日本消化器病学会雑誌
Online ISSN : 1349-7693
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非アルコール性脂肪肝炎の発症機構とPPAR
脂肪肝-最近の話題
田中 直樹青山 俊文
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2002 年 99 巻 6 号 p. 563-569

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抄録
非アルコール性脂肪肝炎(NASH)は,アルコール摂取歴がないにもかかわらず脂肪肝から肝炎,肝硬変に至る疾患であり,肥満やインスリン抵抗性,脂質代謝異常を背景に発症することが多い.NASHの病因として酸化ストレスによる脂質過酸化やサイトカイン,高インスリン血症などが想定されているが,その発症機構は複雑でいまだ不明な点が多い.ペルオキシソーム受容体増殖剤受容体(PPAR)は肝臓の脂肪酸代謝の大部分を制御している核内受容体であるが,炎症抑制や酸化ストレスの軽減にも関与していることが判明してきた.本稿では脂肪肝発症におけるPPARの役割を述べ,脂肪肝からNASHへの進展機構とPPARとの関連を考察したい.
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