1999 年 96 巻 12 号 p. 1381-1385
大腸内視鏡検査をきっかけとして生じたと考えられる虚血性大腸炎の2例を経験したので報告する.症例1は70歳,男性.S状結腸に多発性憩室を認めた.症例2は36歳,男性.大腸に異常所見は認めなかった.両症例とも検査終了後に腹痛,下血を認めたため緊急内視鏡検査を施行したところ,S状結腸に発赤,浮腫,不整形のびらんを認め,症例2では組織学的にも虚血性大腸炎と診断された.今回の2症例について,既に大腸内視鏡により生じた虚血性大腸炎症例として報告されている14例と比較してみると,いずれも検査数時間後に発症しており,その他の臨床経過をも考慮すると一過性型の虚血性大腸炎という特徴を認めた.