日本消化器病学会雑誌
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肝実質所見に基づく肝硬変の超音波分類とその臨床的有用性
木村 隆生江原 正明大藤 正雄近藤 福雄
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1989 年 86 巻 7 号 p. 1473-1485

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抄録

最近の超音波診断装置によると, 肝硬変では実質が粗〓であるうえに散在性ないしはびまん性に低エコー結節が観察される. この所見に基づいて実質パターンを0型 (均一), I型 (不均一, 粗〓), II型 (3mm以上5mm未満の低エコー結節を認める), III型 (同5mm以上) に分類した. 正常肝は0型, 慢性肝炎は0型, I型, 肝硬変は0型, I型, II型, III型を示した. 肝硬変の診断において実質パターンは他の超音波所見 (肝表面, 肝縁, 脾の大きさ, 側副血行路) と比較し最も高い正診率を示し, Child 分類に基づく肝障害の重症度との間に有意な相関がみられた. 肝硬変の剖検肝を水槽内に沈め超音波検査を施行した水槽実験の結果, 低エコー結節所見は肝硬変の再生結節に基づくものであり, 各型が病理所見に良く対応することが明らかとなつた.

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