日本消化器病学会雑誌
Online ISSN : 1349-7693
Print ISSN : 0446-6586
86 巻, 8 号
選択された号の論文の17件中1~17を表示しています
  • 奥村 利勝, 岡村 毅与志, 柴田 好, 並木 正義
    1989 年 86 巻 8 号 p. 1597-1603
    発行日: 1989年
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
    ラット迷走神経背側核 (DMN) に神経細胞の長時間興奮性物質であるカイニン酸を注入し, その胃潰瘍形成におけるメカニズムを検討した. またDMNに逆行性標識物質であるHRPを注入し, DMNに投射する上位中枢を同定した. DMNへのカイニン酸注入24時間後には高率に胃潰瘍が形成され, その場合の ulcer index は10.2±6.5 (mean±SD) mm であつた. 潰瘍性病変部は組織学的に erosion であり, 胃粘膜内の粘液量が著しく減少していた. HRP標識細胞は延髄から大脳皮質の広範囲に分布し, 主な部位としては延髄網様体, 視床下部諸核とくに室傍核, 扁桃核, 大脳皮質, 小脳室頂核であつた. 以上の結果よりDMN細胞群の持続的興奮は潰瘍形成に促進的に作用すること, その形成過程には胃粘膜内の粘液量の低下が関与すること, このDMN細胞群の持続的興奮は情動•ストレスに関与する大脳皮質•視床下部•扁桃核などからの入力による可能性などが示唆された.
  • Sulfamethizole カプセル食法による検討
    浅田 武夫, 佐古 伊康, 福島 豊, 北 徹, 三宅 健夫
    1989 年 86 巻 8 号 p. 1604-1610
    発行日: 1989年
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
    固形食胃排出能に及ぼす体位の影響を, われわれの開発した sulfamethizole カプセル食法を用いて検討した. 食後120分間の胃排出能は, 背臥位をとると, 坐位をとる場合に比べて有意に低下した. このことは, 若年群, 中年群, 老年群のすべての年齢群において観察された. さらに, 食後の坐位を保つ時間を, 30分間, 60分間, 120分間と長くするにしたがつて, 胃排出能は促進される傾向を示した. 若年群と老年群の胃排出能を比較すると, 坐位および背臥位ともに, 老年群の胃排出能は低下していた. 今回の成績は, 胃の消化排出機能の面からは, 食後には, 坐位をできるだけ長時間保持することが望ましく, とくに, 老年者では大切であることを示唆している.
  • HLA-DR抗原発現と細胞回転を中心として
    松本 誉之, 北野 厚生, 中村 志郎, 押谷 伸英, 小畠 昭重, 橋村 秀親, 日置 正人, 大川 清孝, 名倉 宏, 小林 絢三
    1989 年 86 巻 8 号 p. 1611-1616
    発行日: 1989年
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
    潰瘍性大腸炎(UC)においては, 免疫学的機序による上皮細胞傷害作用の関与が考えられている. 今回この上皮細胞の細胞生物学的特性を免疫組織化学的手法を用いて検討した. 健常者の大腸粘膜では, 上皮細胞はすべてHLA-DR陰性であり, DNA-polymerase α (DNA-P) は, 腺底部の増殖帯に存在する上皮細胞に認められるのみであつた. 一方, UC, 特に組織に強い炎症性変化の認められる例では, 高率に上皮細胞にHLA-DRの発現が認められた. さらに, HLA-DR陽性の腺管においてその上皮細胞の核内にDNA-Pの発現が認められた. 以上より, UCにおけるHLA-DRの発現は, 再生や免疫応答に伴う, 上皮細胞の生物学的特性の変化に随伴して起こることが示唆された.
  • 宇賀 神浩人
    1989 年 86 巻 8 号 p. 1617-1626
    発行日: 1989年
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
    大腸癌発癌における二次胆汁酸の promoter 作用について検討するために, ラット大腸に人工肛門を作製し便流のない大腸にMNNGによる感作を行なつた後, 便 (A群), 便と同濃度の生理的な量の二次胆汁酸つまり deoxycholic acid と lithocholic acid (B群) 及びコントロール溶液 (C群) の注腸投与を行なつた. 肉眼的に認められた腫瘍の発生率と発生個数に関して各群間に有意差を認めなかつたが, 肉眼的に平坦な部位においてA, B群に有意に組織学的異型病巣の数が多かつた. さらに抗BrdUモノクローナル抗体を用いた細胞増殖動態の検討結果も含めて, 便及び便と同濃度の生理的な量の二次胆汁酸が大腸癌発癌において promoter 作用を持つと考えた.
