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-第2報-胃主細胞膜への標識CCK8結合反応の検討
坂本 長逸, 的崎 尚, 長尾 宗彦, 誉田 芳孝, 西崎 朗, 中野 修, 松田 康平, 和田 謙
1990 年 87 巻 11 号 p.
2429-2433
発行日: 1990年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
モルモットより単離胃主細胞を作製し, 主細胞膜標品に対する
125I-COOH-terminal octapeptide cholecystokinin (
125I-CCK8) の結合反応を検討した. 主細胞膜標品にはCCKに特異的で高親和性の受容体が存在し, 酸性pHで
125I-CCK8の結合は増加した.
125I-CCK8の最大結合を50%抑制するCCK8, gastrin-I, COOH-terminal tetrapeptide CCK の濃度はそれぞれ3×10
-10M, 3×10
-7M, 10
-6Mであり, 報告された膵, 大脳CCK受容体に対するそれぞれの類似体の力価とは異なつていた. 又, 主細胞膜標品への
125I-CCK8の結合は非水解性グアニンヌクレオチド類似体であるGTPγS, Gpp(NH)pによつて濃度依存性に抑制され, GTPγSの存在下では二側性CCK結合部位のうち, 低親和性結合部位のみが観察された. 従つて, 胃主細胞膜標品においてCCK受容体はグアニンヌクレオチド制禦蛋白質に連関するものと思われた.
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平山 大介, 藤盛 孝博, 荒尾 素次, 前田 盛
1990 年 87 巻 11 号 p.
2434-2443
発行日: 1990年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
早期胃癌の癌表面積を測定数値化することにより, 早期胃癌における癌表面積と浸潤度からみた特異型について検討した. その結果, いわゆる penetrating 型および superficial spreading 型早期胃癌は通常の早期胃癌に比較し多くの臨床病理学的特徴を有していた. また, 免疫組織学的検討ではPEN型早期胃癌で高い増殖能が見られ, その特異な浸潤, 増殖にEGFが, 硬性発育にEGF, TGF-βが関与していると考えられた. さらに, 低分化型のPEN型が linitis plastica 型胃癌の初期病変である可能性も示唆された. これらのことから生検標本におけるEGF, TGF-βの免疫染色がPEN型早期胃癌の診断, さらには, linitis plastica 型胃癌の初期病変への診断に有用であることが考えられた.
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岡野 重幸, 小原 剛, 奥山 修兒, 竹村 清一, 斉藤 裕輔, 浦 等, 蘆田 知史, 綾部 時芳, 柴田 好, 岡村 毅与志, 並木 ...
1990 年 87 巻 11 号 p.
2444-2450
発行日: 1990年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
切除された大腸癌および大腸腺腫に対し抗DNAポリメラーゼαモノクローナル抗体を用いてその増殖能を同定し, 病理組織所見との関連について検討した. 腫瘍細胞1000個あたりのDNAポリメラーゼα陽性細胞率をDNAポリメラーゼα labeling index (L.I.) として算出したところ, 大腸癌ではL.I.: 51.6%で大腸腺腫のL.I.: 28.6%に比べて有意に高かつた. 大腸癌のL.I.は stage が進行するにつれて, また壁深達度が深くなるにつれて高値を示した. 一方, 大腸腺腫におけるL.I.は, その異型度が高度になるにつれて高値となる. L.I. は大腸癌および大腸腺腫の生物学的悪性度および組織学的異型度の判定に有用と思われる.
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小松 眞史, 後藤 充男, 山本 彰夫, 豊島 至, 正宗 研
1990 年 87 巻 11 号 p.
2451-2456
発行日: 1990年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
ウサギ肝臓より分離した210kDa微小管関連蛋白質に対する自己抗体, anti-210kDaMAPautoantibody の存在を, 肝疾患やSLE末梢血液中で明らかにした. これまでヒトや動物で微小管関連蛋白質に対する自己抗体の報告はなく, anti-210kDa MAP autoantibody は新しい cytoskeleton antibodyと言える. この自己抗体について, 各種肝疾患およびSLEの陽性率を western blotting で検討した結果, 10倍稀釈血清の場合, アルコール性肝疾患52.5%, 原発性胆汁性肝硬変55.6%, 自己免疫性肝炎83.3%, ウイルス性肝疾患26.4%, SLE 71.4%, 健常者0%, 100倍稀釈血清の場合, アルコール性肝疾患22.5%, 原発性胆汁性肝硬変44.4%, 自己免疫性肝炎66.7%, ウイルス性肝疾患17.0%, SLE 71.4%, 健常者0%であつた. その結果, anti-210kDa MAP autoantibody はアルコール性肝疾患, 原発性胆汁性肝硬変, 自己免疫性肝炎, SLEでは健常者やウイルス性肝疾患に比しより高率に出現することが証明された.
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山口 修司
1990 年 87 巻 11 号 p.
