日本消化器病学会雑誌
Online ISSN : 1349-7693
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86 巻, 7 号
選択された号の論文の17件中1~17を表示しています
  • 特に硬化療法による門脈血行動態の変化を原因とした2症例について
    笠井 保志, 野浪 敏明, 滝 茂実, 春日 輝明, 黒江 幸四郎, 鈴木 祐一, 岡田 恒良, 木村 保則, 岸本 若彦, 市原 透, 原 ...
    1989 年 86 巻 7 号 p. 1417-1423
    発行日: 1989年
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
    食道静脈瘤症例116例に対して計253回の硬化療法 (ST) を行つた. これら116例中2例 (1.7%) に, ST後の門脈血行動態の変化を原因とした合併症を認めた.
    症例1はST後4カ月目に十二指腸静脈瘤の増悪•出血を起こし, 症例2はST後6カ月目に肝性脳症の出現を見た. これらはSTによる食道静脈瘤への急速な血行遮断の結果, 門脈血流が他の側副血行へ向かいその部の血流量が増加した事によると考えられた. この様な合併症は, 食道静脈瘤に対する硬化•栓塞を十分に行い遮断すればするほど発生しやすいと考えられ, この事に留意して治療を行う必要がある.
  • -第1報-CCK類似体及び各種CCK受容体拮抗剤のペプシノーゲン分泌反応及び主細胞内Ca2+濃度に及ぼす効果
    的崎 尚, 坂本 長逸, 長尾 宗彦, 西崎 朗, 誉田 芳孝, 中野 修, 馬場 茂明
    1989 年 86 巻 7 号 p. 1424-1428
    発行日: 1989年
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
    モルモット単離胃主細胞を用い, cholecystokinin (CCK) 類似体と各種CCK受容体拮抗剤がペプシノーゲン放出反応や細胞内遊離Ca2+濃度に及ぼす効果を検討した. 胃主細胞からのペプシノーゲン放出反応に対して CCK-octapeptide (CCK8) は gastrin Iの約103倍, CCK-tetrapeptide (CCK4) の3×103倍の potency を有していたが, gastrin I及びCCK4はCCK8の約51%の反応性しか有しなかつた. CCK受容体拮抗剤CR1409, 及びL-364718は共に10-8M CKK8刺激によるペプシノーゲン放出及び細胞内Ca2+移動を濃度依存性に抑制し, その力価はL-364718>CR1409であつた. 一方, dibutyryl cyclicGMP (dbcGMP) のCCK8刺激ペプシノーゲン放出と細胞内Ca2+移動に対する抑制作用を, モル濃度で比較すると, 細胞内Ca2+移動に比しペプシノーゲン分泌反応をより強く抑制した. 以上の結果は胃主細胞CCK受容体へのdbcGMPの競合阻害効果が他の組織で報告されているCCK受容体への競合阻害効果とは異なる可能性を示している.
  • 窪田 久, 浜田 勉
    1989 年 86 巻 7 号 p. 1429-1437
    発行日: 1989年
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
    1cm以下の早期胃癌87例93病変の診断成績を検討した. 陥凹型はX線では大きさ5mm, 内視鏡では3mmが診断の限界であり, X線では瘢痕を伴うものは十分に診断されたが, 伴わないものは組織学的な陥凹の深さが0.5mm以上で周囲の隆起を伴うもののみが診断された. 未分化型は周囲の隆起を伴うものが少なく診断率が不良であつた. 隆起型はX線では大きさ7mm, 組織学的な隆起の高さ0.9mmが診断の限界であつた. 深達度については, 陥凹型では瘢痕を伴わず, 陥凹底が顆粒状のものがm(粘膜癌)の指標と考えられ, 陥凹の明瞭度と台状隆起はsm(粘膜下層)に中等度以上浸潤したものの指標として有用であつたが, sm微小浸潤とmの鑑別は不可能であつた. 隆起型では中心陥凹のないことがmの指標と考えられた.
