日本消化器病学会雑誌
Online ISSN : 1349-7693
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99 巻 , 6 号
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  • 田中 直樹, 青山 俊文
    2002 年 99 巻 6 号 p. 563-569
    発行日: 2002/06/05
    公開日: 2008/02/26
    ジャーナル フリー
    非アルコール性脂肪肝炎(NASH)は,アルコール摂取歴がないにもかかわらず脂肪肝から肝炎,肝硬変に至る疾患であり,肥満やインスリン抵抗性,脂質代謝異常を背景に発症することが多い.NASHの病因として酸化ストレスによる脂質過酸化やサイトカイン,高インスリン血症などが想定されているが,その発症機構は複雑でいまだ不明な点が多い.ペルオキシソーム受容体増殖剤受容体(PPAR)は肝臓の脂肪酸代謝の大部分を制御している核内受容体であるが,炎症抑制や酸化ストレスの軽減にも関与していることが判明してきた.本稿では脂肪肝発症におけるPPARの役割を述べ,脂肪肝からNASHへの進展機構とPPARとの関連を考察したい.
  • 西原 利治, 大西 三朗
    2002 年 99 巻 6 号 p. 570-576
    発行日: 2002/06/05
    公開日: 2008/02/26
    ジャーナル フリー
    肥満が社会問題化した欧米では,高度の脂肪肝に実質の炎症・壊死,線維化所見が加わった非アルコール性脂肪肝炎(NASH)の存在が注目されている.本症はウイルス性肝疾患,自己免疫性肝疾患,既知の先天性代謝性肝疾患を除外した原因不明の慢性肝障害であり,飲酒歴が乏しいのに組織像はアルコール性肝障害に類似することが特徴である.本症は脂肪肝を準備状態とするため,肥満や薬剤をはじめ多数の脂肪肝を惹起する病態が誘因とみなされている.しかし,発症機序や治療法の大部分は依然明確ではない.“脂肪肝を良性の疾患として看過してはいけない”との世界の潮流の中で,飽食の時代を迎えた本邦でもNASHの疾患概念の周知が急務である.
  • 笹川 由美子, 笹川 剛, 高崎 健
    2002 年 99 巻 6 号 p. 577-583
    発行日: 2002/06/05
    公開日: 2008/02/26
    ジャーナル フリー
    中米コスタリカで10064人のレントゲンによる胃検診を行い胃癌69例(検診群)を発見した.これを同時期の従来の医療システムで発見された胃癌172例(非検診群)と比較検討し,日本の検診成績と対比した.発見率は検診群0.68%,日本0.11%.検診群,非検診群,日本の順に手術率92.7%,76.2%,97.0%,切除率96.8%,83.2%,98.6%,早期癌の率64.5%,30.3%,65.9%,根治度Aの率79.0%,38.5%,82.6%と検診群は非検診群より良好で,日本の成績と同等であった.コスタリカにおいても日本と同等の診断・技術力をもって検診を行えば日本と同等の成績が得られることを示した.
  • 小野田 正美
    2002 年 99 巻 6 号 p. 584-592
    発行日: 2002/06/05
    公開日: 2008/02/26
    ジャーナル フリー
    thioacetamide(TAA)を用いて作製した肝硬変・門脈圧亢進ラットに色素混入ラテックスを門脈本幹より注入し,大腸血管像を組織標本と透明標本で観察した.粘膜固有層から固有筋層までの樹枝状の静脈の蛇行・拡張・増加(WT)と,くも状血管腫様の拡張血管の集合像(VE)の所見を得た.一方,肝硬変症患者38例の大腸内視鏡検査でWTおよびVEと類似した所見が得られ,それぞれの陽性率は78.9%,65.8%とコントロール(10%,7.5%)に比し有意に高かった.以上よりWTとVEは門脈圧亢進性腸症(PHC)の所見と考えられた.PHCは比較的初期の肝硬変,門脈圧亢進症においても出現することが示唆され,TAAによる門脈圧亢進ラットはPHCの実験モデルとして適切と考えられた.
  • 細田 明秀, 田中 究, 佐々木 修一, 宇田川 晃秀, 柳谷 淳志, 能美 隆啓, 北村 厚, 北岡 修二, 堤 貴司, 安達 裕宣, 八 ...
