1999 年 96 巻 8 号 p. 959-963
症例は64歳男性.膀胱腫瘍の術前検査(無症状)として胃小腸X線検査を施行し,上部回腸に透亮像を認めた.ゾンデ法小腸X線検査では,病変はほぼ全周性に存在し管腔の狭小化を認めたが,硬化像はなく伸展性は比較的良好であり,隆起表面は平滑で明らかなびらんや潰瘍の形成は認めず柔らかい粘膜下病変が考えられた.確定診断に至らず膀胱全摘時に小腸部分切除術を施行.切除標本では,病変は大きさ5.5×3cm,柔らかい黄白色調の全周性隆起性病変で透明感を有していた.病理組織診断にて海綿状リンパ管腫と診断した.