2457-2465
発行日: 1990年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
各種肝疾患における血中可溶型インターロイキン2レセプター(sIL2R)の測定を行うとともにその性状について検討した. In vitro, in vivo でIL2を投与するとsIL2Rの産生が亢進しており, 血中sIL2Rの増加は in vivo でのT細胞の活性化及びIL2産生を反映していることが示唆された. 慢性肝炎(CH), 原発性胆汁性肝硬変(PBC)の血中sIL2Rは, 健常者に比べ有意に増加していた. 増加した血中sIL2Rは, IL2と結合するにもかかわらず, in vitro の系ではIL2の作用を抑制しなかつた. 以上の結果よりCH, PBCではIL2産生の亢進, T細胞の活性化にもとずく血中sIL2R産生亢進状態がうかがわれ, その発生, 増悪機構にIL2が関与していることが示唆された.
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結城 暢一, 林 紀夫, 笠原 彰紀, 萩原 秀紀, 片山 和宏, 房本 英之, 加藤 道夫, 益沢 学, 鎌田 武信
1990 年 87 巻 11 号 p.
2466-2472
発行日: 1990年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
C型肝炎ウイルス (HCV) 抗体陽性慢性肝疾患におけるB型肝炎ウイルス (HBV) 関連マーカーの発現を検討した. HCV抗体は非A非B型慢性肝疾患107例中83例(78%)で検出され, 各病型で陽性率に差はなかつた. HCV抗体陽性のC型慢性肝疾患の内64%でHBV関連抗体も陽性であつた. HBc抗体は肝癌合併肝硬変群では慢性持続性肝炎•慢性活動性肝炎•肝硬変群に比べ陽性率•抗体価共に高い傾向を認めた. 一方, B型慢性肝疾患65例中7例(11%)がHCV抗体陽性で, 肝癌合併肝硬変群では17例中4例(24%)が陽性であつた. 以上より慢性肝疾患の進展にB型およびC型の両ウイルスの感染が関与する可能性が示唆された.
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酒井 堅
1990 年 87 巻 11 号 p.
2473-2482
発行日: 1990年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
迷走神経切離術 (幹迷切) 後の胆石形成におよぼす影響について実験的検討をおこなつた. 実験動物としてICR雄性マウスを用い, 経腹的に幹迷切を行つた. 無コレステロール食投与時, 幹迷切により胆汁中コレステロールのモル比は増加し, 胆汁中総蛋白濃度も増加していた. さらに胆石形成食投与時, 胆石形成率は幹迷切後に明らかに増加していた. しかし, 胆汁中コレステロール濃度の有意の増加は認められなかつたが, 胆汁中総蛋白量は有意に増加し, 胆道系への感染率も増加していた. 以上の結果より, 幹迷切は胆石形成に促進的に働く因子であることが明かとなつた.
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特に胆石生成との関連について
中村 和邦
1990 年 87 巻 11 号 p.
2483-2493
発行日: 1990年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
胆石症, ことに肝内結石症との関連が注目されているムコ多糖類 (GAG) についてヒト胆汁からの分離, 抽出を行なつた. 胆汁は正常対照群と各種胆道系疾患群から採取し各々について詳細な質的量的検討を加えた. その結果, 胆石群では疎なムコ糖質 (c-MP) の収量と総ヘキソサミン値が他群より有意に高値であり, 胆汁中GAGの増加が考えられた. しかし胆石症例以外でも閉塞性黄疸や白色胆汁など, 胆汁うつ滞や強度の胆道系の炎症が合併する症例では, c-MP収量, 総ヘキソサミン値共に著高を呈するものが多く, 胆汁中へのムチンの増加には胆汁うつ滞や感染の存在が強く関与するものと思われた. また, 二次元電気泳動, DEAE-Sephacel イオン交換カラムクロマトグラフィー, アミノ酸分析器による分析では, 胆汁中GAGは標準のGAGに比し, 電気泳動の移動度が少なく, 酵素消化に抵抗性を有する胆汁特有の多糖類であると考えられた.
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予後ならびに合併症についての検討
中村 広志, 土屋 幸浩, 大藤 正雄
1990 年 87 巻 11 号 p.
2494-2502
発行日: 1990年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
肝門部胆管癌48例 (経皮的胆汁ドレナージ単独治療35例, 非ドレナージ13例) を対象に, 予後とドレナージの合併症について検討した. ドレナージ例の生存率は胆管炎早期合併の有無により有意差が認められ, 非合併例の予後は6カ月51.9%, 1年13.0%であつた. この成績は肝門部胆管癌の集学的治療にあたつて効果を判定する指標になると考えられた. 胆管炎早期合併に関与する因子として, 胆管分断例に対する不適切なドレナージ, ドレナージ前のERCならびにカテーテルの逸脱があげられた. 胆管炎早期非合併例の生存率は非ドレナージ例の生存率より良好であり, 肝門部胆管癌のドレナージは, 胆管炎の早期合併を回避すれば生存率を改善すると考えられた.
