1992 年 89 巻 5 号 p. 1231-1241
モノクローナル抗体の生体内投与前後の免疫活性の経時的変動と全身照射による影響を cell binding assay を用いて評価し, 抗体の in vivo 腫瘍集積性と体内動態に及ぼす全身照射の効果を検討した. (1)体内投与後の抗体活性は標識直後と比較して経時的低下傾向を示したが, in vitro 37°C保存下での変化は認めなかつた. (2)全身照射により投与抗体の経時的活性低下は抑制され, しかも線量に依存する傾向を示した. (3)全身照射後の抗体の腫瘍集積性は照射線量に依存して有意に増加し, 腫瘍/組織比も有意に向上した. (4)担癌生体に対する全身照射処理はモノクローナル抗体を用いた癌の免疫検出能の向上のみならず全身照射-骨髄移植療法等への応用にも寄与する可能性が示唆された.