日本消化器病学会雑誌
Online ISSN : 1349-7693
Print ISSN : 0446-6586
慢性肝疾患における肝線維化マーカー測定の意義
肝組織所見との比較検討
佐藤 重信
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1992 年 89 巻 9 号 p. 2007-2015

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抄録

肝生検を施行した慢性肝疾患患者90例 {脂肪肝 (FL), 慢性非活動性肝炎 (CIH), 慢性活動性肝炎 (CAH), 肝硬変 (LC)} および正常者の血清で四種類の肝線維化マーカー {N-terminal peptide of Type III procollagen (P III P), Laminin P1 (ラミニン), Type IV collagen (Type IV-C), 7S domain (7S)}を測定し, 肝組織の変化と対比検討した. 各マーカー値はCAH群, LC群で正常者より有意に高く, 線維化の指標になりうると考えられた. 肝組織所見と各マーカー値との対比検討により, PIIIPは線維化と共に壊死炎症を, ラミニン, Type IV-C, 7Sは進展した線維化を反映していた. 特に7Sは肝硬変の診断に有用なマーカーであると考えられた.

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