性率が高く, 組織型ではmucとpapで高い陽性率を示した. 両抗原の間には相関関係を認めず, 両者の combination assay が有効で, CEAでは検出できない部分の拾い上げが可能であると考えられた.
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モルモット壁間輸送電位測定による検討
布施 建治, 馬場 忠雄, 佐々木 雅也, 細田 四郎
1989 年 86 巻 1 号 p.
26-31
発行日: 1989年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
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低分子ペプチド食投与の, 刷子縁膜アミノペプチダーゼ活性とアミノ酸吸収に及ぼす影響をモルモットにて検討した. アミノ酸吸収に及ぼす影響とその機序は, 壁間輸送電位を測定することにより検討した. 刷子縁膜アミノペプチダーゼ活性は, 低分子ペプチド成分栄養剤飼育群(以下SP群)では, アミノ酸混合成分栄養剤飼育群 (以下AA群) に比べ有意に上昇した. またSP群ではAA群に比べ, ジペプチドである glycyl-L-leucine のみならず, アミノ酸である L-leucine の吸収も亢進した. SP群における L-leucine のΔPDmaxが亢進したことより, SP群におけるアミノ酸の吸収亢進は担体の数の増加によるものと推論された.
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清沢 研道, 袖山 健, 赤羽 賢浩, 宜保 行雄, 田中 栄司, 中野 善之, 古田 精市
1989 年 86 巻 1 号 p.
32-38
発行日: 1989年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
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1970年~1987年に当科に受診した散発性急性ウイルス肝炎患者は593例で, このうち医療従事者はA型147例中3例 (2%), B型174例中19例 (11%), 非A非B型272例中21例 (8%) で後2者はA型に比し高率であつた. 非A非B型21例中8例 (38%) に発症1-2カ月前に針事故を認め, 同期間の信大病院職員の散発性急性ウイルス肝炎の発生はA型2例, B型10例非A非B型15例で, 全て医師, 看護婦, 臨床検査技師であり, 事務職員よりの発症はなかつた. 過去3年間の信大病院での非A非B型感染事故は50件あり, このうち2例に急性肝炎の発症をみた. 医療従事者にはB型肝炎同様非A非B型肝炎が高頻度に感染することが明らかとなつた.
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病態生理に関する基礎的検討
永井 孝三
1989 年 86 巻 1 号 p.
39-44
発行日: 1989年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
肝硬変症における亜鉛代謝異常と肝性脳症との関連につき, 尿素回路機, アンモニア代謝面より基礎的検討を行つた. 四塩化炭素慢性投与により肝硬変ラットを作製した. 肝硬変ラットにおいてはcontrol と比し血清亜鉛濃度の低下 (LC 118.6±33.7μg/dl: control 161.6±13.9, p<0.05), 亜鉛含量の低下 (LC 81.4±16.3μg/g DW: control 108.1±6.9μg/g DW, p<0.01), 血中アンモニアの上昇(LC 87.2±38.5μg/dl: control 38.5±10.6μg/dl, p<0.05) 肝オルニチンカルバミールトランスフェラーゼ (OCT) 活性の低下 (LC 24.7±4.0U/mg prot: control 42.4±3.8U/mg prot, p<0.01) を認めた. 肝亜鉛含量と肝OCT活性には相関がみられた (r=0.6075). また肝硬変ラットを亜鉛制限食にて飼育すると肝亜鉛含量の低下とともに肝OCT活性の低下 (p<0.01), 血中アンモニアの上昇 (p<0.01) を認めた. 以上の成績は肝硬変症では亜鉛欠乏状態が存在し肝OCT活性の低下を介し高アンモニア血症を助長している可能性を強く示唆した.
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肝細胞内cAMP量に及ぼす催胆汁うつ滞因子の影響について
木岡 清英, 溝口 靖紘, 市川 裕三, 申 東桓, 阪上 吉秀, 小林 絢三, 森沢 成司, 山本 祐夫
1989 年 86 巻 1 号 p.
45-49
発行日: 1989年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
肝細胞内cAMPが胆汁分泌に重要な役割を果たすことが示されている. そこで, 催胆汁うつ滞因子の作用機構を検討する目的で催胆汁うつ滞因子および催胆汁うつ滞因子の作用を抑制する Prostaglandin E
1誘導体の肝細胞内cAMP量に及ぼす影響について検討した. その結果, 催胆汁うつ滞因子は肝細胞内cAMP量を減少させ, 反対にPGE
1誘導体は増加させた. 催胆汁うつ滞因子によつて減少した肝細胞内cAMP量はPGE
1誘導体によつてもとのレベルまで増加した.
肝細胞内cAMP量の増加が胆汁酸非依存性胆汁分泌を促進することから, 催胆汁うつ滞因子は肝細胞内cAMP量を減少させることによつて胆汁流量を減少させ, PGE
1誘導体は肝細胞内cAMP量の増加を介して, 催胆汁うつ滞因子の作用に拮抗している可能性が示唆された.
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特に胆汁中胆汁酸との関連を中心に
川口 英弘
1989 年 86 巻 1 号 p.
50-59
発行日: 1989年
公開日: 2007/12/26
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雑種成犬を用い正常時•胆道閉塞時ならびに閉塞解除後における抗生物質の胆汁中移行を検討し, 以下の結論を得た. (1)閉塞時では正常時に比し胆汁中移行は不良で, また解除直後では血中から胆汁中へ至る逆短絡経路の存在が示唆された. (2)解除後1週目では未だ正常時に比し胆汁中移行は不良であつたが, 内•外瘻群間の胆汁中2次/1次胆汁酸比に差を認め, 抗生物質の胆汁中移行は外瘻群に比し内瘻群で良好な成績であつた. 閉塞解除後の内瘻術や経口的胆汁摂取または胆汁酸製剤の服用により胆汁中の抗生物質の移行は良好となるが, これは胆汁中2次/1次胆汁酸比の正常化で示される胆汁酸の腸肝循環の回復によることを実験的に証明した.
