日本消化器病学会雑誌
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重症型アルコール性肝炎の全国調査
堀江 義則石井 裕正
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2002 年 99 巻 11 号 p. 1326-1333

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抄録

重症型アルコール性肝炎 (Severe alcoholic hepatitis: SAH) は, 肝性脳症, 肺炎, 急性腎不全, 消化管出血などの合併や, エンドトキシン血症などをともない, 劇症肝炎と同様に予後不良な疾患である. 日本消化器病学会認定施設, 関連施設にSAHについてアンケ-トを行い, 予後予測因子を解析した. また, ステロイド, 血漿交換などの治療効果について, 生存例と死亡例で有意差があるか検討した. 近年, SAHは増加傾向にあり, 特に女性の増加が目立った, プロトロンビン時間延長, 貧血, 白血球数増加やクレアチニン上昇例, 感染症, 消化管出血, 敗血症合併例で死亡例が多く, このような例では集学的治療を早期から行う必要があるが, ステロイド投与は予後を悪化させる可能性もあり, 慎重な投与が必要であることが示唆された.

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