    2002 年 99 巻 6 号 p. 593-599
    発行日: 2002/06/05
    公開日: 2008/02/26
    ジャーナル フリー
    71歳,男性.食道癌stageIVの症例で転移性肝癌が腫瘍内出血を生じ,同部の破裂により被膜下血腫を形成したが,経動脈的塞栓術で止血しえた.その後肝不全をともない腫瘍死した剖検例である.文献を渉猟しても食道癌の転移性肝癌破裂の報告例は現在までない.食道癌の転移性肝癌も腫瘍内出血および破裂をきたすことがあること,更にこの止血に経動脈的塞栓術が有効であったことを示した.
  • 小林 雄一, 新谷 哲司, 松井 秀隆, 畠山 祐子, 大石 久史, 壷内 栄治, 横田 智行, 村上 英広, 池田 宜央, 宮崎 龍彦, ...
    2002 年 99 巻 6 号 p. 600-604
    発行日: 2002/06/05
    公開日: 2008/02/26
    ジャーナル フリー
    症例は58歳,男性.上腹部痛を主訴に当科外来を受診した,上部消化管内視鏡検査で胃癌と診断し,精査加療目的で入院した.第20病日に急激な呼吸困難,血圧低下で心タンポナーデで発症し,心嚢ドレナージ術を施行したが,第51病日に死亡した.病理解剖では,胃癌が横隔膜を介して心膜へ直接浸潤していた.胃癌による心臓転移はまれであるが,心タンポナーデの可能性も念頭におく必要があると考えられた.
  • 尾形 隆, 嘉村 亜希子, 栗原 陽一, 海上 雅光
    2002 年 99 巻 6 号 p. 605-609
    発行日: 2002/06/05
    公開日: 2008/02/26
    ジャーナル フリー
    症例は51歳の男性.右下腹部の直径約5cm大の弾性硬の有痛性腫瘤を主訴に当科受診した.内視鏡では虫垂開口部周囲の盲腸粘膜の腫脹があり,生検で非特異的炎症所見を認めた.注腸造影では,腫瘤は虫垂と回腸末端部の間に位置し,回腸側への癒着も疑われた.CTでは斑状に造影される回盲部腫瘤を認めた,第一に炎症性変化を考え,抗生剤を投与したが,腫瘍は縮小しなかった.確定診断は得られなかったが,悪性腫瘍を否定できないため回盲部切除術を施行した.虫垂間膜に一部脂肪壊死をともなう炎症性細胞浸潤と線維化を認め,腸間膜脂肪織炎と診断した.虫垂間膜脂肪織炎のきわめてまれな1例と思われた.
  • 橋口 一利, 川口 淳, 永尾 重昭, 奥平 圭輔, 吉田 由紀子, 又木 紀和, 畠中 賢司, 青野 茂昭, 木本 賀之, 岩井 淳浩, ...
    2002 年 99 巻 6 号 p. 610-614
    発行日: 2002/06/05
    公開日: 2008/02/26
    ジャーナル フリー
    症例は51歳男性.11歳時に虫垂切除,14歳時に腸閉塞にてバイパス手術の既往歴がある.昭和63年,右下腹部痛と黒色便を主訴に来院し,blind loopを指摘されるも放置.平成7年に腹部腫瘤を認め,同10年に同部から膿汁分泌を認めたため入院となった.各種画像検査にてblind loopとなった回腸の拡張と,同部との皮膚瘻が疑われた.手術所見では,回腸は嚢胞状に拡張し内腔に多発性潰瘍を認め,腹壁と膀胱に穿通していた.
  • 平賀 裕子, 安井 弥, 熊本 隆, 渡邉 将史, 小早川 雅男, 江口 紀章, 中村 利夫, 河村 寛, 中井 志郎, 亀井 文恵
    2002 年 99 巻 6 号 p. 615-621
    発行日: 2002/06/05
    公開日: 2008/02/26
    ジャーナル フリー
    症例は67歳,男性.61歳時の胃印環細胞癌に対する幽門側胃切除術後6年目の定期検査で,残胃再発および大腸に多発性転移巣を認め,残胃全摘・結腸亜全摘術が施行された.大腸転移巣は盲腸からS状結腸まで40箇所以上に多発するびらんようないしIIc様微小病変を呈し,組織学的には印環細胞癌がほぼ粘膜内に限局し,著明なリンパ管侵襲およびリンパ節転移を認めた.本症例の大腸転移巣像は極めてまれであり,その発見には内視鏡検査が有用と考えられた.
