日本消化器病学会雑誌
Online ISSN : 1349-7693
Print ISSN : 0446-6586
潰瘍性大腸炎と妊娠についての臨床的検討
小林 清典勝又 伴栄五十嵐 正広三富 弘之西元寺 克禮島田 信宏
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キーワード: 潰瘍性大腸炎, 妊娠
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1991 年 88 巻 6 号 p. 1313-1318

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抄録

潰瘍性大腸炎 (以下UC) と妊娠との相互関係, および治療薬剤が妊娠経過や新生児におよぼす影響につき検討した. 対象は女性UC患者118例のうち, 妊娠可能期間 (18歳から39歳) にUCを発症するか, 観察期間内に妊娠可能年齢となつた83例であり, 以下の結論を得た. (1) UCは患者の妊孕性および妊娠経過に影響をおよぼさなかつた. (2) UC発症後の妊娠は37回であり, うち36回は緩解期妊娠であつたが, 17回 (47%) でUCが再燃した. 非妊娠時の再燃率との比較で, 妊娠はUCの再燃因子と考えられた. (3) 12回で妊娠中にUCが発症し, 重症化する傾向にあつた. (4)妊娠中の salazosulfapyridine や副腎皮質ステロイドなどの投与は常用量の範囲内では安全と考えられた.

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