日本消化器病学会雑誌
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Print ISSN : 0446-6586
各種消化器癌における血清SLX (sialyl SSEA-1) 測定の臨床的有用性
河上 浩康澤武 紀雄竹森 康弘岡井 高元雄 良治里村 吉威太田 英樹渡辺 弘之松田 直人山川 治磨伊 正義服部 信
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1989 年 86 巻 5 号 p. 1141-1148

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抄録

消化器悪性腫瘍334例と各種消化器良性疾患196例を対象とし, 血清SLX測定の臨床的有用性を検討した. 悪性腫瘍では, 膵癌 (58%), 胆道癌 (56%) で高い陽性率が得られ, 偽陽性率は6%にすぎず, 特異性は非常に優れていた. 他の腫瘍マーカーとの比較では, SLXの陽性率はCA19-9やCA-50に劣るが, CEAとほぼ同様であつた. 一方, SLXの偽陽性率はST-439と並んで最も低く, また, 正診率はCA19-9やCA-50に劣らなかつた. 膵胆道癌におけるCA19-9, CEA, ST-439の陽性率は各々80%, 64%, 53%であるが, SLXとの併用により88%, 81%, 71%に上昇した. 以上より, SLXは最近の糖鎖抗原やCEAに劣らない有力な膵胆道癌の腫瘍マーカーであるといえよう.

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