  • 山下 巌, 田沢 賢次, 藤巻 雅夫
    1989 年 86 巻 7 号 p. 1438-1447
    発行日: 1989年
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
    ラットにAOMを週1回, 11週連続で投与し投与開始後15, 30週目の大腸粘膜, 腫瘍, 門脈血中のPGE2の含有量および脾臓, 腸間膜リンパ節 (MLN) のNK活性について検討した. 15週目では大腸粘膜のPGE2含有量はAOM未投与群 (対照群) と比較して有意な高値を示したが門脈血中のPGE2の含有量, 脾臓およびMLNのNK活性では有意差を認めなかつた. 30週目では誘発した腫瘍および門脈血中のPGE2含有量は対照群と比較して有意な高値を示し, 脾臓およびMLNのNK活性は有意な低値を示した. indomethaccin の週2回のAOM投与終了後よりの経直腸投与でAOM誘発大腸腫瘍が抑制されるが, その理由の1つにPGE2の増加が大腸粘膜中に留まる時点よりの投与が重要であることが示唆された.
  • 真武 弘明, 内藤 説也, 小河原 悟, 飯田 三雄, 松井 敏幸, 岡部 信郎, 山本 勉, 藤田 晃一, 岡田 光男, 八尾 恒良
    1989 年 86 巻 7 号 p. 1448-1454
    発行日: 1989年
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
    日本人 Crohn 病患者108例のHLA-A, -B, -C, -DRおよびDQの検索を行ない, 日本人 Crohn 病とHLAとの関連性について検討した. 日本人 Crohn 病患者ではDR4が有意に高率であり, そのsubtype であるDR4.1の出現頻度が有意に高率であつた. B51, Bw54, DRw12, DRw13, DRw52は対照群に比べ出現頻度が高い傾向を示したが, 有意差は認めなかつた. DR2, DQw1, DQw3は有意に低率であり, B7は低い傾向を示した. 日本人 Crohn 病患者においては, DR4特にDR4.1, またはそれに連鎖している部位に疾患感受性遺伝子があることを推測した.
  • 射場 敏明, 木所 昭夫, 八木 義弘, 住 幸治, 川畑 貞美, 堀内 啓, 石和 久
    1989 年 86 巻 7 号 p. 1455-1459
    発行日: 1989年
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
    自己防御機構の一つとして, 細網内皮系機能は重要であるが, いまだ確立された検査法は見あたらない. 今回細網内皮系機能検査法としてのリピッドエマルジョンテストの信頼性を確認するために, 以下の検討を行なつた. (1)リピッドエマルジョンの血中消失率と Kupffer 細胞に貪食された脂肪滴数とを対比した. (2)リピッドエマルジョンの血中消失率と肝シンチグラフィーの集積率の対比を行なつた.
    その結果, リピッドエマルジョンの血中消失率と Kupffer 細胞に貪食された脂肪滴数, 肝への99mTc-phytate の集積量の間には正の相関関係が認められ, リピッドエマルジョンテストは細網内皮系機能を反映した検査法であると考えられた.
  • UDCA. GLUCAGON 負荷試験との関連において
    山下 幸孝, 森安 史典, 玉田 尚, 川崎 俊彦, 小野 成樹, 木村 達, 梶村 幸三, 染田 仁, 内野 治人
    1989 年 86 巻 7 号 p. 1460-1464
    発行日: 1989年
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
    我々は, UDCA. GLUCAGON 負荷試験に於て, グルカゴン負荷後30分にて得られる血清総胆汁酸濃度G30TBAが, 肝機能の評価法として有用であることを報告してきた. 今回, グルカゴンの門脈血流に及ぼす影響を調べ, UDCA. GLUCAGON 負荷試験の結果に与える影響について検討を加えた. 慢性肝疾患37例を対象として, グルカゴン負荷後の経時的門脈血流を超音波パルスドプラ法を用い計測した. その結果, 肝硬変群は慢性肝炎群に比し, グルカゴンによる門脈血流増加作用は障害されており, また, グルカゴンによる門脈血流増加の良好な群は不良な群に比し, 有意にG30TBAは低値を示した. この事より, UDCA. GLUCAGON 負荷試験における血清総胆汁酸濃度の決定因子として, グルカゴンの門脈血流増加作用が無視し得ないことが確認された.
  • 結城 暢一, 林 紀夫, 片山 和宏, 笠原 彰紀, 上田 啓二, 竹原 徹郎, 三田 英治, 春名 能通, 房本 英之, 佐藤 信紘, 加 ...
