1999 年 96 巻 1 号 p. 53-58
症例は19歳,女性.生来健康であったが,発熱,黄疸を主訴に来院し,内視鏡的逆行性胆管造影で原発性硬化性胆管炎(PSC)に特徴的な胆管狭窄像を示し,血液生化学所見でもPSCに典型的であった.腹腔鏡下肝生検では肝硬変を呈するPSC像であった.ウルソデオキシコール酸は無効で,胆管炎を繰り返すため速し,進行が予想され,肝移植の適応と判断した.発症から約1年後,成人間部分生体肝移植を施行した.本邦でのPSCに対する肝移植報告例は少なく,肝移植時期の検討を含め考察した.