1989 年 86 巻 2 号 p. 214-219
肝硬変22例について空気圧センサーを内視鏡に装着して食道静脈瘤圧を測定した. 本法による食道静脈瘤圧と経皮経肝門脈圧を比べると両者の間には有意に高い相関がみられた. 食道静脈瘤圧上昇に関係のある内視鏡所見は, 発赤所見, 形態および占居部位であつた. 食道静脈瘤圧は肝細胞癌を合併すると上昇した. 食道静脈瘤圧が200mmH2O以下では出血の危険は少ないが, 350mmH2O以上になると出血の危険が高くなる傾向にあつた. 以上の成績から, 空気圧センサーを用いた非観血的な食道静脈瘤圧測定法は臨床的に有用な診断法であり, 食道静脈瘤の自然経過について重要な情報を与えるものと考えられた.