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吉川 敏一, 竹村 俊樹, 瀬戸 治, 谷川 徹, 田井中 憲三, 森田 豊, 吉田 憲正, 杉野 成, 近藤 元治
1989 年 86 巻 2 号 p.
159-164
発行日: 1989年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
ラット上腹部の42°C, 40分間の局所加温により実験的に出血性びらん等の急性胃粘膜障害が発生した. 胃粘膜血流量および酸分泌には著変を認めず, 胃粘膜内 thiobarbituric acid (TBA) 反応物質の増加を認めた. ビタミンE欠乏ラットでは胃病変の増悪が認められた. Superoxide dismutase, カタラーゼの投与によりこれらの変化を抑制したが, 活性酸素の発生源として重要な hypoxanthine-xanthine oxidase 系の阻害剤であるアロプリノールでは抑制できなかつた. 一方, 好中球抗体により好中球を減少させたラットでは胃病変, TBA反応物質の増加とも有意に減少した. これらのことから, 本病変の発生に際して脂質過酸化反応および好中球由来の活性酸素が重要な役割を果していることが示唆された.
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荒川 哲男, 中村 厚, 蝶野 慎治, 中村 肇, 佐藤 博之, 福田 隆, 佐久間 裕之, 小林 健司, 北田 恵一, 小林 絢三
1989 年 86 巻 2 号 p.
165-171
発行日: 1989年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
インドメタシンの, ラット単離胃粘膜上皮細胞に対する直接細胞傷害作用とPG合成抑制作用との関係を in vitro で検討した. インドメタシンは5×10
-4M以上で濃度依存性に細胞傷害性を発揮し, 16, 16-dimethyl PGE
2 (10
-6M) は, この細胞傷害を抑制した. インドメタシンは, 単独では細胞障害を惹起しない10
-4MでPGE
2, PGI
2およびTXA
2の合成を完全に抑制した. インドメタシン10
-4Mで処理した細胞に15%エタノールを加えると, インドメタシンで処理しなかつた細胞に比し, エタノールによる障害が有意に強かつた. この細胞障害に対しても, 16,16-dimethyl PGE
2は抑制作用を発揮した. これらの結果から, インドメタシンによる胃粘膜細胞の脆弱化にPGの乏が関与することが示唆された.
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大西 秀一, 安達 秀樹, 野口 正人, 佐藤 俊介, 本田 豊彦, 青木 悦雄, 勝島 慎二, 小西 淳三, 立石 かよ子, 濱岡 利之
1989 年 86 巻 2 号 p.
172-181
発行日: 1989年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
Wister 系ラットの十二指腸及び大脳の cholecystokinin (以下CCK) 様免疫活性物質を抽出し, ゲルろ過法によつてそれぞれの分子多様性及び, 分別される分子量の異なるCCK様物質の免疫活性と生物活性を比較検討した. 免疫活性はOAL656抗体及び
125I-BH-CCK33を用いるラジオイムノアッセイで測定した. 生物活性はラット遊離膵腺房におけるアミラーゼ分泌刺激能を指標として測定した.
大脳のCCK様免疫活性の大部分はCCK-8と同部位に溶出された. 十二指腸のCCK-8様免疫活性はCCK-8と同部位に溶出される他, それぞれ分子量2200及び800の部位にも溶出された. これらのCCK様免疫活性は全て膵外分泌刺激の生物活性を有し, その免疫活性による測定値と膵外分泌刺激の生物活性による測定値はよく一致した.
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Two color 解析を用いて
林 勝吉
1989 年 86 巻 2 号 p.
182-192
発行日: 1989年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
IBD患者の末梢血と腸粘膜において, T cell subsets の絶対数とT cell のDR抗原発現率を, two color 解析により健常対照者と比較検討した. 末梢血では, 潰瘍性大腸炎 (UC) でCD4
+Leu8
-細胞 (Th) が増加したが, Crohn 病 (CRD) でCD4
+Leu8
+細胞 (Ti) とCD8
+CD11
+細胞 (Ts) が減少し, 両疾患のTsとThの balance は共にThが優位であつた. 腸粘膜固有層リンパ球では, UCで変動を認めず, CRDの病変部でTsが増加した. DR抗原陽性T cell は, UC, CRD共に末梢血では増加せず, 腸粘膜固有層では病変の有無にかかわらず増加した. 以上よりUCとCRDでのT cell 系の免疫調節状態は, 腸粘膜局所と全身で異なり, さらにUCとCRDの間にも差異があることが示唆された.
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鴨井 三朗, 鈴木 宏, 矢野 洋一, 光山 慶一, 佐田 通夫, 池田 英雄, 南 徹, 松尾 義人, 松隅 則人, 佐々木 英, 豊永 ...
1989 年 86 巻 2 号 p.
