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早川 哲夫
1999 年 96 巻 1 号 p.
1-7
発行日: 1999年
公開日: 2008/02/26
ジャーナル
フリー
慢性膵炎における診断と治療の最近の進歩について,minimal invasive,interventional,function preservingな方法を中心に述べた.診断面ではmagnetic resonance cholangiopancreatography(MRCP)とtubless pancreatic function testsにふれた.MRCPはERCPに匹敵しうる画像が得られるようになったが,機能試験は現状では無管法は有管法には精度,特異性とも及ばない.治療面では膵石破砕,膵胆管ステント,膵嚢胞ドレナージ,機能温存手術についてふれた.これらの長期効果については多数例の前向き比較対照試験の成績を待つべきであるが,手術を含めた従来の治療法に匹敵する短期的効果を挙げている.
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桜井 健一, 秦 怜志, 天野 定雄, 福澤 正洋
1999 年 96 巻 1 号 p.
8-13
発行日: 1999年
公開日: 2008/02/26
ジャーナル
フリー
他病死・術死を除いた術前未治療の食道扁平上皮癌64症例を対象として,癌抑制遺伝子であるp16と細胞増殖関連抗原であるKi-67について,免疫組織染色により蛋白レベルでの検索を行い,予後を含めた臨床病理学的諸因子と比較検討した.p16は31.1%に発現が見られず,Ki-67発現率(Ki-67-positive cell index : Ki-67-PI)は平均値53.38であった.臨床病理学的因子との比較では,低分化型癌にp16陰性例が多く,Ki-67-PIが低かった.高分化型癌にp16陽性例が多く,Ki-67-PIが高かった.リンパ節転移陽性症例にp16陰性例が多く,臨床病期が進むにつれてp16陰性症例が増加する傾向が見られた.p16陽性群と陰性群間にKi-67-PIの差はなかったが,p16陽性群は陰性群に比べて累積生存率が良好であった.食道扁平上皮癌におけるp16の発現は,悪性度を判定する一助となる可能性が示唆された.
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後藤 亨, 菱木 智, 田中 正仁, 志和 忠志, 栃久保 修, 川口 義明, 横山 信之, 小松 和人, 鈴木 亮一
1999 年 96 巻 1 号 p.
14-20
発行日: 1999年
公開日: 2008/02/26
ジャーナル
フリー
Helicobacter pylori(Hp)除菌後に認められるびらん型十二指腸炎について検討した.胃十二指腸潰瘍59例を,amoxicillin,clarithromycin,lansoprazol,polaprezincで除菌し,成功した44例(男35例,女9例,平均年齢51±13歳)を対象とした.結果は,そのうち18名(43.2%)にびらん型十二指腸炎を認めた.びらん型十二指腸炎は,基礎疾患に十二指腸潰瘍が有意に多かったが,他の背景因子に差はなかった.びらんは球部前壁を中心に存在していたが,後壁や下行脚まで拡がっていたものも多く認められた.症状はなく,無治療で予後は良好だった.びらん型十二指腸炎は,すべて成功例に出現したこと,またその後が良好なことから,副作用というより,除菌の成功を示唆する所見と考えられた.
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矢倉 道泰, 上司 裕史, 原田 英治
1999 年 96 巻 1 号 p.
21-28
発行日: 1999年
公開日: 2008/02/26
ジャーナル
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医療従事者を対象として,Chinese Hamster Ovary Cell由来遺伝子組換えHBワクチン(CDV,131名)と血漿由来HBワクチン(PDV,112名)の抗体反応を5年間観察し,両ワクチンの比較検討を行った.その結果,7カ月の陽転率ではCDV群96.9%,PDV群77.8%,5年後ではそれぞれ74.1%と40%となり,獲得抗体価の幾何平均値(GMC)では7カ月でCDV群588IU/l,PDV群83.0IU/l,5年後ではそれぞれ69.4IU/lと7.2IU/lであった.また,性別,年齢階級別比較でも陽転率,抗体価ともにCDV群のほうが有意に高く,とくに40歳以上で顕著な差を認めた.両群の陽転者の平均抗体価は7カ月目をピークとして平行して減衰した.なおnon-responderはCDV群2.3%,PDV群15.2%であり,前者で有意に低率であった.