  • 完全静脈栄養療法の有用性判定に対する応用
    中村 正樹
    1989 年 86 巻 8 号 p. 1627-1637
    発行日: 1989年
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
    血性下痢で入院中の重症•中等症潰瘍性大腸炎 (UC) 患者52例を対象に糞便中短鎖脂肪酸 (SCFA) の消長を検討し, 乳酸異常増加の消長が重症度や病勢鎮静化の良好な指標になることを示した. SCFA排泄は糞便量に平行して増加した. 重症例で糞便乳酸濃度が上昇すると, 健常人の主要なSCFAである酢酸, プロピオン酸, n-酪酸の濃度は著減した. また乳酸濃度は血性下痢便で有形便より有意に高かつた.
    重症•中等症UC患者を完全静脈栄養群と低残渣食群に乱数表に従つて割りつけ糞便中乳酸を検討した. 前者では4週間で乳酸モル濃度比が2%未満になつたが, 後者では8週後に漸く2%台になつた. これを反映して前者では有意に早期に緩解が得られ早期に退院した.
  • 米倉 甫明, 田島 純子, 黒田 博之
    1989 年 86 巻 8 号 p. 1638-1644
    発行日: 1989年
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
    ルポイド肝炎 (Lupoid hepatitis) およびその近縁疾患 (LH) 7例と原発性胆汁性肝硬変 (Primary biliary cirrhosis: PBC) 8例の小葉間胆管の微細構造について比較検討した. 基底膜を越えた単核球浸潤はLH例57.1%PBC例50%と両者に共通してみられたが, 胆管上皮細胞との接触はLHにおいては86.7%が point contact を示し, PBCにおいては92.3%が broad contact を示した. 胆管上皮細胞の重層化と胞体の明調化はPBCに多く, 変性と破壊はLHでは基底側に多く, PBCでは管腔側に多くみられた. 細胞間隙の開大はLHの基底側に多くみられ, 基底膜の肥厚と断裂はPBCに著明であつた. 胆管腔の形態はLHにおいては狭くて楕円形を示し, PBCにおいては広くと円形を呈していた. これらの成績はLHとPBCの小葉間胆管にはそれぞれに特異的な変化もみられたが類似点もあり, 自己免疫性肝疾患としての特異性と共通性を示すものと考えられた.
  • 大橋 弘幸, 助川 英治, 高見 徹, 吉田 貴, 武藤 泰敏
    1989 年 86 巻 8 号 p. 1645-1653
    発行日: 1989年
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
    四塩化炭素と phenobarbital を30週間併用投与して作製した慢性肝障害ラットを用いて分枝鎖アミノ酸 (BCAA) の栄養効果を検討した. 20%カゼイン食にBCAAを5%添加してBCAA三者の組成比が栄養状態におよぼす影響を窒素出納, 血漿蛋白, 血漿遊離アミノ酸パターンおよび血漿BCAA/AAA (芳香族アミノ酸) モル比 (Fischer 比) より評価したところ, L-isoleucine (Ile): L-leucine (Leu): L-valine (Val)=1:2:1.2および2:1:1が1:1:2あるいは各BCAAの単独投与より有効であつた. 20%カゼイン食に対するBCAAの添加レベル (0, 2.5, 5, 10%) と栄養効果との関連では, 2.5%BCAA (Ile:Leu:Val=1:2:1.2) を添加した Fischer 比4.4程度の実験食がもつとも有効であつた.
  • Direct Bolus Imaging 法の使用
    玉田 尚, 森安 史典, 小野 成樹, 梶村 幸三, 宋 泰成, 木村 達, 山下 幸孝, 川崎 俊彦, 染田 仁, 内野 治人, 清水 公 ...
    1989 年 86 巻 8 号 p. 1654-1660
    発行日: 1989年
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
    磁気共鳴映像 (Magnetic Resonance Imaging, MRI) による血流測定法の一つである Direct Bolus Imaging (DBI) 法により門脈の血流速及び血流量を測定するため, 基礎的実験及び臨床的検討を行つた. ファントム実験では実測の流速とDBI法による流速値にはr=0.9996と極めてよい一次相関が得られた. DBI法によるヒトの門脈血流の測定では18秒の短時間に心電図同期法を用いて測定した. 健常男性14名において, DBI法と超音波ドプラ法にて測定した血流速および血流量を比較検討した. 血流速でr=0.968, 血流量でr=0.936と両測定法間に強い相関があり, DBI法の信頼性が確認され, 超音波ドプラ法にて測定困難な患者の門脈血流の解析に大きな威力を発揮すると期待される.
  • 輸血後肝炎の retrospective study から
    奥野 忠雄, 進藤 道子, 新井 賢, 松本 昌之, 武田 誠
    1989 年 86 巻 8 号 p. 1661-1665
    発行日: 1989年
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
    112例の輸血後非A非B型肝炎のうち急性期に肝生検が施行された55例を対象に輸血後非A非B型肝炎の急性期の肝組織病変と血清トランスアミナーゼ (TA) 値との関係より肝炎の予後を retrospective に検討した. 急性期の肝生検で急性肝炎や非特異性反応性肝炎と診断されたのはそれぞれ12.7%と16.7%と少なく, 慢性活動性肝炎と診断されたのが56.4%と高率であつた. 一方, 急性期の組織診断と血清TAの最高値との間には相関はなく血清TA値から肝炎の予後を予測することはできなかつた. しかし, 急性期に組織学的に慢性肝炎と診断されたものでは高率 (67.9%) に肝炎の遷延化が認められた.
