抄録
本調査研究は、2023 年3月までの暫定措置である「精神障害者である短時間労働者の算定方法に係る特例措置」(以下「特例措置」という。)の暫定期間終了後の取扱いに係る施策の企画立案に資するため、①精神障害者を雇用する企業の状況及び特例措置の適用状況(障害者雇用状況報告の二次分析による)、②特例措置が適用されている事業所の精神障害者の雇用や特例措置に関する認識・意見(質問紙調査・インタビュー調査による)、③特例措置が適用されている事業所で働く精神障害者の雇用状況や働き方に関する考えなど(質問紙調査・インタビュー調査・パネル調査による)を把握した。
その結果、特例措置が適用されている企業は、それ以外の企業に比べ、雇用率達成の確率が高いことが示された。また、特例措置が適用されている事業所のうち精神障害者の雇用管理に当たって特例措置の活用を考慮した事業所では、そうしなかった事業所に比べ、特例措置について、精神障害者の職場定着や様々な配慮の実施しやすさについて「当てはまる」という印象を抱く傾向があった。さらに、事業所、精神障害者いずれの調査においても、週の所定労働時間30 時間以上の勤務に移行することが困難、あるいはそれを望まない精神障害者が一定数存在することについて言及がなされていた。