1994 年 91 巻 2 号 p. 154-161
日本臨床化学会 (JSCC) の提唱したaspartate aminotransferase (AST), alanine aminotransferase (ALT) 活性測定の常用基準法によるAST, ALTおよびAST/ALT比の評価を行った. 国際臨床化学連合 (IFCC) 勧告法のピリドキサールリン酸無添加とした37QC測定法, 日本消化器病学会肝機能研究班がかつて推奨したKarmen法と比較して, この比は優れた相関性を示し, それぞれの測定法との回帰式の傾きは前者の場合1.00, 後者の場合0.87となった.
急性肝炎, 肝硬変, 肝癌など肝疾患の鑑別診断上有用とされるAST/ALT比のカットオフ値は, Karmen法の場合1.0とされているが, JSCC常用基準法の場合0.87として設定されるべきであることが分析法の相関回帰から明らかとなり, 4種病態の判別データからも妥当であると考えられた.