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平野 鉄也, 真辺 忠夫, 戸部 隆吉
1990 年 87 巻 11 号 p.
2503-2508
発行日: 1990年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
肝切除後の膵液中の lysosome 酵素の分泌動態を解明する目的で, ラットにおいて約70%肝切除後4日目, 8日目に caerulein+secretin 刺激下 amylase および cathepsin Bの分泌動態, 膵腺房細胞内での cathepsin Bの distribution について検討した. 肝切除後4日目に amylase 分泌上昇とともにcathepsin B分泌がコントロール群に比べ有意に増加し, 膵腺房細胞内での cathepsin Bの redistributionが観察された. 肝切除後8日目にはこれらの変化は消失したが, 肝切除後の早期における消化酵素および lysosome 酵素の分泌亢進は膵障害の引き金となる可能性を有し, 臨床上留意すべきことと思われた.
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清水 京子
1990 年 87 巻 11 号 p.
2509-2516
発行日: 1990年
公開日: 2007/12/26
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フリー
経腸栄養剤の窒素成分として利用されつつあるオリゴペプタイドの膵外分泌およびセクレチン, コレシストキニン (CCK) に対する影響を検討した. ラットの十二指腸に3~4個のアミノ酸の結合したオリゴペプタイドを25, 100, 400mg/hrの3用量で1時間持続投与した. オリゴペプタイド投与により膵液量, 重炭酸塩, アミラーゼ分泌量は, 有意に用量依存性に増加した. また, 血中セクレチン, CCK濃度も用量依存性に上昇した. CCK拮抗薬, CR1505 (5mg/kg•hr) の静脈投与により, オリゴペプタイド投与で増加したアミラーゼ分泌量は著明に抑制された. 以上より, 3~4個のアミノ酸によるオリゴペプタイドの十二指腸投与は, 内因性セクレチン, CCKの遊離を介して, 膵外分泌を増加させると考えられる.
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山口 武人, 税所 宏光, 大藤 正雄, 近藤 福雄
1990 年 87 巻 11 号 p.
2517-2525
発行日: 1990年
公開日: 2007/12/26
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膵の超音波映像下経皮的組織生検を行ない, その診断能と臨床的有用性について検討した. 対象は膵癌37例, 慢性膵炎11例であり, 生検針は超音波映像下組織生検針 (ソノプシーC1) を用いた. その結果, 組織採取率は95.8%, 良性•悪性に関する正診率は91.3%と高率であつた. 膵癌33例中32例(91.4%) で組織型の判定が可能であり, 手術による切除標本との対比では8例中5例で組織型が一致した. また, 慢性膵炎11例中9例 (81.8%) で慢性膵炎の組織像が得られた. US, CT, ERCPおよび血管造影の総合診断で診断困難な症例において, 膵癌7例中6例, 慢性膵炎3例中3例に組織生検上正診が得られた. 副作用としては腹痛が全例に認められたが, 臨床上緊急処置を必要とする重篤な合併症はなかつた. 経皮的膵組織生検は細胞診に優る診断能を有し, 安全で膵疾患の診断に有用である.
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副島 英伸, 岡田 和也, 松崎 純宏, 高須 勝也, 梶原 義史, 田島 義証, 田中 公朗, 小原 則博, 松元 定次, 江藤 敏文, ...
1990 年 87 巻 11 号 p.
2526-2530
発行日: 1990年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
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上辻 章二, 小島 善詞, 山村 学, 山田 修, 權 雅憲, 浜田 吉則, 畑埜 武彦, 山本 政勝
1990 年 87 巻 11 号 p.
2531-2534
発行日: 1990年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
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奥田 道有, 日野 啓輔, 西村 滋生, 数住 宗貴, 竹中 一行, 森 健治, 吉田 智治, 小西 知己, 福本 陽平, 沖田 極
1990 年 87 巻 11 号 p.
2535-2539
発行日: 1990年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
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清水 聡, 三浦 正澄, 川口 哲男, 中村 喜行, 武井 学, 宮原 秀仁, 古田 清, 袖山 健, 清沢 研道, 古田 精市
1990 年 87 巻 11 号 p.
2540-2544
発行日: 1990年
公開日: 2007/12/26
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唐仁原 寛, 佐伯 啓三, 山筋 忠, 青崎 真一郎, 美園 俊明, 丸田 修士, 市来 秀一, 加藤 修一, 上山 教夫, 谷口 鎌一郎, ...
1990 年 87 巻 11 号 p.
2545-2550
発行日: 1990年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
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大原 弘隆, 後藤 和夫, 野口 良樹, 白木 茂博, 神谷 泰隆, 飯田 昌幸, 山腰 雅宏, 片桐 健二, 武内 俊彦
1990 年 87 巻 11 号 p.
2551
発行日: 1990年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー