1989 年 86 巻 9 号 p. 2210-2214
肝組織内DNAポリメラーゼα (DNA-Pα) をモノクローナル抗体を用いて検出し, 各種肝疾患の肝細胞増殖動態について検討した. 肝細胞1000個に対するDNA-Pα陽性肝細胞数は, hospital control では平均1個であつたのに対し, 急性肝炎, 慢性肝炎, 肝硬変ではいずれも平均約20個に増加していた. また, 肝細胞癌では平均約500個と著明に増加していた. 慢性活動性肝炎は慢性非活動性肝炎よりDNA-Pα陽性肝細胞が多く, piecemeal necrosis, 巣状壊死の高度な例では軽度例に比べDNA-Pα陽性細胞が多く認められた.