1990 年 87 巻 11 号 p. 2457-2465
各種肝疾患における血中可溶型インターロイキン2レセプター(sIL2R)の測定を行うとともにその性状について検討した. In vitro, in vivo でIL2を投与するとsIL2Rの産生が亢進しており, 血中sIL2Rの増加は in vivo でのT細胞の活性化及びIL2産生を反映していることが示唆された. 慢性肝炎(CH), 原発性胆汁性肝硬変(PBC)の血中sIL2Rは, 健常者に比べ有意に増加していた. 増加した血中sIL2Rは, IL2と結合するにもかかわらず, in vitro の系ではIL2の作用を抑制しなかつた. 以上の結果よりCH, PBCではIL2産生の亢進, T細胞の活性化にもとずく血中sIL2R産生亢進状態がうかがわれ, その発生, 増悪機構にIL2が関与していることが示唆された.