日本消化器病学会雑誌
Online ISSN : 1349-7693
Print ISSN : 0446-6586
肝線維化治療の最前線
肝繊維化研究と治療の最前線
上野 隆登佐田 通夫
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キーワード: 肝線維化, 治療, 遺伝子治療
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2002 年 99 巻 4 号 p. 365-378

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抄録

肝線維化,殊に肝硬変は肝細胞癌や食道・胃静脈瘤などといった生命予後を左右する疾患と深く関わっている.したがって,肝硬変を含めた肝線維化の治療法の確立は極めて重要である.近年,肝線維化機序の解明が飛躍的に進み,概ねその機序が明らかにされ,さらに肝線維化の治療に関する研究も現在盛んに行われている,その戦略として,肝障害因子の排除,肝内炎症の抑制,肝での代表的な細胞外基質(ECM)産生細胞である肝星細胞の活性化抑制,ECM産生の抑制,ECM分解の促進,さらには遺伝子治療などの方法がある.現在,臨床で用いられているインターフェロンなどの慢性肝疾患の治療薬が肝線維化改善効果を持つことが明らかにされ,更に今後臨床で肝線維化の治療薬として期待される薬剤の報告もみられる.この領域の研究が更に発展することによってより優れた肝線維化の治療法が出現するものと思われる.

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