2001 年 98 巻 5 号 p. 559-563
難治性大量腹水を有するII型肝腎症候群合併肝硬変症例をTIPSにより治療した.患者の腎機能障害を考慮し造影剤としてCO2を用い安全にTIPSを行い得た.TIPS後腎機能および腹水は軽快し,15カ月後の現在まで,II型肝腎症候群の改善と日常生活動作の向上が得られている.本例の経験から,難治性腹水を主症状とするII型肝腎症候群の治療法としてTIPSが有効なことが示唆され,また,腎障害合併例におけるTIPSに際しCO2を造影剤に用いることは有用と思われた.