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平松 聖史, 千木良 晴ひこ, 加藤 岳人, 柴田 佳久, 尾上 重巳, 杢野 泰司, 吉田 克嗣, 安部 哲也, 江崎 稔
1999 年 96 巻 1 号 p.
29-32
発行日: 1999年
公開日: 2008/02/26
ジャーナル
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患者は72歳,女性,腹痛を主訴に来院,腹部単純X線像,CT像から腸閉塞と診断し緊急手術を行ったところ,腸回転異常症(右傍十二指腸ヘルニア)であった.腸切除は行わず,Ladd手術を行い良好な転帰を得た.腸回転異常症の多くは小児期に発症し高齢者では他疾患に合併し偶然発見されることが多い.腸回転異常症に由来する症状で発症するのはまれではあるが,高齢者の腸閉塞でも念頭におく必要があると思われたので報告する.
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浮田 雄生, 藤田 直孝, 野田 裕, 小林 剛, 木村 克巳, 八子 章生, 松永 厚生, 結城 豊彦, 富永 現, 野村 美樹子, 佐藤 ...
1999 年 96 巻 1 号 p.
33-37
発行日: 1999年
公開日: 2008/02/26
ジャーナル
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十二指腸乳頭部癌(以下,乳頭部癌)は胆膵領域の癌のなかでは比較的予後良好な癌で,特にOddi筋内にとどまるものでは切除により長期予後が期待できることが知られている.一方,膵実質浸潤を来たすと遠隔成績は不良となる
1)~3).したがって,乳頭部癌の膵浸潤様式を明らかにすることは,予後改善のために重要な課題と考えられる.今回われわれは共通管に主座を置く乳頭部癌が主膵管から分枝膵管に上皮内進展し,この分枝膵管から膵実質に浸潤を示した症例を経験したので,若干の文献的考察を加えて報告する.
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―腸管子宮内膜症本邦報告例90例の検討を含めて―
桐井 宏和, 天野 和雄, 瀬古 章, 高木 昌一, 酒井 勉, 市橋 正嘉, 多羅尾 信, 後藤 明彦, 秋田 國治, 森脇 久隆
1999 年 96 巻 1 号 p.
38-44
発行日: 1999年
公開日: 2008/02/26
ジャーナル
フリー
症例は43歳,女性.主訴は1カ月毎の下腹部痛.S状結腸にほぼ全周性の狭窄を認め,イレウス症状を来したため,全身麻酔下にS状結腸切除術,子宮全摘術および左子宮付属器摘出術を施行した.切除標本の病理所見より腸管子宮内膜症と診断した.術後第3日目,突然左胸痛と呼吸困難を訴え,胸部X線にて両側気胸を認めた.腸管子宮内膜症と気胸との合併は極めてまれであり,本邦における腸管子宮内膜症例90例の検討を含めて報告する.
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深田 雅之, 井上 冬彦, 杉坂 宏明, 白浜 圭吾, 鈴木 克契, 永山 和男, 田中 照二
1999 年 96 巻 1 号 p.
45-48
発行日: 1999年
公開日: 2008/02/26
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症例は33歳,男性.腹痛,発熱,下痢にて来院,大腸内視鏡,腹部CT,注腸X線検査にてS状結腸腸間膜脂肪織炎と診断し,腸管安静のみで改善をみとめた.本症では画像診断と保存的治療が望ましいとされるが,自験例を含む記載の明確な本邦報告81例の検討では画像診断されたもの18例,腸管安静のみで治療したものは7例であった.本例は腸間膜脂肪織炎の画像所見の特徴をとらえ,腸管安静のみで治療し得た.