193-199
発行日: 1989年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
クローン病 (以下CD) 16例を対象に末梢血ナチュラルキラー細胞活性 (以下NK活性), 末梢血リンパ球サブセットの測定を行い, その意義を検討した. またCD4例にヒトリンパ芽球インターフェロンを投与し, その有用性を検討した. CD活動期ではNK活性は低値であり経時的に測定を行つた例のうち非活動期にNK活性上昇が見られない例では早期に再燃する傾向があつた. リンパ球サブセットではOKT3, OKT4, OKT8, OKla1, OKT4/8値の変化は見られなかつた. Leu7値も正常者群と差が見られず, 同時期に測定したNK活性値との相関も見られなかつた. HLBI投与を行つた4例中1例は再燃し手術を施行されたが, 2例は投与後7~21カ月間, 再燃は認められておらず, 今後検討すべき治療法と考えられた.
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武田 弘明, 山川 光徳, 佐藤 俊浩, 今井 大, 豊野 充, 塚本 長, 高橋 恒男, 石川 誠
1989 年 86 巻 2 号 p.
200-207
発行日: 1989年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
免疫組織化学的に大腸癌組織における内因性 estradiol (E
2)と testosterone (Te) の組織内局在を示し, 大腸癌の臨床像との関連性について検討した. 大腸癌のE
2陽性率は男性で36.7%, 女性で58.4%と女性で有意に高かつた. また Te 陽性率は17.6%であつた. E
2陽性率は深達度 pm 以上の癌で高く, また組織型では中分化型腺癌で高かつた. 内因性E
2及び Te は主に癌細胞の細胞質内に陽性であつたが核内にも陽性像が認られた. 陽性癌細胞は最深達部ないしは浸潤傾向の強い部位に多く分布していた. 以上の事から大腸癌の発育や浸潤と性ホルモンとの関連性についてさらに検討すべきものと考える.
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大坪 光次, 藤尾 俊之, 白浜 敏, 古川 正人
1989 年 86 巻 2 号 p.
208-213
発行日: 1989年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
上五島地区における肝内結石症134名について, 地域分布, 年齢•性別, 病型分類, 既往胆道系手術の有無を検討した. 多い地域では対人口比で126人に1人に達し, 年齢構成では男女とも60代がピークで, 男女比は1対1.2であつた. 肝内結石症調査研究班案の病型分類では肝内型103名 (76.9%), 肝内外型31名 (23.1%) で, また左右型では右葉58名 (43.3%), 左葉59名 (44.0%), 両葉17名 (12.7%) であつた. 胆道系手術の既往者は44名 (32.8%) であつた. 飲料水の水質検査では地域間に大差はなく, 中学生の腹部超音波検診にて肝内結石症1名が発見された. 以上より, 当地区では肝内型, 右葉型が多いが, さらに家族歴•食生活等の疫学的検討が必要である.
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鳥羽 信行
1989 年 86 巻 2 号 p.
214-219
発行日: 1989年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
肝硬変22例について空気圧センサーを内視鏡に装着して食道静脈瘤圧を測定した. 本法による食道静脈瘤圧と経皮経肝門脈圧を比べると両者の間には有意に高い相関がみられた. 食道静脈瘤圧上昇に関係のある内視鏡所見は, 発赤所見, 形態および占居部位であつた. 食道静脈瘤圧は肝細胞癌を合併すると上昇した. 食道静脈瘤圧が200mmH
2O以下では出血の危険は少ないが, 350mmH
2O以上になると出血の危険が高くなる傾向にあつた. 以上の成績から, 空気圧センサーを用いた非観血的な食道静脈瘤圧測定法は臨床的に有用な診断法であり, 食道静脈瘤の自然経過について重要な情報を与えるものと考えられた.
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特に, 血小板機能異常との関連について
荒井 正夫, 奥野 府夫, 石井 裕正, 平野 芳昭, 筋田 和文, 小林 利次, 高木 俊和, 丸山 勝也, 加藤 真三, 継 摩利, 高 ...
1989 年 86 巻 2 号 p.
220-226
発行日: 1989年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
アルコール性肝障害 (ALD) の発症•進展と肝微小循環との関連が注目されているが, 本研究では, 微小循環動態に深く関与しているプロスタグランディン (PG) 代謝についてアルコール性肝障害とその他の肝疾患と比較検討した. ALDでは血中 thromboxane B
2 (TXB
2) 濃度が上昇しており, PG代謝異常が認められた. 各種の血小板機能を検索したところ, ALDでは血小板機能の亢進状態があり, 血中TXB
2濃度と血小板でで malondialdehyde 産生能とは正の相関を示した (r=0.558; p<0.001). また, 血中 β-thromboglobulin や血小板第4因子がALDで高値を示した. 以上のことより, ALDでは血小板の易凝集状態があり, これらが病態の発症•進展に何らかの関与をしている可能性が考えられた.
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板倉 正幸, 野原 隆彦, 中瀬 明
1989 年 86 巻 2 号 p.
