日本消化器病学会雑誌
Online ISSN : 1349-7693
Print ISSN : 0446-6586
自己免疫性肝疾患における小葉間胆管病変の超微形態学的研究
米倉 甫明田島 純子黒田 博之
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1989 年 86 巻 8 号 p. 1638-1644

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抄録

ルポイド肝炎 (Lupoid hepatitis) およびその近縁疾患 (LH) 7例と原発性胆汁性肝硬変 (Primary biliary cirrhosis: PBC) 8例の小葉間胆管の微細構造について比較検討した. 基底膜を越えた単核球浸潤はLH例57.1%PBC例50%と両者に共通してみられたが, 胆管上皮細胞との接触はLHにおいては86.7%が point contact を示し, PBCにおいては92.3%が broad contact を示した. 胆管上皮細胞の重層化と胞体の明調化はPBCに多く, 変性と破壊はLHでは基底側に多く, PBCでは管腔側に多くみられた. 細胞間隙の開大はLHの基底側に多くみられ, 基底膜の肥厚と断裂はPBCに著明であつた. 胆管腔の形態はLHにおいては狭くて楕円形を示し, PBCにおいては広くと円形を呈していた. これらの成績はLHとPBCの小葉間胆管にはそれぞれに特異的な変化もみられたが類似点もあり, 自己免疫性肝疾患としての特異性と共通性を示すものと考えられた.

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