日本消化器病学会雑誌
Online ISSN : 1349-7693
Print ISSN : 0446-6586
肝動脈塞栓術前後の血中および尿中ネオプテリンの変動とその臨床的意義
五代 和紀大東 恭子山田 貞子上桝 次郎堀江 裕周防 武昭川崎 寛中
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1994 年 91 巻 6 号 p. 1097-1103

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抄録

肝動脈塞栓術(TAE)は,直接的な腫瘍壊死効果と間接的に細胞性免疫を変動させる効果が期待される.著者らは細胞性免疫のマーカーとして注目されている血清および尿中ネオプテリンを,肝細胞癌患者を対象にしてTAEまたはone shot肝動脈注入療法(AI)術前後で測定した.TAE(n=11)では全例術後7E似内に血清および尿中ネオプテリンの一過性の有意の上昇を認めた(p<0.01)のに対してAI(n=8)では上昇を認めず,むしろやや低下傾向を示した.natural killer細胞活性,C反応性蛋白,トランスアミラーゼ,α-フェトプロテインの変動から,TAE後の血清および尿中ネオプテリンの上昇は,TAEによる直接的な腫瘍壊死効果に基づく急性期の細胞性免疫反応の評価に有用と考えられた.

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