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過敏性腸症候群
福土 審
2001 年 98 巻 10 号 p.
1137-1145
発行日: 2001/10/05
公開日: 2008/02/26
ジャーナル
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過敏性腸症候群(IBS)は,消化器病の臨床上高頻度に遭遇する重要な疾患である.その克服は患者の切実な願いであるとともに,医療経済に大きく影響する。IBSの病態は,消化管運動異常,消化管知覚過敏,心理的異常で特徴づけられる.これらは相互に関連しており,ストレスによる症状の増悪という現象から,脳腸相関の異常がIBSの本質であると考えられる.IBSの原因を解明するために,脳腸ペプチド,粘膜微小炎症による消化管機能変化,遺伝子,学習,神経可塑性脳内神経伝達が注目される.
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過敏性腸症候群
松枝 啓
2001 年 98 巻 10 号 p.
1146-1153
発行日: 2001/10/05
公開日: 2008/02/26
ジャーナル
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21世紀は,ストレス社会の到来と共に機能的疾患である過敏性腸症候群が急増することが予想されており消化器科領域における最も重要な治療対象になると考えられている.さらに,この症候群の患者のHealth-related quality of lifeは血液透析を施行している腎不全患者よりも低下していることも明らかになり,この症候群の臨床的意義がクローズアップされてきた,したがって,臨床現場における過敏性腸症候群の診療を容易にし,また患者のQuality of lifeが向上することを目的に過敏性腸症候群の診断基準そして最近の治療薬の進歩,とくに最近認可されたポリカルボフィルカルシウムと認可が期待されているセロトニン受容体拮抗薬/刺激薬を中心に解説した.
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田利 晶, 麻奥 英毅, 谷 洋, 柏戸 宏造, 栗原 寛治, 藤原 恵, 吉野 正
2001 年 98 巻 10 号 p.
1154-1163
発行日: 2001/10/05
公開日: 2008/02/26
ジャーナル
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胃・十二指腸に病変の主座を有する悪性リンパ腫(非ホジキンリンパ腫)29例を対象として,非切除治療法の効果を検討した.MALTリンパ腫を含むStageI~IIIの症例に対しては,
Helicobacter pylori除菌,化学療法,放射線療法を組み合わせることにより完全寛解に導入することができ,他病死例3例以外は寛解を維持しこれらの症例では本治療法で寛解に導入できると考えられた.StageIVの症例に対しても,5096の症例では化学療法により完全寛解に導入することができた.本検討成績から,現在我々の施行している胃・十二指腸原発悪性リンパ腫に対する非切除根治治療は,患者のQOLを保ちかつ極めて有効であると考えられた.
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伊藤 啓, 藤田 直孝, 野田 裕, 小林 剛, 木村 克巳, 多田 知子, 松永 厚生, 結城 豊彦, 野村 美樹子, 佐藤 匡, 石田 ...
2001 年 98 巻 10 号 p.
1164-1173
発行日: 2001/10/05
公開日: 2008/02/26
ジャーナル
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胆管疾患診断に対するMRCPの臨床的意義について検討した.ERCP施行311例を対象にMRCPを併施し,ERCP所見にブラインドでMRCP像を読影した.胆管描出率は99%でERCPより高率であった.胆管結石診断能は感度95%,特異度97%,正診率97%と良好な結果であった.微小結石は診断困難であった.胆管狭窄存在診断能は感度97%,特異度96%,正診率96%であった.胆管末端の狭窄の描出は困難であった.MRCPは胆管病変疑診例に対し精度の高い診断法として,受診後早期に施行されるべきであるが,読影には特有のpitfallに注意が必要である.
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追矢 秀人, 大川 清孝, 大磯 龍太, 須藤 玲子, 青木 哲哉, 根引 浩子, 針原 重義, 真鍋 隆夫, 荒川 哲男
2001 年 98 巻 10 号 p.
1174-1178
発行日: 2001/10/05
公開日: 2008/02/26
ジャーナル
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慢性腎不全をともなう孤立駐胃静脈瘤の1例を経験した.自験例は5回目のバルーン閉塞下逆行性経静脈的塞栓術にて胃静脈瘤の血栓化を認めた.自験例は硬化剤の停滞が良好であるにもかかわらず治療に難渋しており,血液透析が硬化剤による血栓形成の妨げになっている可能性が示唆され,極めて興味深い症例と思われた.
