日本消化器病学会雑誌
Online ISSN : 1349-7693
Print ISSN : 0446-6586
肝動脈塞栓術施行後の肝癌の「寛解」状態の意義と5年生存との関連について
池田 健次熊田 博光荒瀬 康司茶山 一彰斉藤 聡古明地 弘和吉場 朗煎本 正博
著者情報
ジャーナル フリー

1989 年 86 巻 9 号 p. 2215-2222

詳細
抄録

肝動脈塞栓術 (TAE) で治療した原発性肝癌138例について, 血管造影•X線CTで壊死率を判定し, 長期予後との関係をみた. 頻回TAEにより画像上著効 (完全壊死) となつたのは35例であつた. 1年間以上画像上腫瘍が消失しかつAFPが正常となる状態を「寛解」と定義すると, 寛解は17例にみられた. 3年生存率は37.0%で, 3年生存した37例中寛解を経験したのは, 12例 (32.4%) であつた. 5年生存率は26.5%で, 5年生存した9例のうち7例 (77.7%) が寛解状態を経験していた. 頻回TAEを行えば良好な腫瘍壊死や約3分の1の症例に3年生存が得られるが, 5年生存を達成するためには寛解が重要な条件と考えられる.

著者関連情報
© 財団法人 日本消化器病学会
前の記事 次の記事
feedback
Top