  • 胆汁蛋白, 特にアポ蛋白A-1の意義に関連して
    田妻 進, 水野 重樹, 佐々木 晴敏, 佐川 広, 橋場 寿美恵, 峠 誠司, 堀内 至, 梶山 梧朗
    1989 年 86 巻 8 号 p. 1666-1672
    発行日: 1989年
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
    胆汁中脂質粒子をカラムクロマトグラフィー法により分離し, 各脂質粒子へのコレステロールおよび蛋白の分布を検討した. 同時に nucleation time (NT) を測定して, 胆汁中コレステロールの存在様式の安定性を評価するとともに, 上記分布態度との関連性を検討した. コレステロール胆石患者胆嚢胆汁では, 非ミセル分画へのコレステロール分布が優位で, NTも短縮していた. ウルソデオキシコール酸投与例では, NTは延長していたが, コレステロールの分布は非ミセル分画優位のままであつた. しかし, 後者ではアポ蛋白A-1の非ミセル分画への集中分布を認め, 同分画におけるコレステロール溶存性がアポ蛋白A-1により安定化されたことが推察された.
  • 伊藤 文憲, 土屋 幸浩, 大藤 正雄
    1989 年 86 巻 8 号 p. 1673-1683
    発行日: 1989年
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
    急性胆嚢炎48例を含む胆道, 膵疾患78例に急性炎症の治療や閉塞性黄疸の治療などを目的として経皮的胆嚢ドレナージ (PGD) を応用してその有用性を検討した. PGDは, 特に急性胆嚢炎に対し炎症所見の改善, 臨床症状の消退をもたらし著明な治療効果を示した. 更に, PGDを行わないで治療した急性胆嚢炎を対照として臨床症状, 検査所見, 超音波所見などを検討し, 胆嚢腫大, 壁肥厚, 壁内低エコー帯の超音波所見がPGDの適応の決定に役立つことを明らかにした. なお, PGDは他の胆汁ドレナージ法では困難な急性胆管炎や閉塞性黄疸に応用し有効であつた. また, PGDは胆嚢造影陰性例の胆嚢造影や胆汁細胞診に応用し診断に役立つた.
  • 病理所見との対比を中心に
    長谷 智, 中澤 三郎, 芳野 純治, 小島 洋二, 丹羽 康正, 大橋 信治, 水谷 恵至
    1989 年 86 巻 8 号 p. 1684-1691
    発行日: 1989年
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
    消化管迷入膵の超音波内視鏡 (EUS) 所見を得る目的で, 切除された胃迷入膵5例6病変および小腸迷入膵1例1病変の超音波像と病理組織像を比較検討した. 消化管迷入膵はEUSにより第4層の肥厚を伴ない内部に点状ないし短線状高エコーの散在する境界不明瞭な低エコーの腫瘤として描出された. また, 内部に脈管様エコーや辺縁部に小葉様構造を認める場合もみられた. さらに, これらのEUS像は二型に分類でき, 腫瘤が第4層と密着するM type は組織学的には腺房型で固有筋層内部にも腺房組織が侵入していた. 一方, 第4層と分離するS type は腺管型ないし混合型であつた. EUSにより消化管迷入膵の診断ばかりでなく組織型の推定も可能であると考えられた.
  • 平田 真人, 中西 正喜, 佐々木 雅也, 布施 建治, 菱沢 徳太郎, 小菅 一彦, 橋田 修平, 橋本 充右, 山本 盛杲, 横田 峻, ...
    1989 年 86 巻 8 号 p. 1692-1696
    発行日: 1989年
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
  • 磯 彰格, 清水 誠治, 大塚 弘友, 尾川 美弥子, 青木 美博, 多田 正大, 川井 啓市
    1989 年 86 巻 8 号 p. 1697-1700
    発行日: 1989年
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
  • 吉田 直哉, 住野 泰清, 上野 幸久, 陳 百嵩, 跡部 俊彦
    1989 年 86 巻 8 号 p. 1701-1704
    発行日: 1989年
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
  • 神谷 泰隆, 後藤 和夫, 野口 良樹, 白木 茂博, 松葉 周三, 大原 弘隆, 中山 善秀, 神谷 武, 真下 啓二, 品川 長夫, 由 ...
    1989 年 86 巻 8 号 p. 1705-1709
    発行日: 1989年
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
  • 長尾 泰孝, 山下 滋夫, 馬場 道夫, 山本 博史, 弘中 武, 岡上 武
    1989 年 86 巻 8 号 p. 1710-1714
    発行日: 1989年
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
feedback
Top