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蔀 寿樹, 赤坂 威一郎, 山口 隆将, 三戸 一朗, 久多良 徳彦, 遊佐 謙一郎, 斎藤 慎二, 猪股 正秋, 加藤 智恵子, 折居 正 ...
2001 年 98 巻 10 号 p.
1179-1184
発行日: 2001/10/05
公開日: 2008/02/26
ジャーナル
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症例は54歳男性主訴は左上腹部痛.入院時の造影CTで膵腹側に径約10cmの高吸収域と低吸収域の混在した腫瘤を認めた.第5病日には腫瘤は低吸収域の部分が急速に増大し嚢胞状に変化し,第45病日には嚢胞部分が更に増大し径約20cmとなった.手術を行い横行結腸間膜原発の類上皮型平滑筋肉腫と診断した.急速に増大する内部不均一,または嚢胞形成を有する腫瘤を見た場合には平滑筋肉腫を念頭に置く必要があると思われた.
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平山 一久, 中村 利夫, 深沢 貴子, 大端 考, 砂山 健一, 柏原 秀史, 丸山 敬二, 今野 弘之, 三浦 克敏, 中村 達
2001 年 98 巻 10 号 p.
1185-1189
発行日: 2001/10/05
公開日: 2008/02/26
ジャーナル
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症例は77歳の男性頚部悪性リンパ腫の化学療法中に消化管穿孔による腹膜炎で緊急手術を施行し,回腸に穿孔部を認め,同部を模状切除した.組織学的にサイトメガロウイルス(CMV)腸炎の穿孔と診断した.CMV腸炎は免疫不全状態の患者に日和見感染として合併し,穿孔例の予後は極めて不良である,悪性腫瘍化学療法中の患者ではCMV感染について定期的チェックとその対応が必要と考えられた.
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木島 洋征, 古島 寛之, 深田 雅之, 三條 明良, 杉坂 宏明, 猫橋 俊文, 村上 重人, 松藤 民子, 山内 眞義, 戸田 剛太郎
2001 年 98 巻 10 号 p.
1190-1194
発行日: 2001/10/05
公開日: 2008/02/26
ジャーナル
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C型肝硬変の73歳男性が右腸腰筋膿瘍を合併した.超音波下ドレナージ穿刺液からはE.coli,Bacteroides fragilisが検出され,続発性腸腰筋膿瘍が疑われたが,原因となる消化管疾患は指摘できなかった.肝硬変のため局所免疫の低下した腸管から大腸菌が門脈内に進入し,ジャントから血行性に感染したこと,すなわちbacterial translocationが原因と推測された.肝疾患に合併した腸腰筋膿瘍の報告例は本例で3例目であり貴重な症例と考えられた.
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宮下 知治, 小西 孝司, 能登 正浩, 谷口 桂三, 加治 正英, 木村 寛伸, 前田 基一, 薮下 和久, 三輪 淳夫
2001 年 98 巻 10 号 p.
1195-1198
発行日: 2001/10/05
公開日: 2008/02/26
ジャーナル
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症例は85歳の女性で,閉塞性黄疸にて入院.胆管造影では総胆管末端部に逆U字を呈する大きな欠損像を認め結石が考慮されたが,造影CTにて高吸収を示す腫瘍性病変と指摘された.ハイリスク症例であることより胆管十二指腸吻合術と胆道鋭匙による腫瘍採取が行われた.病理組織学的には紡錘型細胞が充実性の胞巣を形成しながら密に増殖する像を呈しNSE,chromogranin A染色陽性であり,胆管を原発とする小細胞癌と診断された.
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若林 時夫, 松田 耕一郎, 池田 直樹, 高橋 志郎, 龍沢 泰彦, 川浦 幸光, 鈴木 潮
2001 年 98 巻 10 号 p.
1199-1202
発行日: 2001/10/05
公開日: 2008/02/26
ジャーナル
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