日本消化器病学会雑誌
Online ISSN : 1349-7693
Print ISSN : 0446-6586
実験的拘束ストレス潰瘍の発生機序
粘膜虚血と胃酸分泌の観点から
小松 弘一
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1990 年 87 巻 1 号 p. 25-38

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抄録

拘束ストレス潰瘍発生機構における粘膜虚血と胃酸分泌の関係, 特に壁細胞内 actin filaments 異常の関与について in vivo およひ in vitro の実験系を用い, 組織化学並びに電顕的に検討した. 全身石膏拘束ストレス潰瘍の形成時にコリン作動性神経は過剰刺激状態にあるが, 粘膜血流は減少し, 胃酸分泌の亢進はみられなかつた. 電顕的に壁細胞の多くは resting stage にあり, hypoxic vacuoles の出現, intracellular canaliculi (IC) 周囲 actin filaments の線維状形態の消失とICの拡張所見が認められた. 脱血, 低酸素, cytochalasin B処置にて同様の所見を示し, bethanechol 投与によつても胃酸分泌は亢進しなかつた. 以上より, 拘束ストレス潰瘍形成時には, 胃粘膜の虚血性変化が潰瘍形成に重要であると考えられた.

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