  • 奥山 祐右, 牧山 明子, 岡島 達也, 鈴木 隆裕, 中田 晋, 船津 英司, 中村 英樹, 落合 淳, 名生 諭史, 木村 浩之, 八木 ...
    2002 年 99 巻 6 号 p. 622-625
    発行日: 2002/06/05
    公開日: 2008/02/26
    ジャーナル フリー
    症例は48歳男性.便潜血陽性の精査のため全大腸内視鏡検査を施行したところ,回盲部単純性潰瘍を認めた.本病変に対して,インフォームドコンセントのもと,顆粒球吸着療法(週1回×5週)を行い,潰瘍の速やかな瘢痕・縮小化を確認しえた.治療に難渋することの多い単純性潰瘍に対して,今後検討すべき治療法の1つと考えられる.
  • 吉永 淑子, 生馬 晶子, 貫井 恭一, 萩澤 良美, 後藤 紀子, 片山 雅彦, 蜂矢 朗彦, 飯田 和成, 三木 一正
    2002 年 99 巻 6 号 p. 626-630
    発行日: 2002/06/05
    公開日: 2008/02/26
    ジャーナル フリー
    症例は63歳,女性.23歳時にS状結腸過長症にて腸切除術をうけ,その後3回の開腹術をうけている.下腹部痛と嘔吐で入院.S状結腸吻合部狭窄にともなう多発性腸石と診断し,S状結腸部分切除術を施行した.2~4cmの腸石を20個摘出し,成分分析の結果はカルシウム塩真性腸石であった.腸石は仮性と真性腸石に分類されるが,真性腸石はまれな疾患であり,多発例は少なく,文献的考察を加え報告する.
  • 森 俊治, 長谷川 洋, 小木曽 清二, 坂本 英至, 柴原 弘明, 伊神 剛, 太平 周作, 上原 圭介, 都築 豊徳
    2002 年 99 巻 6 号 p. 631-634
    発行日: 2002/06/05
    公開日: 2008/02/26
    ジャーナル フリー
    症例は69歳男性.C型慢性肝炎の経過観察中にCTで胆嚢壁肥厚を指摘された.胆嚢腺筋腫症の診断で経過観察されていたが,胆石発作を機に再検査を行ったところ,胆嚢底部に粘膜下腫瘍様の形態を示す病変が発見され,腹腔鏡下胆嚢摘出術を行った.摘出標本では胆嚢壁内に内腔に結石を有する嚢胞を認めた.病理組織学的には胆嚢腺筋腫症を認めず,RASのみが拡張したと考えられる胆嚢壁内嚢胞であった.
  • 住吉 信一, 菊山 正隆, 松林 祐司, 影山 富士人, 小平 知世, 山田 貴教, 笹栗 毅和, 北中 秀法, 小林 良正, 室久 敏三郎
    2002 年 99 巻 6 号 p. 635-641
    発行日: 2002/06/05
    公開日: 2008/02/26
    ジャーナル フリー
    48歳男性.黄疸の精査のため入院した.膵の腫大と下部胆管の狭窄,尾側膵管の軽度拡張をともなう頭部主膵管の限局性狭窄が認められた.IgGの増加と抗carbonicanhydrase-II(CA-II)抗体や抗lactofferin抗体の陽性があり経皮的膵生検ではリンパ球浸潤をともなった線維組織が認められ自己免疫性膵炎と診断した.下部胆管狭窄は自然に軽快し退院したが6カ月後に黄疸が再発しステロイド治療を行い症状は速やかに消退した.自己免疫性膵炎の自然経過を観察できた症例と考え報告した.
  • 岩泉 守哉, 山田 正美, 北川 陸生, 竹平 安則, 花島 一哲, 室久 剛, 川村 素子, 岩岡 泰志, 和田 朋彦, 森田 悟, 川田 ...
    2002 年 99 巻 6 号 p. 642-645
    発行日: 2002/06/05
    公開日: 2008/02/26
    ジャーナル フリー
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