2001 年 98 巻 10 号 p. 1190-1194
C型肝硬変の73歳男性が右腸腰筋膿瘍を合併した.超音波下ドレナージ穿刺液からはE.coli,Bacteroides fragilisが検出され,続発性腸腰筋膿瘍が疑われたが,原因となる消化管疾患は指摘できなかった.肝硬変のため局所免疫の低下した腸管から大腸菌が門脈内に進入し,ジャントから血行性に感染したこと,すなわちbacterial translocationが原因と推測された.肝疾患に合併した腸腰筋膿瘍の報告例は本例で3例目であり貴重な症例と考えられた.