    1989 年 86 巻 7 号 p. 1465-1472
    発行日: 1989年
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
    B型肝炎ウイルス感染者の血中Pre-S2抗原•抗体をELISA法で, 肝組織 Pre-S2抗原を直接蛍光抗体法で検討した. Pre-S2抗原価とHBs抗原価の間には有意の相関関係を認めた. Pre-S2抗原価はe抗原, DNAポリメラーゼ, HBV-DNA陽性例で高かつたが, Pre-S2抗原価とHBs抗原価の比はこれらと関係なく一定であつた. 一方, GPT高値の慢性活動性肝炎で同比が高いものがみられ, 肝組織障害との関係が示唆された. 肝組織 Pre-S2抗原の局在はHBs抗原とほぼ一致したが, 細胞膜陽性例は全て慢性活動性肝炎であつた. Pre-S2抗体検出率は慢性感染者で低く, 持続感染成立との関係が示唆された.
  • 木村 隆生, 江原 正明, 大藤 正雄, 近藤 福雄
    1989 年 86 巻 7 号 p. 1473-1485
    発行日: 1989年
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
    最近の超音波診断装置によると, 肝硬変では実質が粗〓であるうえに散在性ないしはびまん性に低エコー結節が観察される. この所見に基づいて実質パターンを0型 (均一), I型 (不均一, 粗〓), II型 (3mm以上5mm未満の低エコー結節を認める), III型 (同5mm以上) に分類した. 正常肝は0型, 慢性肝炎は0型, I型, 肝硬変は0型, I型, II型, III型を示した. 肝硬変の診断において実質パターンは他の超音波所見 (肝表面, 肝縁, 脾の大きさ, 側副血行路) と比較し最も高い正診率を示し, Child 分類に基づく肝障害の重症度との間に有意な相関がみられた. 肝硬変の剖検肝を水槽内に沈め超音波検査を施行した水槽実験の結果, 低エコー結節所見は肝硬変の再生結節に基づくものであり, 各型が病理所見に良く対応することが明らかとなつた.
  • 奥野 忠雄, 進藤 道子, 新井 賢, 松本 昌之, 武田 誠, 岩井 眞樹
    1989 年 86 巻 7 号 p. 1486-1493
    発行日: 1989年
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
    インターフエロン治療を行つたHBeAg陽性のB型慢性活動性肝炎14例を対象に治療前後に採取した肝生検組織での肝内HBcAgの局在の変化と肝組織所見の推移を Knodell らのHAIスコアを用いて検討した. HBcAgの検索は酵素抗体間接法で行い核内 (nHBcAg) と細胞質内 (cHBcAg) に分けて検討した. 治療前のHBcAgは核内と細胞質内で有意差を認めなかつた. しかし, nHBcAgは治療後に有意 (p<0.001) に減少するもcHBcAgの有意の減少は認めなかつた. 治療後にDNA-PとHBeAg が陰性化した群と持続陽性の群に分けて検討してもnHBcAgはこれらウイルスマーカーの有無とは関係なく減少したが, cHBcAgはDNA-Pの陰性化群でのみ有意 (p<0.05) に減少した. HAIスコアは治療後に有意 (0.05<p<0.001) な改善を認めた.
  • 荒川 謙二
    1989 年 86 巻 7 号 p. 1494-1504
    発行日: 1989年
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
    肝細胞癌に対する transcatheter arterial embolization (TAE) 療法後の免疫反応を検討した結果, TAE療法1週後に50%以上の腫瘍マーカー (AFP or PIVKA-II) 減少率を示す場合, 生体の免疫反応は Interleukin-1 (IL-1), Tumor Necrosis Factor (TNF), Interleukin-2 (IL-2) 活性は亢進し, Lymphokine Activated Killer (LAK) 活性も増強し, OKT-4, IL-2 Receptor (IL-2R) 陽性細胞が増加した. さらに, サプレッサー細胞活性は低下し, 血清 Immunosuppressive Acid Protein (IAP) 値も減少し一過性に賦活状態を呈し, 養子免疫療法の追加治療にとつて有利な生体環境を示した. 以上の基礎的検討を踏まえて, 12例の肝細胞癌患者に対して, TAE-LAK養子免疫併用療法を施行した. その結果, 免疫学的には, Natural Killer (NK) 活性, LAK活性は増強し, OKT-11, IL-2R, OKT-8陽性細胞が増加した. 抗腫瘍効果は, Partial Response (PR) 1例, Minor Response (MR) 3例, No Change (NC) 7例, Progressive Disease (PD) 1例であつた. 腫瘍占拠率, TAE療法1週後の免疫反応, 2週後の栄養血管の再開通の有無等が本療法の治療成績に深く関与している可能性が示唆された. 以上より, TAE-LAK併用療法は, 従来のTAE単独療法やLAK養子免疫単独療法の問題を克服し, 両者の欠点を相乗的に補い, 免疫学的にも, 臨床的にも有効な新しい併用療法と考えられた.
