日本消化器病学会雑誌
Online ISSN : 1349-7693
Print ISSN : 0446-6586
スキルス胃癌における間質増生の機序に関する研究
癌細胞の collagen 産生能について
森田 幸悦大和田 稔
著者情報
ジャーナル フリー

1990 年 87 巻 1 号 p. 16-24

詳細
抄録

スキルス胃癌5例, 非スキルス胃癌4例について抗ヒトI型 procollagen 抗体を用いて免疫組織学的に検討した. スキルスではいずれも癌細胞に強い染色性を認めたのに対し, 非スキルスにおけるそれは弱陽性~陰性であつた. スキルス胃癌由来細胞 (KATO III) からmRNA分画を抽出しヒトI型 procollagen α1 cDNA probe を用いて Dot blot および Northern blot analysis を行つたところ, procollagen message に相当する4.8kbおよび6.0kbに明確な signal を認めた. また抗ヒトI型 procollagen 抗体を用いたRIA法および Western blot 法により癌細胞培養上清中にヒトI型 procollagen c 末端 peptide (P-I-C) 関連抗原の存在を確認した. KATO III の procollagen mRNA は glucocorticoid により抑制されたことから, 癌細胞の collagen 合成も線維芽細胞同様 glucocorticoid による調節を受けることが明確となつた.

著者関連情報
© 財団法人 日本消化器病学会
前の記事 次の記事
feedback
Top