日本消化器病学会雑誌
Online ISSN : 1349-7693
Print ISSN : 0446-6586
肝細胞癌, 癌を内包する過形成結節及び過形成結節における細胞形態の比較検討
特に細胞密度について
中島 収清松 和光家村 昭日朗枝光 理杉原 茂孝神代 正道
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1990 年 87 巻 7 号 p. 1514-1519

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抄録

外科的に切除された腫瘍径2cm以下の肝細胞癌 (肝癌) 15例, 脂肪化•淡明化を伴う肝癌6例, 過形成結節7例, 癌を内包する過形成結節5例における癌部, 非癌部, 過形成結節部, 非結節部の細胞密度について比較検討した. 高分化肝癌は細胞の小型化と共に核•胞体比の増大をみ, この結果著明な細胞密度の増加を特徴とし, 通常非癌部の約2倍であつた. 脂肪化•淡明化を伴う肝癌では脂肪や糖質の蓄積による胞体の腫大のため細胞密度の増加が明らかでなく, 脂肪化を伴う過形成結節やその他の結節性病変との鑑別に注意を要する. 過形成結節は細胞密度の増大の著明なものとそうでないものに大別でき, 前者では癌を内包する頻度が高かつた.

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