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牧野 仁, 斉藤 康晴, 西山 順博, 細田 友則, 松原 英俊, 中川 雅夫, 坂本 力, 藤山 佳秀, 馬場 忠雄
1999 年 96 巻 1 号 p.
49-52
発行日: 1999年
公開日: 2008/02/26
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症例は72歳の男性で僧帽弁狭窄症と心房細動の既往があった.朝食後,突然の上腹部激痛と冷汗が出現した.腹部造影computed tomography(CT)検査にて上腸間膜動脈塞栓症と診断した.血管造影にて上腸間膜動脈本幹に閉塞がみられたが,経カテーテル下塞栓吸引にて閉塞を解除し,さらにウロキナーゼ持続動注も併用して,腸管を切除することなく保存的に治療し得た.
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児島 謙作, 竹内 孝幸, 金岡 彦治, 中條 卓也, 金政 和之, 島本 和彦, 後藤 秀夫, 岡上 武, 加嶋 敬, 田中 紘一
1999 年 96 巻 1 号 p.
53-58
発行日: 1999年
公開日: 2008/02/26
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症例は19歳,女性.生来健康であったが,発熱,黄疸を主訴に来院し,内視鏡的逆行性胆管造影で原発性硬化性胆管炎(PSC)に特徴的な胆管狭窄像を示し,血液生化学所見でもPSCに典型的であった.腹腔鏡下肝生検では肝硬変を呈するPSC像であった.ウルソデオキシコール酸は無効で,胆管炎を繰り返すため速し,進行が予想され,肝移植の適応と判断した.発症から約1年後,成人間部分生体肝移植を施行した.本邦でのPSCに対する肝移植報告例は少なく,肝移植時期の検討を含め考察した.
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岡庭 信司, 太田 浩良, 小山 恒男, 高松 正人, 比佐 岳史, 友利 彰寿, 山田 繁, 大久保 浩毅
1999 年 96 巻 1 号 p.
59-63
発行日: 1999年
公開日: 2008/02/26
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症例は80歳男性,食後の心窩部痛にて入院.EUSでは主膵管の拡張および拡張した分枝腔内の乳頭状病変が描出され,IDUSにて主膵管内進展を認めた.高齢であり,いずれの検査にても明らかな膵実質浸潤の所見を認めなかったことから十二指腸温存膵頭切除術を施行した.組織学的には膵管内に限局した乳頭状腺癌であった.EUS/IDUSによる膵実質浸潤および主膵管進展の診断は粘液産生膵腫瘍の術式決定に有用と思われた.
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大西 裕, 明石 哲郎, 國吉 政美, 福冨 真理恵, 横田 昌樹, 井口 東郎, 舩越 顕博, 若杉 英之
1999 年 96 巻 1 号 p.
64-69
発行日: 1999年
公開日: 2008/02/26
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症例は67歳,男性.頸部リンパ節腫脹を契機にガリウムシンチグラム,CT検査を施行され,膵頭部腫瘤を指摘された.HTLV-1抗体陽性であり,頸部リンパ節生検,種々の画像診断などから,膵腫瘤を形成したリンパ腫型の成入T細胞性自血病(ATL)と診断した.多剤併用療法にて膵病変は消失し,現在のところ経過良好である.膵病変を認めたATLは非常にまれであり報告した.
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尾形 隆, 奥本 和夫, 藤嶋 昌一郎, 八戸 茂美, 丸橋 成次郎, 桜本 基嗣, 小田嶋 敏, 稲沢 慶太郎
1999 年 96 巻 1 号 p.
70-72
発行日: 1999年
公開日: 2008/02/26
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前田 智治, 桐山 正人, 渡辺 騏七郎
1999 年 96 巻 1 号 p.
73
発行日: 1999年
公開日: 2008/02/26
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