227-236
発行日: 1989年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
in vivo および in vitro において, ヒト肝細胞癌のPGE
2産生能と, その作用を調べる目的でIndomethacin, PGE
2投与の影響を検討した. in vitro では腫瘍細胞 (HH2-6) からPGE
2産生が認められ, 増殖率と上清中PGE
2の間に逆相関が示唆された. in vivo では担癌ヌードマウスの血漿中および腫瘍組織中PGE
2が移植後1週から2週にかけての早期に極めて高値を示した. Indomethacin 連日腹腔内投与(4mg/kg体重) では血漿中, 組織中のPGE
2上昇が抑制され, かつ腫瘍潜伏期の延長がみられた. PGE
2の早期腹腔内投与 (10μg, 0.1μg) では潜伏期の短縮がみられ, PGE
2と腫瘍潜伏期の密接な関係が認められた. 組織学的には腫瘍由来PGE
2による腫瘍血管新生促進が示唆された.
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高木 均, 高山 尚, 山田 昇司, 植原 政弘, 小島 亨, 斎藤 修一, 片貝 重之, 山田 俊彦, 桜井 誠司, 阿部 毅彦, 竹沢 ...
1989 年 86 巻 2 号 p.
237-245
発行日: 1989年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
経肝動脈的治療の後, 放射線照射を併用した肝細胞癌11例について臨床的, 病理学的に検討した. 主腫瘍に対する効果は, PRが1例, MRが2例, NCが4例, PDが1例で, 3例の drop out 例を除き, 奏効率は12.5%であつた. 門脈腫瘍栓に対する放射線治療を7例に施行し, 血管造影上または病理学的に2例 (28.6%) で, 腫瘍栓の縮小ないしは血流の改善を認めた. AFPは判定可能な9例の内で, 照射後1ヵ月までに4例が低下を示した. 副作用では黄疸, 発熱, 食欲不振等を認め, 3例は中止を余儀なくされ, Child 分類のB, Cのもので多く見られた. 検査値では肝機能悪化, 骨髄抑制等も軽度であつた. 照射前に lipiodol を注入された例では照射野を決定する上で lipiodol の沈着が有用であつた.
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血漿交換, 活性炭吸着, 血液濾過療法の効果と意義に関する実験的検討
浅沼 義博, 高橋 貞二, 加藤 哲夫, 工藤 行蔵, 小山 研二
1989 年 86 巻 2 号 p.
246-252
発行日: 1989年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
敗血症に伴うエンドトキシンショックに対し, 体外循環を利用した治療法の効果と意義について, 実験的に検討した. 仔犬に大腸菌を静注して敗血症にした後, 持続採取新鮮血漿交換, 凍結血漿交換, charcoal 血漿吸着, 血液濾過を各2時間施行した. 持続採取新鮮血漿交換群では5頭中4頭が生存, 凍結血漿交換群では5頭中1頭が生存したが, 他はすべて死亡した. 持続採取新鮮血漿交換群では, 血中大腸菌数および血中エンドトキシン濃度の減少が著明であり, 血漿オプソニン活性も有意に上昇していた. 以上より, 敗血症に伴うエンドトキシンショックの治療には, 血中エンドトキシンの除去と血漿オプソニン活性の増加を同時に行うことが有意義であると考えられた.
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大井 成子, 梶村 昌良, 及川 哲郎, 渡辺 文利, 山田 正美, 伊藤 剛, 小林 貴明, 金子 栄蔵, 本田 西男
1989 年 86 巻 2 号 p.
253-256
発行日: 1989年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
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清水 京子, 奥田 博明, 富松 昌彦, 山内 克己, 磯野 悦子, 久満 董樹, 小幡 裕, 押味 和夫, 溝口 秀明
1989 年 86 巻 2 号 p.
257-260
発行日: 1989年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
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斎藤 聡, 熊田 博光, 池田 健次, 茶山 一彰, 荒瀬 康司, 吉場 朗, 海上 雅光
1989 年 86 巻 2 号 p.
261-264
発行日: 1989年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
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日野 一成, 斉藤 逸郎, 大海 庸世, 大元 謙治, 井手口 清治, 山本 亮輔, 和田 あゆみ, 山本 晋一郎, 平野 寛, 清水 裕英 ...
1989 年 86 巻 2 号 p.
265-269
発行日: 1989年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
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床尾 万寿雄, 川 茂幸, 嶋倉 勝秀, 赤松 泰次, 小口 寿夫, 平野 賢, 小林 武司, 小岩井 俊彦, 古田 精市, 野口 徹, 志 ...
1989 年 86 巻 2 号 p.
270-274
発行日: 1989年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
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本邦報告例の文献的考察
島崎 信, 山田 泰弘, 永木 正仁, 加藤 則広, 二ノ宮 三生, 河合 潔, 森脇 久隆, 斎藤 公志郎, 冨田 栄一, 武藤 泰敏, ...
1989 年 86 巻 2 号 p.
275-279
発行日: 1989年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
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三好 博文, 大柴 三郎, 松本 章夫, 鄭 鳳鉉, 林 勝吉, 浅田 修二, 大坂 直文, 平田 一郎
1989 年 86 巻 2 号 p.
280
発行日: 1989年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
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塩飽 保博, 谷口 弘毅, 伊藤 彰芳, 大同 毅, 清木 孝祐, 山口 俊晴, 沢井 清司, 高橋 俊雄
1989 年 86 巻 2 号 p.
281
発行日: 1989年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー