日本消化器病学会雑誌
Online ISSN : 1349-7693
Print ISSN : 0446-6586
ヒト肝細胞癌の flow cytometry による核DNA量の検討
祐森 泰郎越智 次郎三浦 賢佑落 義男森岡 淳夫森安 史典内野 治人
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キーワード: 肝細胞癌, 核DNA量, 予後
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1990 年 87 巻 1 号 p. 83-89

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抄録

肝細胞癌34例について術後新鮮試料を用いて flow cytometry (FCM) による核DNA量の測定を行ないDNA aneuploidy の頻度及び ploidy と悪性度との関係につき検討を行なつた. その結果, DNA aneuploidy の出現頻度は53%であつた. DNA ploidy とTNM stage 分類10)との関係では aneuploidy 群で有意に stage の高い症例の数が多かつた. また血管侵襲との関係では diploidy 群では門脈腫瘍栓を認めたものは16例中わずか1例 (6%) であつたのに対し, aneuploidy 群では, 18例中11例 (61%) と高頻度であつた. FCMによるDNA ploidy の検討は腫瘍マーカーとしての診断的価値に加え, 悪性度及び予後判定の指標として有用であると考えられた.

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