2002 年 99 巻 4 号 p. 353-364
肝線維化の病態生理について,マトリックス産生担当細胞,細胞外シグナル伝達からマトリックス蛋白産生にいたる経路,マトリックス分解酵素産生担当細胞,マトリックスの産生と分解の調節機構などかなり明解になってきた.著者らは最近,コラゲナーゼ産生細胞が骨髄由来肝幹細胞であることを証明した.肝幹細胞の視点から線維化病態をみると,疑問点が容易に理解できるようになる.本論文では,臨床的視点から線維化改善を目指した機序の理解ができるよう,そして肝幹細胞が線維化に関与する可能性を述べる.