  • 山田 珠樹, 鈴木 敏行, 小林 英治, 森田 敬一, 吉岡 宣夫, 小川 裕, 隈井 知之, 石黒 洋, 鈴木 貞輔
    1989 年 86 巻 7 号 p. 1505-1512
    発行日: 1989年
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
    胆道結石症20例に対して胆道鏡観察下に電気水圧砕石術を施行し, 全例で重篤な合併症なく, 結石を破砕, 摘除し得た. 術後最長16カ月, 平均8.6カ月経過したが, 結石の遺残, 再発の徴候を示した例はない. 治療に必要なPTCD期間は34.3±8.1日, 砕石術施行回数は1.7±1.0回, 1回の砕石術所要時間は91±26分であつた. 本治療法のPTCDから退院までの期間は, 総胆管結石症では39.8±6.1日, 胆嚢•総胆管結石症では46.3±8.8日であつた. 本治療法は, 高齢者, poor risk 例, 開腹術拒否例, および, 遺残あるいは再発例の総胆管結石症に対して, 内視鏡的乳頭切開術による截石や手術と比較して遜色のない成績が期待できる方法と考えられる.
  • 柴田 時宗, 早川 哲夫, 近藤 孝晴, 北川 元二, 酒井 雄三, 大野 秀樹, 桐山 勢生, 二村 雄次, 早川 直和, 神谷 順一, ...
    1989 年 86 巻 7 号 p. 1513-1518
    発行日: 1989年
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
    われわれは膵胆管合流異常を伴つた先天性胆管拡張症の1例において胆汁中膵蛋白分解酵素の存在様式を検討した. PTC穿刺時の吸引胆汁中の蛋白分解酵素は総て活性型であつたが, 48時間自然流出後にPTCD tube より採液した胆汁中の蛋白分解酵素は不活型のみであつた. また, PTCDを clamp する前は総て不活型であつた蛋白分解酵素は, clamp 後の経過時間により活性化率の上昇を認めた. 一方, 不活型蛋白分解酵素を含む胆汁の in vitro の検討では活性型 trypsin は現れなかつた. 先天性胆管拡張症の胆汁中での膵蛋白分解酵素の活性化には, 膵液の胆道内への持続的混入と一定時間の貯留が必要であると考えられた.
  • 長嶺 竹明, 齋藤 修一, 山田 昇司, 関口 哲郎, 小林 節雄, 中野 稔
    1989 年 86 巻 7 号 p. 1519-1524
    発行日: 1989年
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
    NH3, アミノ酸代謝に及ぼすビオチンの効果を調べる目的で, 以下の実験を行つた.
    卵白食で飼育したビオチン乏ラットを用いて, ウレアーゼ25U/kg (BW) I.P.による血漿NH3の経時的変動をみた. 対照として標準飼料MFと, 卵白+ビオチンで飼育したラットを用いて同様な実験を行つた. またウレアーゼ投与12時間後に血漿アミノ酸分析を行つた.
    次に標準飼料MFで飼育したラットにビオチン注射液2mlを前投与し, 6時間後にウレアーゼを投与してNH3の変動をみた. またウレアーゼ投与9時間後のアミノ酸分析を行つた.
    その結果, ウレアーゼ投与後のNH3曲線はビオチン投与群で低く, その機序として, グルタミン酸+NH3→グルタミンの反応を促進する可能性が推察された. またビオチン注射液前処置群では, 生食前処置群に比べ Fischer 比が有意の高値を示した.
  • 免疫組織化学的検討を加えて
    杉山 敏郎, 小野 晃裕, 佐藤 之彦, 吉田 博清, 遠藤 圭介, 今井 浩三, 矢花 剛, 谷内 昭
    1989 年 86 巻 7 号 p. 1525-1528
    発行日: 1989年
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
  • 福嶋 健一, 八木田 旭邦, 伊藤 久, 北島 政樹, 立川 勲, 岡田 道雄, 此枝 義記
    1989 年 86 巻 7 号 p. 1529-1533
    発行日: 1989年
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
  • 伊藤 義人, 瀬戸 良文, 岡野 均, 上田 敬, 今西 仁, 中村 憲二, 中島 徳朗, 岡上 武
    1989 年 86 巻 7 号 p. 1534-1539
    発行日: 1989年
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
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