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小野山 裕彦, 山本 正博, 斎藤 洋一
1989 年 86 巻 1 号 p.
60-69
発行日: 1989年
公開日: 2007/12/26
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ラットを用いて浮腫性および出血壊死性の重症度の異なる急性膵炎モデを作成し, 血清中, 腹水中の phospholipase A
2 (PLA
2)活性を比較した. 血清PLA
2活性は急性膵炎で上昇するが重症度とは相関しなかつた. 一方, 腹水中PLA
2活性は重症度とよく相関した. また, 膵組織PLA
2活性は急性膵炎の経過と共に上昇したがその活性の増加は顆粒画分の上昇を反映し, amylase とは明らかに異なつていた. 顆粒画分の活性の上昇は膜結合性PLA
2の活性化を反映していると考えられ, 急性膵炎では膜結合性PLA
2の活性化が膵局所の病変進展と何らかの関連を有し, 活性化の機序としては endotoxin の関与も示唆された.
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白鳥 敬子, 渡辺 伸一郎, 清水 京子, 森吉 百合子, 張 正和, 竹内 正
1989 年 86 巻 1 号 p.
70-76
発行日: 1989年
公開日: 2007/12/26
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新しい Cholecystokinin (CCK) 受容体拮抗剤であるCR1409のCCK拮抗作用を proglumide と比較検討した. 麻酔下のラットでCCK-8(0.06μg/kg-hr)を静脈投与し, 膵管から純粋膵液を採取した. 同時にCR1409を0.04-25mg/kg-hr, proglumide を30-600mg/kg-hr の各用量で静脈投与したが, いずれも膵液量, アミラーゼ分泌量の増加を用量依存性に抑制し, そのED50はCR1409が0.2mg/kg-hr, proglumide は200mg/kg-hrで, CR1409は, proglumide の約1000倍強力であつた. さらにCR1409 (5mg/kg-hr), proglumide (600mg/kg-hr) は, 十二指腸内カゼイン (400mg/hr) 投与により増加した膵外分泌も有意に抑制した. 以上のように, in vivo でCR1409の強力なCCK拮抗作用を認めた.
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藤井 正俊, 大槻 眞, 中村 隆彦, 岡林 克典, 谷 聡, 藤澤 貴史, 小出 亮, 馬場 茂明
1989 年 86 巻 1 号 p.
77-82
発行日: 1989年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
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新しい proglumide 誘導体である loxiglumide (CR1505) の
125I-CCK-8結合およびCCK-8による膵 amylase 放出におよぼす作用をラット遊離膵腺房を用いて検討した. Loxiglumide は
125I-CCK-8の腺房細胞への結合とCCK-8刺激に対する amylase 分泌反応を濃度依存性に阻害した. Loxiglumide はCCK-8刺激による amylase 放出の用量反応曲線を, 最大 amylase 放出量を変化させることなく, 右方へ偏移させ, Schild plot における傾きは0.82であり, pA
2は7.05であつた. Loxiglumide は, CCK-8のみならず cearulein や gastrin-I の amylase 分泌作用を抑制したが, bombesin, carbamylcholine, secretin, vasoactive intestinal polypeptide, A23187, およびTPAの amylase 放出作用には影響を与えなかつた. 以上の結果より, loxiglumide は膵腺房細胞のCCK受容体に対して, 特異的, 競合的に強力な拮抗作用を示すことが明らかとなつた.
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症例報告と本邦報告例の検討
村田 育夫, 牧山 和也, 芳賀 英章, 岩永 整磨, 山崎 和文, 水田 陽平, 久保 啓吾, 千住 雅博, 今西 建夫, 原 耕平, 安 ...
1989 年 86 巻 1 号 p.
83-87
発行日: 1989年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
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千葉 満郎, 五十嵐 潔, 正宗 研, 伊藤 善信
1989 年 86 巻 1 号 p.
88-90
発行日: 1989年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
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奥田 哲也, 末永 裕之, 寺嶋 康夫, 鳥井 彰人, 小寺 泰弘, 禰〓田 政隆, 余語 弘
1989 年 86 巻 1 号 p.
91-94
発行日: 1989年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
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植原 政弘, 竹澤 二郎, 山田 昇司, 桜井 誠司, 高木 均, 小島 亨, 桑原 英真, 小林 節雄, 伊藤 秀明, 城下 尚
1989 年 86 巻 1 号 p.
95-99
発行日: 1989年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
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竹越 國夫, 遠山 龍彦, 奥田 洽爾, 可西 右使, 広瀬 仁一郎, 中沼 安二
1989 年 86 巻 1 号 p.
100-105
発行日: 1989年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
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浜田 実, 田川 新生, 伊藤 信康, 清水 雄三, 鍋島 一雄, 青木 俊和, 安田 正樹, 服部 正大, 野口 幸延, 村田 佐門, 為 ...
1989 年 86 巻 1 号 p.
106-110
発行日: 1989年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
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石原 和彦, 森下 薫, 小原 進, 大川 博之, 亀山 仁一, 堀田 恭子
1989 年 86 巻 1 号 p.
111
発行日: 1989年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー